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ダンテミリオ姉妹の禁忌魔法〈エクリプスヴォイド〉  作者: 筆々
3章 困惑の姉と呆れる妹

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その姉と悪戯心

(ねえお姉ちゃん)



「ん~?」



(今朝、どうしてベルにあんなこと言ったの?)



「……本命はノアかな」



(う~んぅ? 昨日襲われたことは秘密、でもアンちゃん先生に助けられたって言い回ってもいいよって)



「そのまんまの意味よ。いったいどこの学校のどこの先生が明らかに一生徒を襲ってただろう誰かの話をあちこちにするのかって話」



(――?)



「ノアが食いつてくれるとあたしも楽なんだけれどなぁ」



(……ねえお姉ちゃん、それ直接ノアちゃんに頼んじゃダメなの?)



「駄目、だってノアったら腹芸出来ないもの。知らされた(・・・・・)よりも知った(・・・)ことの方が大事に出来るのよ」



(もうっ)



 アリアとアリスは今日は学校にも行かずに、朝から魔石の森を歩き回っていた。



(というかお姉ちゃん歩くの速い)



「まだアリスと話していたい(・・・・・・)からね」



(どういうこと?)



「ところでアリス、アンデットが魔石に集まってくるって話はしたよね?」



(え、うん)



 するとアリアは歩くペースを緩め、背後に意識を向けるようにニヤと笑みを浮かべた。



(お姉ちゃんがそう言ったから、僕もちょっと考えたんだけれど、やっぱり生命力に集まってくるのかなぁって)



「それだと命あるものすべてに集まってきちゃうよ。だから魔石にあって生命にないものに集まってきているのだと予想できるね」



(取りやすさだってあるかもしれないよ。肉食動物が、同じ肉だからって大型生物は狙わないでしょう?)



「それでも、だよ。外敵に対する行動であるのなら、アンデットはそもそも表に出てこないことが正解だよ。魔石だけ見つけて、死にそうな人だけを狙えばいい。でもそうじゃない、わざわざ魔石に集まってくる」



(むむむ)



「本当に簡単なことなんだよ。アンデットは生命力や魂なんかよりももっと食べたいもの(・・・・・・)がある」



 アリアがその場で本を開き、まるで木々に聞かせるように大げさな動作でクルクルと回った。



「ヒントはベリルちゃん、猫の話」



(猫……魔法陣があるかどうかの話? だからないんでしょう、それは不明だって――お姉ちゃん、その不明の定義って何?)



「……不明なんだから測定、認識できない。もしくは魔法陣かどうか確認できない(・・・・・・)



(……)



 アリスが恨めしげな眼をアリアに向けた。

 猫に魔法陣は発現するのかしないのか、それは猫にしかわからない。猫が文明を、魔法を知っていなければ認識されない。



(お姉ちゃん、生命力が結晶化するのはなぜ?)



「さあ、そこまではわからない。でも結晶化するには色々な方法があるよね、凍らせるとか、逆に火を入れるとか」



(生命力は?)



「うん、よくできました。魔石って言うのはね、生命力を魔法陣で覆い、結晶になったものなんだよ。で、アンデットが本当に欲しいのは――」



(魔法陣)



「魔石って言うのはね、この世界で唯一触れられる魔法陣」



(そういえばお姉ちゃんずっと言ってたね、魔石で魔法を発動させればいいって。それ、魔石が魔法陣だからか)



「そう、それともう1つ、そこまでわかれば魔石なんて簡単に作れる。だよ」



(魔石に必要なのは魔法陣と生命力。か)



 アリアがうなずき、魔石の森の地面を張り返した。

 そこにはまだ死んで間もないのか比較的綺麗な遺体があり、周囲には魔石が転がっていた。



(なんで魔石も――)



 アリアはその遺体に手を合わせて死者を悼むと、小さくごめんなさい。と呟いた後、不愉快そうに顔をゆがめた。



「……言ったでしょ、魔石は魔法陣。この魔石には精神操作系、それに活性系などなどの魔法が常時発動してる」



(なんで――)



 アリアがそっと遺体を動かすと、遺体の真下には魔法陣が崩れかけて結晶に変わり始めており、遺体であるがその者がいつまでも魔法の発動をしているかのようであった。



(悪趣味にもほどがある)



「あたしもそう思う。アリスの件の時もそうだけれど、実はあたし、この一連に覚えがあるんだよね」



(そうなの?)



「うん、アリス小さい時だったから覚えてないかもだけれど、昔王都で誘拐犯をボコボコにしたんだけれど、その時とそっくり」



(ん~……それって)



「なに?」



(……もしかしてお姉ちゃん知らずにノアちゃんと友だちになったの?)



「なんのこと? まああれだけのことだから王族のノアにも報告は言っていると思う」



 アリスが心底残念なものを見るような目でアリアを見ながら、盛大にため息を吐いた。

 魔法以外のことは特に記憶に留めない幼女、アリアである。



(それで、ここまで来たのはこれを確認するため? それにしては随分と大きな声でしゃべってたけど)



 アリアは小さく笑うとそっと背後の方に意識をやった。



「……断片的に聞こえてたかな(・・・・・・・)?」



(アンちゃん先生?)



「ん、ずっとつけてきてるよ。これで少しは進展があればいいんだけれど――さて、次は水宮の湖だね」



(……さてはアンちゃん先生たちにも手伝わせる気だな)



「必要になってくるからね。あ~あ、ノアが調べてくれたらなぁ」



 アリアは棒読みで言葉を発し、ウインクをアンメライアがいるだろう箇所に投げて上機嫌に脚を進ませるのだった。

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