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五十八 【誑し込んだキス】

 

 ジハードはクロウの腕の中で肩を震わし口から漏れそうになる泣き声を必死に押し殺す。

 しばらくすると震えが止まり、クロウの腰から腕を下ろした。

 落ち着いたようなので、クロウも抱いた腕を解いた。

 まだ鼻をすするジハードの顔を見るとまだ涙を目に浮かべていたので、指で涙をすくうように拭い優しく頭を撫でた。


「……ごめんなさい。お恥ずかしいところをお見せしました。貴方は優しいのですのね」


「構わねぇよ、色々思う事があったんだろ?

 それにお前みたいに可愛い奴ならいつでも胸貸したる、大歓迎だ(笑)」


 クロウの言葉にジハードはクスクスと笑い出し、クロウも一緒になって笑い合った。

 何を思って涙が流れたのか具体的な事は言わないが、ジハードからしてクロウが言う"可愛い"が分からないようだった。

 どのようにして今の背丈や顔となったのか聞いてみると、龍から人の姿になる変身時の見た目は自分で考えたものではなかった。

 人も人外も動物でもそれぞれ異なる大きさで、異なる顔を持つ。

 人からすれば同じ様に見えても同族でしか分からない違いがあり、それは龍族も同じで体が大きく鋭い目つきで同じように見えるが、種類も異なり顔も全員全く違うようだ。

 遺伝子や容姿に違いが必ず存在する世界の理の中での変身であり、ジハードの本当の姿でもあった。

 変身と言っても、自由に体形を変えられる訳ではないようだ。


「っつーことはジハードがもしその……人種?として生まれてても今のその姿って事なのか?」


「そういう事になりますね。それがどうしましたか?」


 ……マジか。


 クロウはジハードを凝視したまま止まってしまった。

 普通に言葉を交わし今のジハードの姿を見ていると龍神などとはとても思えなく、もし異世界でなく地球で出会っていたらと考えたりと勝手に脳内で盛り上がっていた。

 元々女の好みなんてねぇし、恵華やアンナ、エリザも可愛いと思うけど……可愛い部類の中でこいつみたいに新鮮な感じのは初めて会うな。


「あの、クロウ?大丈夫ですか?クロウ?」


 ジハードはクロウの体を揺すり反応を確かめるが微動だにしない。

 心配になったジハードはクロウの体調を診るためにクロウの頬をペロッとひと舐めした。


「ふにゃあっ!!」


 ジハードに見惚れながらアホな事を考えている内に心配をかける程固まっていたようだ。


 びっくりしたぁ~。え?今、な……舐められたのか?


 頬を押さえながら何があったのかと驚いていると、


「すいません……体調が悪いのかと思いまして確かめる為にやりました。気持ちが悪いでしょう……ごめんなさい」


「いや、心配かけてごめんな!顔舐められたのは初めてだ(笑)

 あと、ジハード……人の頬は舐めるものじゃねぇ。キスするもんだ!」


「キス?」


 何を言っているのか。

 クロウはジハードにキスを求めている。

 舐めたのはクロウの容態を診るためのものと知っているのにも関わらずに訳の分からない事を求める。

 ジハードはキスが何なのかは分かるようだが、その行為の意味は分からないようだった。

 仲の良い異性なら当たり前の行為だと教え、どうせならと口にするのが正しいと教えだした。


 フッフッフ……ますます可愛く思えてきたぜ。


 何も知らないジハードにクロウは(よこしま)なことを考えてキスをするように誘導し、特に何も抵抗は無いと言ってジハードはクロウに近づくと、肩に手を置いて屈むように指示を出した。

 クロウは満面の笑みで「よろこんで!」と腰を低くし目を瞑り構えると、ジハードは顔を近づけ始めマジでキスする二秒前となった。


 うおぉーーカワユス!いただきマンモス!チュー……ん?え!?ウソん!!

 キスまで一センチまでにきた瞬間、クロウの意識が飛んでガイアと意識が入れ代わり、瞬時にジハードからバックステップで離れた。


「「あぁぁぁぁ!!てめぇ!良いところで何しやがる!」」


 ガイアはため息を吐きつつ、ジハードにはしたない真似をするなと注意を促した。


「今貴様がクロウにしようとしていたのは人が人を愛し、その思い人にする行為だ。覚えておくが良い」


 ガイアの教えにジハードは驚き、赤面して顔を伏せてしまった。

 ジハードを抱きしめたところまでは感心していたガイアだったが、いつまでも分身を造らずつまらない事をし始めたので、我慢できずに表に出てきたのだった。


「「この阿呆が!さっさと分身を造り城へ戻れ!!」」


 へいへい……。


 意識が再度入れ代わり、クロウはジハードに「悪かったな」と軽く謝罪をした。

 するとジハードは顔を上げ、肉眼で確認出来るほどのオーラを放ち鋭い目つきでクロウを睨み始めた。


 あっれ~?めっちゃキレてる?こ……殺される?


 睨みを利かすジハードを見てこの可愛い女性が龍神だということを思い出し、改めてしっかりと背筋を伸ばした状態から頭を下げ何度も謝罪を繰り返した。


「ハァ……もう良いですよ。頭をお上げになってください。

 貴方のことは嫌いな訳ではありませんが、次おふざけが過ぎましたら……」


「ご、ごめんって!別にからかったつもりはねぇから!

 でも可愛い子にキスしてもらいたいってのは人間の本望だぞ?」


 これについてもジハードからすれば理解が難しく、頭を傾げていた。


 ふぅ~、こいつをもっと人と触れ合わさないとだな。

 じゃないと俺の性格上、いつ殺されるか分かんねぇ……。


数ある中からこちらを見て頂きありがとうございます。

気が向いたらブックマーク、評価など頂けたら幸いです!


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