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婚約破棄してきた元婚約者の姉と婚約することになった  作者: 夕凪 瓊紗.com


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【24】ハロウィン祭



――――すっかり秋の濃くなったある日のことである。


「……カボチャ?」

邸内にカボチャの置物が突然発生している。


「隊長、どう?みんなで作った」

「今日はハロウィンなんですもんね!」

カルラとリタがそういいながらカボチャを持ってくれば……反対など出来ようか。


「まぁいいか。楽しんでおけよ」


「隊長、やっぱり……」

「ですよね……?」

ん?何だ?


「何でもない。ナイショ」

「ナイショです!」

うーんと……何だろうか?


「それじゃぁ、これから孤児院の子どもたちにクッキーを配りに行くので」

「うん、見舞いにもついでに行く」

「ふーん、じゃ、気を付けて行ってきな」

ハロウィンだし2人で仮装でもするのだろうか。


まぁ俺は俺で今日の仕事、片付けちゃうか。


署名、印を押し署名、印を押し……。


「ヴィー、仕分けてエルネストに送ってくれ」

暇そうなストーカーに命じれば、するりと何処かから姿を現す。


「ええ……人使いが粗いなぁ」

「どうせストーキングしかしてないんだ、暇だろ?」

「何言ってんの。ストーキングも一日にして成らず。意外と忙しいんだよ?」

んな訳あるか、張り込みじゃぁあるまいし。


「ほら、手を動かす」

「はーい」

それでも作業自体は手伝うんだよな。


「それよりさぁ、アルド」

「ん?」

「ルーチェ公爵家の書類も幾つかあるみたいだね」

「ああ。あっちで監察も終わったようだし……そろそろだな」

そちらはそちらで監察部隊が仕上げている。


「ジョヴァンナは騎士団に捕まったあと、公爵邸の差し押さえ品で釈放されたみたいだが……」

「資金源が尽きて屋敷のなかはほぼ空っぽなんだって?」

「そうそ、ほとんどの使用人たちは屋敷を去ったらしい」

「なら御庭番たちはどうなったの?」

「アイツらか。彼らはリタのために働けるならと喜んで庭師に加わったぞ」


「あの家の正統な血筋として認められていたのは……リタちゃんだけだったってことだね」

「そのようだ。彼らも拾ってきた養女に傾倒する公爵夫妻には元より愛想をつかしていたようだからな」

最初に潜入していた時から彼らはそうだった。監査にも快く協力してくれたからな。


「この後あの家はどうなるんだろうね」

「公爵家の経営および維持不可能ってことで爵位は国に返還、屋敷はまるごと売りに出されて公爵夫妻とジョヴァンナが返済をさせられることになる」

「ふーん。強制的にさせられるの?」

「そうそう。平民にされた上で徹底的に働かされて返すことになる」

「うわぁ……それは大変だ。自業自得だから知らないけど」

クツクツとヴィーが苦笑する。


「だな。出来るだけリタの目に届かない僻地に飛ばしてもらう予定。その後……爵位は折り合いを見て俺とリタの子どもに継承される」

元々大公位自体、一代限りの爵位だからちょうどいい。


「まぁぶっちゃけリタちゃんが正統な後継者みたいなものだからね」

うんと頷くとヴィーはそこら辺の書類もまとめてエルネストに送る。


「因みにファウスト殿下はどうなったの?」

「ああ、遠くの国に婿に入れるそうだ。何でも女系国家であちらはかかあ天下が主流。アイツの根性も叩き直されるだろう」

「あっはは~~。今までのツケを払わされるんだねぇ。ウケる」

「まーな。あちらももうリタの目には触れさせん」

「徹底してるなぁ。ところでさ、そんな目に入れても痛くないリタちゃんのことだけど……」

「ん?どうした?」

何か気になることでもあるのか?


「……やっぱり気付いてないみたいだね」

「何のことだ?」

「今日が何の日かってこと」

「何の日って……ハロウィン祭だろう?リタもクッキーを配りに行っているはずだ」


「なるほど。全ては予定どおりってことね」

「え……?」

どう言うことだ?


「何でもないよ。アルドはいつものようにどーんと構えてればいいから」

「よく分からんが……」

つまりはいつもどおりってことか。


※※※


――――夕刻になると魔女の格好をしたリタとカルラが帰ってきた。


「じゃーん、どうですか?ハロウィンの仮装ですよ。これでクッキーを配りに行ったんです」

「へぇ、似合ってるじゃないか」

「ありがとうございます!孤児院の子どもたちも喜んでくれて……もちろんクッキーにも!みんなわんぱくで元気でかわいかったですよ」

「それは良かった。確か……見舞いにも行ったんだったか」

あそこは闇ギルドのテリトリーだが、テリトリーだからこそ手を出すバカは滅多にいない。

ジェンナーロが何か企まない限り、ある意味安全地帯だな。


「そうなんです!カルラちゃんのごきょうだいのみんなもとっても元気でかわいらしかったです!そこではカイくんとも一緒にクッキーを配ったんですよ。第6隊で見習いをしてるのですよね」

「そうそ。今日は見舞いに行く日ってことで休みを出したからな」

それから護衛にもなるから一石二鳥。


「カイくんともまた一緒にお見舞い、行きたいですね。カルラちゃん」

「うん、リタっち」

「だけど……」

「どうした?リタ」


「面会謝絶で会えない子もいたので」

報告では聞いてる。あの時の少女……アイラと言ったか。


「リタっち、大丈夫。後でドクターがクッキーを渡してくれるから」

「そうですよね、カルラちゃん!」

「うん。それに私も今度彼女に会えたら味の感想を聞いてみるよ」

「わぁい!お願いしますね!」

「任された」

彼女は正常な受け答えが出来る時間は限られていると聞いたが。


『それでもいつか、普通に会話が出来るようになるって……信じているから』

『……そうだな、カルラ。諦めなければ何かが変わるはずだ』

俺もそれをリタに学んだのだ。


『私もだよ』

カルラがそう小さく相づちを送ってくる。


だからこそカルラはこれからも見舞いに行くのだろうな。


「アルド。着替えてきますから、先に食堂で待っていてくださいね」

「ああ、そうするよ。リタ」


※※※


いつもの晩餐、いつもの席。しかし現れたリタは少し緊張しているようだ。


「どうした?リタ」

「いえ……その、夕食、楽しみですね!」

「ん……?ああ」

今日はリタの楽しみなメニューでも振る舞われるんだろうか?


しかしハロウィンだからだろうか。いつもの食事よりも何となく凝っているような気がしてならない。


「お次はデザートをお持ちします」

「は、はい!」

どうしてリタがあんなにも緊張しているんだ……?


不思議に思いつつも運ばれてきたデザートに驚く。


「……ケーキか?」

色合い的には……カボチャ。


「あの、アルド!」

「リタ?」


「お……お誕生日!」

「え……」

「お誕生日、おめでとうございます!」

「俺の……っ」

そう言えば。


「……忘れていた」

「もう、やっぱり!」

「やっぱりってどうして……」

「ヴィーさんから聞いたんです!ハロウィン祭の日はアルドの誕生日だって!」

「あ……アイツ……」

「しかも毎年忘れてることも聞きましたよ」

「そんなことまで……?」

アイツ、同担拒否とか言うくせにリタは別枠らしく妙に贔屓するところがあるのだ。


「だが……リタが祝ってくれるのなら嬉しいよ」

「アルド……!ふふっ。それじゃぁ早速切り分けましょう!私が作った特製のカボチャケーキですよ」

リタが自ら切り分けて俺に渡してくれる。


「さぁ、召し上がれ!」

「いただきます」

その味は……。


「ん……美味しいよ」

「良かったぁ!」

「こんな嬉しいサプライズをされたら……来年は覚えておかざるを得ないな」

「それは……それならほかのサプライズを考えないとですね……っ。どうしましょう?」

今から真剣に悩み出すリタがかわいらしくて。さらに忘れられなくなりそうだ。



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