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最善

作者: 豆苗4

 いついかなる状況においても最善を尽くせ。例え散々な状態であろうといつも全力でやるんだ。何が何だか分からなくなったとしてもなりふり構わず取り敢えずやるんだ。一歩も前に進まないよりかは雀の涙ほどの歩みであろうと前に進む方が良い。身の毛もよだつ暴風雨に抗え。猛吹雪を堪えろ。這ってでも泥水啜ってでも進め。後退などもっての他。前進あるのみ。

 そうでもしなければ然るべき時に全力を出せなくなる。その時になって後悔しても遅いのだ。ああ、あの時こうしていれば良かった。ちゃんとやっていればこうはならなかったのに。こんなはずじゃなかった。あの時に戻れたらなぁ。頭をぐるぐるとよぎる灰色の日々。ならば。そうであればこそ最善を尽くすのだ。あの鬱鬱とした日々こそが尽きることのないエネルギーである。そして我々の困難な道行きを先々まで照らすのだ。

 忸怩たる思いで断固として跳ね除けるのだ。堕落への誘惑を。停滞への誘いを。頽廃への招待を。悪夢への入り口には決して手をかけてはならない。悪魔の囁きにも耳を貸してはならない。決意が瓦解するのは本当に一瞬だ。だから忘れないようにしよう。今にも消えかかった小さな青白い炎を。それは何よりも脆く弱々しい。ふっと目を離した隙に消えてしまいそうな位だ。しかし、そうであるが故に逆説的に我々の剣となり盾となり導べとなる。我々のほぼ唯一と言っていい純粋な希望なのだ。希望を捨ててはならない。少なくとも朝日が昇るまでは。希望など望むべくもないことだが、それでもなお最善を。

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