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その姉と獣系妹爆誕

「ん~――」



「悩んでるねぇ。うんうんいい傾向だよぅ」



(ちなみにお姉ちゃんの研究テーマってなんだったの?)



「ん? えっとねぇ――」



 図書館でのアドバイスを終え、ダンテミリオ姉妹とミアベリルは校庭に出て他クラスの授業を見て回っていた。アリア曰く、ミアベリルは本とにらめっこしているよりも外に出て直感的にひらめいた方が身になるだろう。とのことであった。ちなみに授業はサボっている。



「あたしの研究テーマはあれ、呪文カルタ――」



(楽しようとしてる!)



「失礼な、言語に出来ない呪文を特殊な道具で書き込むのって大変なんだからね」



(それ結局カルタにならないじゃん!)



「魂で聴く――」



(喧しい! もうっ真面目にやろうよ)



 明後日の方角を向いて吹けない口笛をフスフス吹いているアリアに、アリスは頬を膨らませたのだが、姉の方は知らんぷりしている。

 そんな彼女の背中をミアベリルがちょんと触れる。



「ん~、決まった?」



「ううん、でも、なんとなく、見えてきた、かも」



「そっか」



 アドバイスした甲斐があったとアリアは満足しているようなのだが、ミアベリルがアリアの袖をちょんとつかんだまま離さないでいる。



「ベリルちゃん?」



「……」



 ミアベリルが照れたようにあちこちに視線を向けており、アリアもアリスも互いに顔を見合わせるのだが、その後輩が意を決したように口を開いた。



「あ、あの――」



「うん」



(控えめな子よのぅ)



「あの、ね、アリスがね、いつも、お姉ちゃん――アリア、先輩、の、話ばかりで、私、は、一人っ子、だから、羨ましくて」



(そういえばベルの前でいつもお姉ちゃんの話してたよ)



「……もっと2人のお話しようよぅ」



「それで、ね、アリスの話、聞いている内に、なんだか私も、勝手に妹みたいに、なった気分で、その……アリア姉って、呼んでいい、ですか?」



「まっ!」



(お姉ちゃん寝取られたぁ!)



 いじらしく話すミアベリルに、アリアは両手で口を覆いながらはにかんだ。そしてそのままミアベリルを撫でて何度もうなずく。



「もちろんだよぅ、アリスは小姑みたいになってきたから、こんな素直な妹が欲しかったんだよぅ」



(あんだとぅ!)



「よかった。それに、ね、アリア姉と一緒にいる、と、なんだかアリスが近くにいる、みたいで――具体的には、この辺り」



 そう言ってミアベリルが手を伸ばし、指でツンツンと空をつつくのだが、その場所にはまさにアリスがおり、彼女に頬をつつかれてアリスが「うっ、うっ」と声を上げていた。



「アリア姉が学園に戻って、くるまで、沈んでいた、けど、もう、寂しく、なくなった」



(ワンコの嗅覚かぁ、ワンコの嗅覚なのかぁ)



「……」



 するとアリアが思案顔を浮かべ、手を叩くとミアベリルからの視線を集めて口を開いた。



「ねえベリルちゃん、研究テーマなんだけれど、魔法の気配(・・・・・)について研究してみない?」



「魔法の気配?」



「うん、多分ベリルちゃんはそれが出来るんだと思うよ」



「……ん、じゃあやって、みる」



「こうやって提案しちゃったからね、お姉ちゃんも協力しましょう」



「ん」



「それじゃあ今日の放課後、ちょっとうちに寄ってくれる? 本を貸してあげるよぅ」



「ん、えっと、それなら、お礼」



「気にしなくていいよぅ」



「ん、でもアリスが、アリア姉、日常生活ゴミクズだから、この機会、に、お手伝い」



「うんうん、ありがとうね――」



 にこやかに礼をしたアリアは、そっと逃げようとするアリスの首根っこをつかみ、ミアベリルを手招きして、ダンテミリオ姉妹が借りている部屋まで歩みを進めるのだった。

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