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六十 【覗き未遂】

 

 龍の姿では結界を通る事が出来ないので、

 国門の手前で降り立ったクロウとジハードは、町まで歩いて行くことに。

 人の姿となったジハードはクロウをおいて行くかのように早々と先を歩く。


「……なぁ〜、まだ怒ってるん?機嫌なおしてくれよぉ〜」


「……怒っていませんよ?ただ、私は龍族の中でも最も古い歴史のある最高位種族です。

 ほかの者がいるところ、ましてや気分で私をからかわないで下さいね?」


 怒ってるやん。

 機嫌の落ち着かないジハードと気まずい雰囲気の中歩いていると、

 だんだんと国の正門に近づいてきた。

 そういや、転移魔法ばっかり使ってたから門から入るの初めてだな。

 高い壁に囲まれた国の入口となる国門には、よく見ると二人の兵士が立っていた。

 普通に通れるのか不安な気持ちが募り、クロウは念の為、先行くジハードを追い越し

「一応後ろを歩いてくれ」と頼み、クロウが先行した。

 国門に近づくと兵士は目を細め、クロウ達を怪しんでは

 通させないように門の真ん中に立ちはだかり二人を警戒している様子。

 ……これ絶対俺の事伝わってねぇよな。

 ならジハードなんて絶対入れねぇし……あいつ等呼ぶか。

 ジハードを民に知ってもらうという目的もあるため、無理矢理通る訳にもいかない。

 このままだと町に入れないと思ったクロウは、リルル達に念話を送った。


「「リルルかミルル、聞こえるか?国の正門まで来てくれ!兵士が邪魔で通れそうもない」」


「「にゅっ!クロウ!?凄いねこれ……って、門から歩いて来てるの?とりあえず今行くね!」」


 ミルルが念話に応じ、すぐに空から迎えに来てくれた。

 ジハードの人型となった姿を初めて見たミルルは驚いてはいたが、

 元々大陸調査の護衛中に対面し、友人関係となっているため、

 特に長話しもせず多少互いに気を使っているのか挨拶一つで終わった。

 兵士に説明をして国門を通り、ミルルのおかげで国へ入ることができたが、

 町まではまだ距離があり、町に入って城までも遠く、更にそこから石段を上がった所に城の門があるのだが、遠過ぎる。

 普通に歩いて行くと数十分ではたどり着きそうもなく、クロウは気だるそうな顔を浮かべ


「町はどうせ後で回るから……お前等先に城まで飛んで行け。俺は転移魔法で行くわ」


「よろしいのですか?私もミルルの様に翼だけ出す事はできますので構いませんが」


 クロウの提案にのり、ジハードとミルルは二人で城へ向かって飛んで行った。

 ふぅー、良かった。この国の広さで歩きは勘弁。

 国門から見る城はとても小さく、乗り物でもなければ辛い距離だ。

 クロウも転移魔法を使い、まずは融合を解くためにガイアを寝かしている客間へ転移した。

 ガイアが元の身体に戻り、ジハード達を探し生命力を探ると、なぜか女達は全員レイチェルの部屋に居るようだ。

 二人はすぐに転移したが、クロウだけ着いた先はレイチェルの更衣部屋。

 あれ?ここどこだ?何でまた……。

 一度転移してきた場所を覚えてしまっているようで、部屋の中にある更衣部屋に空間が開いた。

 しかし、一緒に転移したガイアは見当たらない。

 すると部屋の外からレイチェル達やガイアの声も聞こえてきた。

 個々の魔法で転移したからか、ガイアはしっかり皆の前に転移していた。

 やっぱあいつの方が魔法の使い方が上手いってことか。

 とりあえず皆のいる部屋に行こうとドアノブに手を掛けた瞬間、

 レイチェルの声が近づいて来ることが分かり、衣装部屋に入ってくると分かったクロウは

 なぜかとっさにドレスの中に紛れ隠れてしまった。

 うっわー!何で隠れる必要あんの!?出なきゃ――


[ガチャッ]


 あたふたしている間にレイチェルが部屋に入って来てしまい、しかもジハードもついて来ていた。

 やばい……こんなところ見られて何て言い訳したら良いか。

 このままだとただの覗き魔になると隠れたことを悔いていると


「ジハード様が今お召ししている色が一番似合うと思いますのでそれに近いドレスを――」


「レイチェル姫、貴女は人間なのですから私に様付けはおやめ下さい。

 ……これがパーティードレスですか。綺麗な物ですね」


 そういうことか。まぁ今の服装で国王達に会うってのもな。

 今のジハードの服装は城を回るには適さないとレイチェルは思い、

 自分で衣服を自身の能力で生成できるジハードにドレスの見本を見せに来たようだ。

 端から黒に近いドレスを一つ一つ取ってジハードに見せて照らし合わしている。

 服と服の間から楽しそうな二人の姿を見てクロウは微笑んだ。

 女同士は楽しそうだな。ジハードも少しは……!俺の前にあるの黒系ばっかだ!

 クロウの隠れている場所には丁度黒系のドレスが何着か掛かっていて、

 このままだと完全に隠れていることがバレてしまう。

 そこで、隠れてながらクロウの中で一つ引っかかった。

 この部屋に転移した時、生命力を探りたどってきた。

 そしてジハードは他の人外と違い、生命力だけでなく魔力も感知することができる。

 もしかして……。

 レイチェルは気付いてないにしても、ジハードや外にいる者は気づいていてもおかしくない。

 しかし、ジハードは何事も無いようにドレスを手に取り見ている。

 クロウは嫌な予感がしてしょうが無い。


「あっ!このドレスはいかがですか?とてもお似合いですよ!」


「そうですか?ん〜これも良いのですが……あちらにあるドレスも見てみたいですね」


 絶っ対気付いてる!

 ジハードはクロウの隠れている所にピンポイントで指をさし、そこまでレイチェルと共に近付く。

 やばいやばいやばい!こうなったら自分から出ていくか!?いや、もしバレていなかったら……。

 段々と近付く二人に焦るクロウは、どうにか移動しようと試みるが、

 動くとドレスが揺れ動くため身動きがどうしてもとれない。

 うわぁぁ……これ死んだかな?

 二人がすぐ目の前に立ち、クロウの前に掛けてあるドレスをレイチェルが手に取った。

 すると


「ジハード様?どうしました?これもお気に召しませんか?」


 クロウはその場から消えていた。


「いえ……ですが、やはり先程貴女に取って頂いたドレスが好みですね」


 ジハードはドレスを取って空いた隙間を横目で見つつ、またドレスを選び始めた。


数ある中からこちらを見て頂きありがとうございます。

気が向いたらブックマーク、評価など頂けたら幸いです……!


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