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君は死なない  作者: 秋元智也
22/53

22話

パチッと目が覚めると、真っ白な天井が目に入った。

そして覗き込む人影…。


「霧島…戻ったか?」


「……」


上田はナースコールを押すと目が覚めた事を知らせた。

ただぼんやりと眺めている霧島に何度か声をかけたが

反応がない。


さっきまで一緒にいたはずで、今、まさに目が覚める

前まで影の中で話していた。


そのはずだった。


だから、目が覚めたらきっと一番初めに上田の事に気

づくと思っていた。


だが、目があっても何も反応はなかった。


近くに影はいない。

どこかに行ってしまったのか?

それとも。中にいるのか?


霧島が危険と判断しない限りは出てこない。


そう言うやつだ。

子供の頃はいつも出てきて、遊んでいたが、それも上田

にしか見えていなかった。


理由はわからないが、上田が大怪我した時も、影がいた

おかげで死なずに済んだと言ってもいい。


確かに命に関わるほどではあったが、雅人を庇った上田

の手を引いたのは紛れもなく影の存在だった。


だから、上田には影が悪とは言えなかったのだ。



「霧島…………」


しばらく病室から出されると外の待合室へと来た。

父親の秘書が来て色々と聞いていた。


さっき霧島が言っていた事が正しければ、きっと父親は

家で…。

先生から、事情を聞いた秘書が出てきた。


「あの………霧島は?」


「あぁ、君が……知らせてくれてありがとう、目が覚めた

 ようだね。今日はもう遅いから帰りなさい。それから…

 もうこなくていいか ら…」


「それってどう言う……」


「これ、少ないがとっておきなさい」


手渡された封筒には札束が入っている。

こんなものを学生に渡すなんてどうかしている。


「これはどう言う事なんですか?来るなって事ですか?」


「理解が早くて助かるよ。君の為だよ。もう会わない方

 がいい。そう言っているんだ。いいね?」


秘書の言い方が気に入らなかった。

すぐに病室へと駆け込んでいた。


さっきの続きを話したい。

そう思ったからだった。


でも、鎮静剤を打ったせいか霧島は眠っていた。


「話したい事が…あったんだけどな……」


『あいつは覚えてないぞ……』


「お前は………影だよな?霧島の事知ってるのか?どう

 なって……」


『会っても……覚えてない……記憶をもらった……これ

 からは普通に生きていて欲しい……だから………』


「なんだよそれ……あいつの気持ちは?全部持ってい

 ったって事かよ?」


『あぁ……それがいい………あいつを守る為だ……』


それだけ言うと、消えていった。

多分、霧島の事を一番思っているのかもしれない。

だけど………記憶を失う事の恐ろしさを誰よりも知って

いる上田には耐えられなかった。


「霧島……明日も来るから。絶対に思い出すまで来る

 から……」


そう、言ってから病室を出て行ったのだった。

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