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君は死なない  作者: 秋元智也
25/53

25話

あの時はただただ、驚いたのも事実だった。

まだ学生の彼に何があったのかと……。


「あれ……どうして僕、傷の事しってるんだろう。確か

 にどこかで見たような……あれ?」


「着替えの時、見て驚いてただろ?あの傷ができた時、

 その場に霧島もいたんだ。思い出せるか?」


真っ直ぐに見つめられると、手を差し伸べる少年の影

が目の前を過った。


いつも見ている夢に出てくる少年だった。

いつも自分のそばにいてくれて、自分の手を引いて連

れ出してくれた少年。


『大丈夫。俺がついてるから……心配いらないよ?』


「大丈夫。俺がついてるから……」


「え……なんで……」


思い出しかける。

面影が似ている。


いや、似ているなんてもんじゃない。

彼そのものな気がした。


「あや……くん……?」


「そう、思い出せそう?それなら……あの日もわかる?」


「あの日?」


「そう、兄の永人が霧島に何をしようとしたのか!思い

 出せる?」


「兄さん……あれ……兄さんなんていたっけ……」


記憶が混乱し始めていた。

目の前がくらくらしてくる。


考えれば考えるほどに、頭痛が酷くなってきたのだった。

頭を抱えるように蹲ると雅人は何か大事な事を忘れてい

る気がしていると気づく。

でも、はっきりとは思い出せない。


霧がかかったような記憶の中で、誰かが自分を呼んでいる

声だけが今も響いて来ていたのだった。


いきなり意識が遠のくと、ゆるゆるとしたまどろみの中に

落ちていく。


「霧島っ!」


大きな声で叫ぶ上田の声に反応するように、ムクッと起き

上がった。


「はぁ〜、心配するだろ?いきなり倒れるなよ〜」


『思い出させるような事はするなと言ったんだが……聞こ

 えていなかったのか?』


心に響くような霧島の声に、すぐに別人だと分かった。


「お前は……影なのか……」


「……」


「なぁ〜、どうして思い出しちゃだめなんだ?殺したのが、

 お前だからか?実の母親の時も、今回も父親の時も……」


『雅人には耐えられない……それなら知らない方が……いい』


「それは霧島が決める事だろ?隠さず話せよ!それに………

 どうしてお前は霧島の前に姿を見せないんだ?」


『……』


霧島の側には常にいるのに、霧島の目に映ったのはあの時

だけだった。どうにも腑に落ちなかった。


別人なのだから、知られても構わないのではないのか?

それとも、知られては行けない理由でもあるのだろうか?


『雅人を……運んでくれ……』


「ちょっと……待てっ……」


言う前に、前に倒れ込んできた霧島を上田が抱き止めた

のだった。



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