飴が降ったら
街を歩く人々は、
暗い顔をしていた。
仕事を首になった猫背のサラリーマン。
仕事で疲れ切ったOL。
学校でいじめられて泣きながら歩く男子中学生。
振られて泣きじゃくる女子高生。
ポツリ、ポツリと雨が降ってきた。
お母さんと手を繋いで歩いている一人の女の子が呟いた。
「飴が降ってきたらいいのに」
その瞬間。
パラパラパラっと空から何かが降ってきた。
コツンコツンと頭の上に当たる。
「氷かしら?・・・あら、飴玉?」
お母さんが地面を見るとキャンディー包みされた飴玉がコロコロと転がっている。
途端。
バラバラバラ!!と飴が沢山降ってきた。
「わぁ〜!飴いっぱい!!」
「一体どうなってるのよ・・・」
あっという間に飴の山に人々は埋もれた。
雨と雨の間から人々は顔を出す。
「飴美味しい〜!!」
「もう、落ちてるものを食べちゃダメでしょう?」
「でも、空から降ってきたものだよ?」
「同じよ・・・」
「ママも食べてみようよ!美味しいよ!」
「う〜ん・・・まぁ、一つだけなら・・・あら?美味しいわね。なんだか懐かしい味がするわ。」
「でしょでしょー!」
周りの人たちが女の子の笑顔を見て自分も飴を口にする。
すると、どこからともなく笑い声が聞こえてきた。
気付けば皆んなが笑っている。
「あは!」
女の子が笑う。
仕事を首になった猫背のサラリーマン。
仕事で疲れ切ったOL。
学校でいじめられて泣きながら歩く男子中学生。
振られて泣きじゃくる女子高生。
雨が止んで飴が降った。
飴玉が降ってきて、そんなことがなんだかおかしくって。
飴が止んで笑顔が溢れている。




