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君は死なない  作者: 秋元智也
10/53

10話

保健室を後にした上田綾は、そのまま教室に向かう

予定だった。が、急遽足を止めた。


それがなぜかと言われるとわからない。

ただ、少しひかかったというべきだろうか?


保健室に戻るとベッドに眠る霧島を確認する。


「そう……だよな……」


『お前……敵か………?』


後ろにゾワッとした寒気がする。

振り向いた瞬間首を絞められ身動きが取れなくなっ

た。

いきなりだったので、何が起きたか分からない。


ただ、目の前で起きている事が事実なのだと知った。


「きり……しま……?」


『お前は………敵…か……?』


「違うっ………俺は……霧島の味方だ!」


『ならいい………裏切るなよ………』


その姿は、完全に霧島そのものだった。

顔も、まるで本人としか思えない。


目の白い部分が真っ黒に見える。

これは一体……。


「君は一体……」


ただ無言で出ていくのを上田は追いかけた。

眠っている霧島は本物なのだろう。


なら、こいつは…?


こんな不思議な光景、初めて見た気がする。

初めて……本当に初めてだったのだろうか?


上田綾は自分に問いかける。

昔も同じような人物に会った事があったのではないか?


『お前………昔と変わらない……ならいい……』


「昔ってどういう意味だ?」


廊下で叫んだせいで、周りの視線が一気に上田に向いた。

明らかにおかしい霧島には誰も視線を向けない。

こんなおかしな事があるだろうか?


目の前の霧島の身体から女子生徒がパッと現れた。


「えっ……あ、ごめん」


「こちらこそ、すいません」


ぶつかりそうになったところを避けると、一つの仮説

を建てる。

この霧島は自分にしか見えていないのではないか?


そして、霧島に敵意を向ける人間を殺しているのでは

ないか?

という事だった。


もしそうなら……どうしたらいい?


偽霧島は、一体どこに向かうのか?


後を追うようについていくしかなかった。

もうすぐ授業が始まるのを知っていたが、このまま

放置もできない。


興味本意とかでは無い。

ただ、本当の事が知りたいのだ。


屋上までくると家庭菜園用の畑が広がっていた。


「おい……どこまで……」


呼び止めようとしたはずが、すうっと消えて行っ

た。


いや、違う。

地面に入って行ったのだ。


この下は……!

三年のクラスだった。





授業中、手紙にカッターの刃を仕込むと宛名に霧島

雅人と書いた。


放課後下駄箱に入れればいい。

そうニヤつくと授業もそっちのけに窓の外を眺めて

いた。

そして目の前に落ちていく人間と一瞬目があった。


「えっ……」


ガタッ。


「おい、授業中だぞ!勝手に席を立つな!」


「違う、今人が………うわぁァッ!来るなぁーー!!」


そう言って窓開けて外を眺めた瞬間引きずられるよう

に落ちていく。

側から見れば、いきなり立ち上がって、窓の外に身を

投げたように見えた。


授業中だっただけに、全員が目撃者となった。

その男子生徒の机の中からカッターの刃が入った霧島

雅人宛ての手紙が発見されたのだった。


イタズラにしては、本当に酷いものだった。

一年生に対してやる事じゃなかった。


霧島は巻き込まれた側として、先生に呼ばれたが、た

またま保健室で寝ていたという事で、事件らしい事件

にはならなかった。

ただの自殺となったのだ。


それが例えば、永人と仲のいい生徒だったとしても…だ。


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