僕は好きな子にだけ上手く話せない。
僕は、好きな女の子にだけ上手く話せない。
どうしても、緊張して目も合わせられないし
話す言葉も見つからない。
・・・だから、彼女を無視するような態度になってしまう。
本当は、もっと彼女の傍に居たいし話もしたいのに。
なかなか? そうする事が出来ないでいた。
彼女は、僕に何故だか? 凄く嫌われていると思っているのだろう。
他の男女の友達からも、こう言われる。
『白木! お前、なんであんなに園川に冷たいんだよ!』
『・・・ひょっとして? 白木クン、園川さんの事、嫌いなの?』
『園川さんと全然、白木クン話さないもんね!』
『・・・いやいや? ひょっとして、園川の事が好きなんじゃないの?』
『・・・えぇ!?』
『“図星じゃん!”』
『意識し過ぎて話せないだけなの?』
『それなら、俺達が協力してやるよ!』
『・・・いいよ!』
『じゃあ! 普通に園川に話せよ!』
『・・・・・・』
『きっかけを作ればいいいんじゃないの? 共通の趣味とか?』
『あぁ! それいいな!』
『園川の趣味って何?』
『・・・あぁ~あれだよ! あれ!』
『あれって? 何よ!』
『あれあれ!』
『・・・・・・』
そう言うと? 男友達のヒトシが僕にだけこっそりと耳打ちしてくれた。
言った後のヒトシは、僕の顔をニヤニヤしながらこう言った。
『これで、バッチリだな!』
『・・・・・・』
僕の肩を叩いて、皆を連れて教室に行ってしまう。
僕は、思い切って彼女の趣味に興味を持つようにした。
*
そしてある日。
僕は、思い切って一人で猫カフェに足を運ぶ。
彼女の趣味は、“猫好き”だった事だ。
一人で、お気に入りの猫カフェに行っている情報をあの男友達の
ヒトシに聞いて、今日は勇気を振り絞って彼女が居ると信じて
会いに来たんだ。
それに、元々僕自身も猫は大好きだから気が合うのかもしれない。
そんな淡い想いを抱いて猫カフェに、、、。
お店の中に入ると? お客さんがたくさんいて猫と遊んでいた。
その中に、彼女の姿を僕が見つける。
僕は、さり気なく彼女に話しかけた。
『・・・あぁ、そ、園川! 猫カフェに一人で来てたの?』
『・・・えぇ!? あぁ、ううん。白木クンも?』
『・・・ううん。』
彼女は、まさか!?
プライベートで、僕に話しかけられると思ってもみない顔をしていた。
そりゃそうだな! 僕は学校でも彼女に話しかけた事もないし!
それに、猫カフェに僕が来るとも思ってもいなかったはずだ!
『白木クンって? 猫が好きなの?』
『ううん! ウチにもタイドとコウドウという猫を飼ってるよ。』
『えぇ!? いいな~お家に猫がいるなんて~!』
『園川は、猫を飼ってないの?』
『妹が猫アレルギーだから、猫を飼っちゃダメって言われてて!』
『・・・そうなんだ、よかったら? 僕のウチに来れば猫に会えるよ。』
『会いたい! タイドちゃんとコウドウちゃんに会いたい!』
『タイドはね! ふてぶてしい猫でまん丸お目目が可愛いオス猫でね!
コウドウは、お腹がすくとにゃ~にゃ~なくメス猫なんだよねぇ~
どっちも可愛いんだ~! 早く園川にも会わせてやりたいよ!』
『私も会ってみたい! 次の日曜日、タイドちゃんとコウドウちゃんに
会いに行ってもいい?』
『勿論! 会いにきて!』
『うん!』
僕と彼女との距離は? 愛猫を通して仲良くなっていった。
彼女は、暇さえあれば僕の家に来て、愛猫のタイドとコウドウに
会いに来るようになる。
彼女は、僕の愛猫にメロメロになっていった。
それからは、猫カフェにも行かなくなり。
僕と彼女は、日に日に仲良くなって付き合うまでになった。
あんなに、意識して話せなかった女の子と付き合えたのも。
愛猫とあの男友達のヒトシのおかげだ!
彼女の好きなモノを教えてくれた彼には感謝しかない!
これからは、もっともっと猫を通して仲良くなって行けたらいいな
と僕は密かに想っている。
最後までお読みいただきありがとうございます。