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君は死なない  作者: 秋元智也
50/53

50話

会議室を空けて貰うと、先に通してあると聞いていた。

秘書と一緒に入ると、会社役員にしては嘘くさい表情

だった。


年齢も若い。

一人年齢の高そうな人はいるが、どうにもおかしい。


結構長くやっている企業だと聞いていた。


「あたらめて、会ってくれるなんて感激です。若草工業

 取り締まり役、長谷部と申します。若いのは最近世代

 交代したばかりなんです。社長さんもお若いようで…」


「いえ……それより……アポ無しでしたよね?どう言った

 お話なんですか?」


「簡単な事ですよ。うちはこう言った商品を扱ってまし

 てですね……」


長谷部の横の年齢のいった男が話始めたが、誰もそれを

気に留めていなかった。


「おい、そんな事はどうでもいいんだよ。傘下に入れろ

 って事だよ」


いきなり直球に言い出したのは、若い長谷部と名乗った

男だった。


「長谷部くん、何を言ってるんだ!うちは礼儀正しいの

 を前代社長からよく言われていただろう?なんて口の

 聞き方をするんだ。えーっと、気を悪くしないでくだ

 さい、実はちょっと事故で社長が亡くなったので、こ

 の若いのが跡取りでして……」


取り繕う年配の男は冷や汗ががダラダラ垂れていた。


「そんな取り繕わなくてもいいんだよ。すぐに社長が変

 わるんだからさっ〜」


「ちょっと聞いてれば失礼な方ですね!私はここの秘書を

 している坂口と言いますが、社長にそのような口に聞き

 方をしておいて商談などできると思ってるのですか!

 もう、いいです、社長。行きましょう」


坂口くんの言う通りだった。

どうして会ってしまったのだろう。


帰ろうとすると、ドアの前に立ち塞がってきた。


「誰が帰っていいって言ったんだよ?おじさん、今から

 代替わりだ!」


そう言った瞬間、手に持っていたナイフを振り回したの

だった。


数ヶ月前に刑務所を出たばかりで心を入れ替えたと言っ

ていたので、自分の会社に入れた。


父親は厳格な人で、人を大事にするような人だった。


いきなり深夜に襲われて、命を落とした。

それが長谷部が出て来る前だったので、ただの物取りと

判断された。


だが、今目の前で起きている事は、もう弁解のしようが

なかった。


いきなり大手の会社に傘下に入りに行くとついてきたら

こんな事態に……。


年配に男はすぐに警察へと連絡を入れた。


その間にも会議室では取り返しのつかない事が起きていた

のだった。


「おじさん……これで俺も金持ちの仲間入りだ!安心しろよ、

 おじさんまでは巻き込まねーからよ」


「おい、何を言ってるんだ!こんな事しておいて……」


警察と救急車が会社の下に辿りついたとき、一台のタクシー

がちょうどロータリーについたところだった。

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