勝手に決めつけて・・ご麺!?、許して!?
誰しもヒトは、各々のこだわり、固定概念を持っている・・それは例えば『苦手なモノには手を出さない』・・そう思っているヒトは多いはず・・果たしてそれは真理であろうか?
しいなここみ様『麺類短編料理企画』参加麺です!
『麵好きに悪い奴はいない』・・・・
突然、私の脳内に某作品のセリフが思い出された。
・・・私は麺類が好きだ。大好きだ。とーっても好きだ。
照れくさいが『愛してる』と言っても過言ではない。
無論、『麺類が好き』っと大雑把に括っても、その味や種類にも自分流の拘りはあるが、豪快に麺類を啜り上げることが何より好きなのである。
何故なら、豪快に麺類を啜り上げることは、その味覚だけでなく嗅覚や触覚など様々な感覚を刺激し、麺類をより美味しく味わう為の神聖なる儀式であるからだ。
・・そんな私は、今、突き刺すような厳しい視線を感じている・・
合計四つの・・琥珀色に光る目が白と黒に分かれて私を見つめている・・
その開いた二つの口腔には、鋭い牙がこちらを威嚇するように見え隠れしている・・
まさか、こんなことになるとは思っていなかった・・想定外だった・・
いや、私だけではあるまい・・恐らく殆どの者が、こんな事態を想定できなかったであろう・・
彼ら、彼女らと共に我々が生活をするようになったのは、古代エジプト時代・・
約5000年前だと言われてきたが、最近では9500年前に共に埋葬された例が発見されたらしい。
そんな悠久の昔から共に過ごしてきた我ら・・故に、お互いの特徴を十分に理解している。
・・・はずであったのだが・・
い、いかん!?、そんなことを妄想している場合ではない!?
獰猛な獣たちが危険な唸り声を上げている!?
以前の凄惨な事件を思い出し、私は出来得る限りの最速で手を動かす!!!
でなければ、私の準備したモノたちがどうなってしまうのか!?
「あっ!、待って!、待って!、す、すぐにゴハン用意してあげるから!?」
私が用意したアツアツの湯気が立ち上る麺を前に、今にも食べたそうに白い前足を載せている!?
「ダメだよ!?、その中にネギとか入ってるし、塩気も多いから!、麺も小麦アレルギーとか色々あるんだからー!?、それはあげられないよー!?」
うにゃうにゃー!!!、うにゃーうにゃー!!!
私が麺を用意すると決まって『ゴハンよこせ!』って言ってくる白と黒の猫ちゃんたち!?
いつもは飼い主である私に素っ気無い様子を見せる二匹の猫なんだけど?
いくら気を惹こうとしても完全にアウトオブ眼中なのだけど?
何故か、私が大好きな麺類を食する時だけ決まって二匹が妨害してくるのだぁっ!?
まるで『オマエニクワセルメンルイハネェ!』っと私の大好きな麺類を喰わせない!って言わんばかりの悪魔の所業!?
そんな艱難辛苦の日々・・最近は夏場ゆえに、どうにか冷たい麺を食べるのは許してもらえていたのだけど・・
そして、今日、ぐっと下がった気温に私の『アツアツのラーメンが食べたい!、どーしても食べたい!』という欲望は我慢の限界を超え、再び挑戦の時を迎えてしまったのだ!
『猫舌ゆえに熱い物は苦手だよね?、最近は大人しかったから許されるかも?』と・・
そんな固定概念と妄想は、この二匹の可愛い小悪魔ちゃんたちによって未曾有の危機を招くことになってしまったのだ!
「あ、開かない!?、どーしても開かない!?」
私は『緊急ゴキゲン回復用の秘蔵カンヅメ』を開けようとしていた!
久方ぶりに使う缶切りが、ますます焦る私の手を滑らせる!?
(でも、何で麺類食べる時だけ邪魔するんだろう?・・私の幸せな時間を・・)
・・・誰しも苦手なモノは食べたくない・・普通はそう考えるはずだ。
しかし、『苦手だけど無性に食べたくなること』は絶対に無いのだろうか?
いや、逆に食べられんないからこそ、その不満が爆発することがある…のだろうか?
熱いモノを食べない猫舌の猫が、アツアツのラーメンを嫌いだと誰が決め付けたのか?
ガッシャーン!!!!
「いやぁぁぁっ!?、わ、わたしの小チャーハン!?、キムチがっ!?」
けたたましい物音に部屋へ戻った私の目は、悲しい惨状を映し・・そして・・
ぐらぐらぐらっ!!!
「うぁわぁぁぁーー!?、ラーメンがぁーーっ!?、至福の一杯がぁーー!?、やめてーーっ!?」
・・・いつになれば、心置きなく麺をすすれるのか・・・
「勝手に決めつけて・・ご麺なさいー!?、ゆるしてーー!?」
私と二匹の麺をめぐる戦いは、これからも続いて行く・・・・
(了)
壁|ω・)<猫にラーメンをあげてはいけません・・うどんやそばも・・短時間で仕上げた作品なのでクオリティは二の次です(爆)