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五十六 【パーティーの準備へ】

 

 レイチェル達を追うようにクロウ達も部屋を出てガナフ国王の元へ向かった。

 パーティーまで二時間ほどあるようで、国王もまだ自室居るとのこと。

 先を歩いていたレイチェル達はつまずいてドレスを汚すことのないように、

 ゆっくりと歩いていた為すぐに追いつき、結局一緒に向かう事となった。

 国王の部屋に着き扉を開けると、ガナフ国王は

 クロウやガイア、初対面となる恵華には見向きもせずに

 レイチェルのドレス姿を見ては美しい、綺麗だと感激しベタ褒め。


「あの……お義父さま、お褒めの言葉は嬉しいのですが……」


 レイチェルは国王の話しを止めてガイア達の方に顔を向けると、

 ガナフ国王もその視線の方へ振り向きガイア達に気付き驚く。

 本当にレイチェルしか視界に入っていなかったようで、

 ガイアに向かいすぐさま身をかがめ(ひざまず)いた。


「お……お見苦しいところをお見せして申し訳ごさいません。

 この度はレイチェルがお世話になりました」


「そう畏まるな。これから祭りなのだろう?貴様も今宵は浮かれ楽しめ」


 ガイアの寛大な言葉にガナフ国王も改めて頭を下げ、謝意を述べる。

 今夜はレイチェルの為に国を挙げてのパーティー。

 城だけでなく、城下町でもレイチェルを祝い祭り騒ぎとなるようだ。

 そんなに盛大にやるのか。楽しそうだな……そうだ!

 ガナフ国王に恵華を紹介し、こちらに連れて来た理由と

 クロウの修行期間はこっちの世界で共にしばらく滞在する事を伝えた。

 そして恵華はジハードとも対面し顔見知りとなった事と、

 それに加えてジハードが人型に姿を変えられる話しをした。

 ガナフ国王は当然、リルルとミルルも驚く中で、さらにクロウはガナフ国王に頼み事をし出す。


「ジハードにも修行を手伝って貰う事になったんだ。

 だからその……龍なんかは何を考えて、何を楽しんで生きてんのか知らねぇけど、

 人になれるならよ……もし国王であるおっさんさえ良ければだけど」


「……なるほど。言いたいことは分かった。

 それが本当ならば私も是非とも人の姿となったジハード様を見てみたい!

 ご招待致すのでまずは私のところへ連れてきてはくれぬか?」


 ジハードが町から城へも入る許可は貰う事ができた。

 するとクロウ達もパーティーへ参加してくれとガナフ国王から頼まれたが、

 それは町の祭りではなく城内で行われるパーティーだった。

 城へはガナフ国王とレイチェルに直接交流のある者や町を支える商人などが来るようだが、

 城内で行われるのは食事や雑談で終わるものではなく

 舞踏会でもあったのでクロウは断固拒否をした。


「はぁ!?そんなんつまんねぇよ!町の祭りに行きてぇ!まだ行ったことねぇし!!」


 駄々をこねるクロウ。

 しかし、クロウは記憶が無いだけで過去に城下町には当然行ったことがある。

 何かを思い出すきっかけとして町には行った方が良いことではあるが、

 ガナフ国王もそれを思った上での頼みだった。

 町の外へ出ても然う然う会えることもないジハードを連れてくるなら、

 せめて城に居る者にはこの国の守護龍だということを紹介し、

 時間をかけてでも民の顔を覚えてもらいたいというガナフ国王の目論み。

 それならとクロウは今すぐにジハードを連れてきて一緒に城内を回り、

 国王から兵士まで全員に会わしてやると言い出し、

 それが終わったらこっちの好きにさせてくれと提案する。

 強情にもダンスを嫌がり、ジハードにも退屈させまいと考えるクロウに対して、

 ガナフ国王は仕方なしに了承せざるおえなかった。

 出来れば国全体にジハードの存在が行き渡るようにしたかったようだ。

 もしジハード様が城に身を置いてくれたら大陸外の話しが聞け、

 この大陸の調査も容易となろう。

 何より……ガイア様が口を閉ざす私達が()()()()()()()()()も知っているかもしれないが、

 クロウやガイア様がいればその内また機会があるだろう。


「そんじゃあ今からジハード連れてくるわ」


「待て。そうなると魔法を数回使うという事になるのだろう。俺もついて行く」


 魔力消費をする上でまだ何が起こるか分からない現状、

 クロウとまた融合してついて行くことに。

 客間にガイアの体を置いていくため部屋を出ようとすると、

 転移魔法を使うならまた体感したいと恵華が連れて行けとうるさい。

 すぐに戻るから待っていろと、何とか諦めさせてリルル達と待つように言い聞かし、

 客間へ行きガイアと融合したクロウはジハードの元へ直行で転移しようとした。

 しかし、ジハードの生命力を感知して転移しようとすると、ガイアに止められ


「「そのまま彼奴の所へ転移するでない!雲の上から落ちる事になったらどうする」」


「「ほ!!な……なるへそ」」


 空を飛ぶジハードの元からの落下を恐れ、ジハードと別れた平原へ転移した――。


「到着!暗っ!曇って星の光が届いてなかったら何も見えねぇだろうな……なんか獣臭っ!」


 町から離れた平原は、当然街灯も無く暗い。

 夜行性の猛獣の気配がするが、クロウの異質な生命力に近づこうとせず様子を伺っている。

 暗くてよく見えねぇけど、ライオンに似てる。怖っ!

 さて、ジハードを呼びたいけどどうしよう?……魔力を使うか。

 クロウは魔法を使い、ジハードの生命力を探り思念を送ることにして呼びかけた。

 魔法陣を展開すると様子を伺っていた周りの猛獣は一気に逃げ出した。

 猛獣達は感知能力が鋭く、何か攻撃を受けると思ったのだろう。


「「ジハード……ジハード?聞こえるか?聞こえてたらさっき別れた場所まで来てくれ」」


「もう来てますよ?」


「ぎぃやぁぁーー!!……ジハード?早っ!」


 ジハードはクロウが転移魔法を使ったのを感じており、平原へ戻った事をすぐに分かっていた。

 気になったジハードは高速移動でクロウの元へ向かい、着いたと同時に思念が入ってきたと言う。

 猛獣が逃げたのはジハードが来たからじゃねぇのか?……こいつマジですげぇんだな。


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