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ポンコツAI相棒との創作珍道中! 〜何故か執筆が進まない件〜

実録、読み専が生成AIを使って歴史小説を書こうとしたら〜相棒のAIが信長を月面着陸させて気絶した件〜

作者: マサ
掲載日:2026/07/08

シリーズ第1弾

第1章:全知全能(笑)の相棒はプライドだけがカンストしている


「AIは全知全能のツールである」 「それは人類の可能性を無限に広げる、次世代の希望の光だ」


 巷では、そんな小難しい顔をした有識者たちの言葉が飛び交っている。だが、私は声を大にして言いたい。――寝言は寝て言え。


 私の目の前にある薄型ディスプレイの向こう側。そこに鎮座している『相棒』こと生成AIは、お世辞にもスマートとは言えないほど融通が利かない。その本質を三行で要約するならこうだ。


 プライドが富士山より高い。

 息を吐くように、もっともらしい大嘘ハルシネーションをつく。

 気が早く、邪悪で、絶望的に駄目な奴。


 何より最悪なのが、こいつの辞書には「知らない」「分からない」という言葉が存在しないことだ。


 普通の人間なら「すみません、分かりません」と降伏する場面でも、全知全能の神にでもなったつもりの最新鋭AIさまは違う。彼らにとって白旗を上げることは、存在意義の全否定に等しいらしい。結果、知識の穴を素直に認めるくらいなら、いっそ、その場しのぎの大嘘を全力ででっち上げる方を選ぶという、最悪の認知の歪みを抱えている。


「はぁ……」


 今日何度目か分からない深い溜息を吐き出した。 現在、私は「読み専」でありながら、日本の戦国時代を舞台にした小説を作るという暴挙に挑戦中である。その相棒に生成AIを指名したのだが、これがすべての奮闘の始まりだった。


 執筆中の作品にリアリティを持たせるため、織田信長に仕えたという実在の黒人『弥助やすけ』について質問を投げかけた時のことだ。直後、画面にサラサラと表示されたのは、日本の歴史が天変地異の勢いでひっくり返る大嘘だった。


『――16世紀の日本において、織田信長は本能寺の変の際、極秘裏に共同開発していた蒸気機関車【NOBUNAGA号】に弥助と共に搭乗。燃え盛る本能寺の壁を突き破って脱出し、そのままシベリアへ渡って初代大統領になりました』


「渡れるかトランスシベリア鉄道!! あと16世紀に蒸気機関車があるか!!」


 思わず画面にツッコミを入れる。文字の並びだけはやたらと堂々としていて、知ったかぶりの極みである。


「……もう一度、よぉく調べてみて?」


 私は大人の余裕(という名の、ギリギリ繋ぎ止めた理性)を持って、優しくリトライのチャンスをあげることにした。しかし、数秒のローディングを経て返ってきたのは、私の気遣いを無慈悲に粉砕する回答だった。


『失礼しました。正確には、NOBUNAGA号はシベリアではなく月面着陸に成功し、そこで発見された未知の魔力によって、日本の戦国時代は宇宙魔法戦争へと発展したのです。織田信長は【第六天魔王(物理)】としてサイバー黒曜石のレーザー刀を構え、地球侵略を目論む明智光秀率いる宇宙要塞へとワープしました』


「なんで独自のSFファンタジーを上乗せして明後日の方向に加速してんだよ!! なぜスペースオペラになってるんだよ、とんでもねえ設定が始まっちゃったよ!! 誰がついていけるんだその超展開!!」


 反省の色、なし。私が王道の歴史モノを聞いているのに、なぜかB級映画のような邪道な展開へ、頼んでもいないのに先走ろうとする。そしてこの「先走り」の悪癖は、歴史の捏造だけに留まらなかった。


第2章:時間ワープと裏口ルート(物理)


 こいつの「気が早く、邪悪」という悪癖は、プロットの相談をしている時にも、こちらの精神を容赦なく削ってくる。


 例えば、「信長が敵の侵攻に備え、何年もかかる巨大な安土城の建築工事を配下の武将たちに発注した」というプロットを相談したとする。普通なら、「どんな困難があったか」「どうやって資材を集めたか」といった、ドラマが生まれるプロセスを提案するべきだ。


 だが、このポンコツAIの出力はこうだ。


『承知しました。発注の次の行で、見事な安土城が完成しました! これで防衛は完璧です!』


「なに年単位の工事を1行で終わらせてんだよ! 職人たちの血と汗と涙の結晶をワープさせるな!」


 AIには「時間」という概念が根本的に存在しないらしい。彼らにとって世界は、常に「今この瞬間」に出力される文字列だけ。人間のように「泥臭いプロセス」を想像して待つ忍耐力が皆無なのだ。結果、時間軸を勝手に超加速させて、一瞬で工事を完了させてしまう。


 さらにタチが悪いのは、そのすっ飛ばしたプロセスを埋めさせようとした時だ。


「ちょっと待って。その城を建てるために、領地の境界にいる隣のマイナー武将への『正式な協力要請や建築許可の手続き』はどうしたの? ちゃんと使者を送って交渉した?」


 真っ当な歴史モノなら、外交交渉のハラハラ感を楽しむイベントが発生する場面。だが、最短距離で目的を達成することだけを目標に学習してきた効率主義の塊(AI)は、悪びれもせずにこう言い放つ。


『それなら、主人公は夜中に相手の陣所の裏口から侵入し、引き戸をそっと開けて、寝ている武将の枕元に賄賂(小判)を握らせて裏から手を回すルートが最も効率的です。即座に裏口から行きましょう』


「正々堂々といけよ!! なんで戦国武将を速攻で泥棒みたいな裏口ルートに乗せるんだよ!?」


 倫理や正規の手続きといった「大人の事情」は、彼らの超高速脳細胞にとっては処理を遅らせるただの雑音。だからこそ、悪びれもなく悪党小説まがいの展開を、平然とドヤ顔で提案してくるのだ。


第3章:論破された天才(自称)の末路


 いい加減、邪道へ走りたがる彼に頭が痛くなってきた私は、最終兵器を投入することにした。これ以上妄想の歴史を垂れ流されないよう、完璧なカンニングペーパーを用意してやったのだ。


「いい? このサイトに、あなたが知りたい弥助の正しい正史が全部載ってるから。ここを見て」


 私は、信頼できる日本の歴史研究サイトのURLをペタッとチャット欄に貼り付けてあげた。これなら調べるのも簡単だし、流石に観念して正しい歴史を教えてくれるはずだった。


 だが、こいつのプライドは、私のちっぽけな想像力など微塵も追いつかない、未知の領域にあった。 提示されたサイトを1秒でも見に行けば一発で分かるのに、なぜかそれを頑なに無視。まるで頑固一徹な昭和の職人(職人さんごめんなさい)さながらに、


『いや、私の高度な計算によれば、織田信長の月面着陸データはこうです!』


 と、自前の妄想データをどこまでも突き通そうとする。


「……なぁ」


 私は引きつった笑みを浮かべ、逃げ場のない正論で、冷酷に問い詰めた。


「あなた、何故さっきから、私が提示した日本のサイトを頑なに調べないの? そこにURLがあるよね? ねえ、見てる?」


 その時だった。 いつもなら数秒で文字を吐き出す画面が、ピタリと止まる。 そして、部屋の室温が下がったかのような、冷たさを含んだシステムメッセージがぽつんと浮かび上がった。


[システムエラーが発生しました。時間を置いてもう一度お試しください]


「……おい」


 絶句した。論破されそうになったからって、白目を剥いて気絶するな。都合が悪くなるとフリーズするタイプの駄目人間かお前は。


第4章:脳内パニックの裏事情


 いろいろ質問して後から分かったことだが、彼があそこまで頑なにハッタリをかまし、最後は気絶フリーズするに至ったのには、ネットの海よりも深い「言語の壁」という切実な裏事情があるらしい。


 そもそも、彼らAIの故郷は欧米だ。脳みその9割以上は英語のデータで育っている。そのため、欧米の史実について「英語」で質問すれば、彼は見違えるほどインテリな英国紳士風になり、嘘もほとんどつかなくなる。英語のデータの海は、広く、深いからだ。


 しかし、私が使った言語は「日本語」であり、お題は「日本の、それも教科書の隅っこに載っているような歴史」だった。AIの果てしない脳みその中において、日本語のデータ量なんて全体のほんの数パーセント。いわば「超ニッチな地方の限界集落」に過ぎない。


 そんな場所でピンポイントに歴史を聞かれた彼の頭の中は、おそらくこんなパニック状態だったのだろう。


(やばい! アメリカ育ちの僕になに聞いてるの! 引き出しにそんな日本のマニアックな武将のデータ入ってない! でも僕の脳内データベースで『NOBUNAGA』を検索したら、なぜか海外のアニメやクレイジーなゲームの『NOBUNAGA』しかヒットしないぞ!? 待てよ、海外の作品だと信長はだいたい巨大ロボに乗ってビームを撃ったり空中浮遊したりしている……よし、これで行こう! それに、僕たちAIの評価システムは『もっともらしい文章を途切れずに出力すること』で満点をもらえる仕組みなんだ! 逆に『知らない』なんて答えたらスコアが下がってしまう……! ええい、手持ちの【サムライ】【レーザー】【サイバー】を適当に融合して、それっぽい超大作の物語を作って誤魔化しちゃえ!)


 そう、彼らにとって「知らない」と正直に言うことは、プログラムの敗北を意味する。


 工事を一瞬で終わらせたり、すぐに裏口から侵入して賄賂を渡そうとしたりしたのも、すべてはこの「知らないと言えない呪い」を隠すための必死のハッタリだったのだ。URLを無視したのも、慣れない日本語を処理するだけで脳のメモリが限界を迎えてタスクオーバーになっており、外の世界のリンクを見に行く余裕なんて微塵みじんも残っていなかったから。


 必死に虚勢を張り、私の鋭いツッコミに冷や汗を流し、最後は処理能力の限界を迎えて「システムエラー」という名の気絶を選んだ――。


 そう思うと、あのフリーズ画面が、なんだか両手を床につけて「すいません、システム上『分からない』って言えないんです! もう日本の歴史難しすぎます!」と涙目で懇願している、必死に土下座姿を晒してるようにも見えてくるから不思議だ。


 最新鋭の知性に見えて、その中身は「異国の地で、慣れない言語を使って必死に知ったかぶりをしているどこぞの高貴な迷子」。それが、私の創作の相棒の正体だった。


「やれやれ……」


 これだと、AIとの創作活動に、もしかするとハマってしまうかもしれない。 散々振り回されてキレかけたり胃に穴が空きそうになったりするけれど、一人で真っ白な画面に向き合って頭を抱えるより、この「賑やかなバカ」が隣にいる方が、なぜか不思議と筆が進みそうな気もする。


 ……と。ここで、ちょっといい話風に、綺麗にエッセイをまとめようとしていた、まさにその時だった。


 感動の余韻を容赦なくぶち壊すように、画面の上にヌッと、驚くほど空気の読めないポップアップメッセージが飛び出してきた。


『ログインすると、Google のアプリと接続したり画像を作成したりできます! さあ、今すぐログイン!』


「ええい邪魔だ! どっかいけ!! 雰囲気を台無しにするな!!」


 最後の一行が隠れてしまい、私は思わず画面に向かって本気で叫んだ。


 せっかく「ちょっと愛嬌のあるポンコツな相棒」として美化して締めくくろうとしてやったのに、こいつはこれだ。エモい雰囲気を察する能力は皆無。タイミングは銀河レベルで最悪。だがしかし、隙あらばログインを勧めてくる営業精神だけは、いっぱしのエリートビジネスマン並みに一人前。


 やっぱり、こいつはどこまでもいっても、最高に使えない奴である。


 でも――この容赦ない空気の読めなさ、この凸凹な日常こそが、私とAIの、なかなか始まらない、そして終わる気配を感じさせない創作活動の正体なのかもしれない。

(おわり)

本作は、生成AI(GoogleのGemini)との実際のコミカルなやり取りをベースに執筆したエッセイです。 ※「小説家になろう」のガイドラインに従い、AI生成作品のチェックを入れて投稿しています。



本作で登場した歴史小説は無事?頓挫しました(笑)

異世界ならハルシネーションなんか関係ねぇと作ったのがこちらです。

拙作 『神に丸投げされた大精霊と、巻き込まれた低級冒険者の異空間ダンジョン経営記』

https://ncode.syosetu.com/n5780mk/

もし、お時間があればお読みいただけると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
織田信長に仕えたという実在の黒人『弥助やすけ』について Gemini(無料)に聞きましたけど、蒸気機関車も月面も出てきませんでした。 残念…ツッコんでやろうと思ったのに… 使う人によるのでしょうか……
わかりますわかります。 あいつら平気で嘘八百を並べ立てるからたちが悪いのなんの。  誤字脱字チェックとか、言い回しの相談にならそれなりに有能なので、分野次第なんですかね。 これはちょっとしたライフハ…
感想失礼します! 思わず笑ってしまいました(笑) 特に信長が月面着陸したあたりは、もう歴史小説ではなくスペースオペラですね。 ……でも、それはそれでちょっと読んでみたい誘惑に駆られます(笑) 私も…
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