五十五 【パーティードレス】
ジハードと一旦別れてクロウファミリーに恵華の無事を伝えた後、レイチェルの生命力を辿り恵華と共に城へ転移した。
空間が開いた先はレイチェルの自室の中にある更衣部屋。
わっ!……ほぉ、最高のタイミングじゃ。
「恵華!?クロ……キャーー!!」
「にゅっ!?恵華だー!!」
パーティーの時間が迫っていたので、レイチェルはドレスに着替えていたところに
クロウと恵華は転移してしまった。
化粧や着付けを手伝うリルルとミルルは部屋に現れたクロウよりも恵華に驚き、
悲鳴を上げる下着姿のレイチェルをそっちのけで二人は恵華に走り寄り抱き着いた。
「恵華ー!大丈夫!?体調に問題はない?って、立ってる!?」
「アハハ☆そうなんですよぉ〜、クロ様が本当に治してくれました!」
三人ではしゃいでいる中、体をドレスで必死に隠すレイチェルを普通に凝視するクロウ。
レイチェルも恵華のところに行きたいが、いやらしい目をしたクロウがいる為動けない。
「ちょっと!見ないで下さい!……見るなコラ!出てって!!」
「フッフッフッ。その格好と羞恥心溢れる顔……ん〜マンダム」
「はっ……はぁ!?マンダムって何よ!リルル!ミルル!」
怒ったレイチェルが声を張り上げ名前を呼ぶと、恵華に舞い上がっていた二人は
恥ずかしがる様を見て面白がり凝視していたクロウを思いきり殴り飛ばした。
そのまま更衣部屋から吹き飛び、レイチェルの部屋に転がり込む。
「痛った〜……めっちゃぶっ飛ばされた」
そのまま着替えが終わるまでレイチェルの部屋で待つことに。
時間がかかりそうなので、バルコニーへ出て煙草を吸いながら遠くを見ていると、
一瞬地平線の向こうで何か青白いプラズマのような光が走った。
え?今の何?何かの爆発?
「「この方角の何処かで地球との空間が開いたのだろう。この世界ではよくある光景だ」」
プラズマ亜空間の出入口となるトンネルが開いた光だとガイアは言う。
気にするなと言われ、向こうの人間は出入りしてこないのだろうかと気になるクロウ。
外の景色を眺めているとクロウの体から黒い霧が突然出始めだした。
「うぉ!ガイアか?何だよいきなり?」
「「修行は明日からだ。今日は元の身体に戻るとする。
それにいつまでも貴様と融合していると先程の様な目に遭わされても敵わん」」
どうやら融合している間は殴られた痛みを共有している様で、
クロウが殴られているのにガイアも一緒に殴られている感覚があると言う。
他の部屋で寝かされている身体に戻る為、ガイアはクロウの身体から抜け出て行った。
ふぅ〜……普通に考えたら融合ってすげぇ事だよな。
っつーか魔法使う度にあの野郎と毎回融合するって事になるのか?
……融合してんの忘れて女とイチャついたらどうなんだろ。
自分の中に入られる=プライベートを覗き見されると思ったクロウは、
何としても一人で安全に魔法が使えるようになろうと心に強く決めた。
長い事待たされ煙草も四本目を吸い終わり、痺れを切らし部屋に戻ると、
丁度レイチェルの着替えが終わったようで更衣部屋のドアが開かれた。
部屋から出できたレイチェルはドレスで身を包み、化粧を施され
王女や姫と呼ばれるにふさわしく綺麗になっていた。
「見てくださいよクロ様ー!レイちゃん超可愛くないですかぁ??」
テンションの高い恵華にクロウはついていけず、なんと言って良いか困惑していた。
すると、レイチェルはクロウに近寄り、顔を赤く染め恥ずかしがりながら
「ドレス姿を見せるのは初めてですよね?……どうですか?」
四人の視線がクロウに集まりおかしな緊張感が漂う。
どうですかって、また……俺に何を期待してんだよ?注目されてるからどうしてもふざけたくなるし……。
「おぉ、良いじゃん?似合ってんな!」
クロウしては良い褒め言葉だと周りは感心し、
レイチェルも照れながらも満足気な表情を浮かべていた。
それなのにも関わらず、付け加えるように
「でもまぁ、さっきみたいに何も着てねぇ方が俺好みだけどな!ダハハッ(笑)」
周りの反応を見ずにまたリルル達に殴られるようなことを言ってしまうクロウ。
するとレイチェルはニッコリと微笑みながらクロウに近づき、
目の前まで来ると突然顰めっ面となり「バカ!」と強烈なビンタ一発。
痛った!っつーかなんで俺の周りの女共は遠慮なくバンバン殴ってくるんだ?
レイチェルはそのまま国王の所へ向かおうと部屋を出ようとドアを開けると、
丁度元の身体に戻り部屋に入ろうとしていたガイアがいた。
「レイチェルか……似合っているではないか。今日は存分に楽しんでくるが良い」
「は……はい!お褒めいただきありがとうございます!」
ガイアは自然にレイチェルのドレス姿を褒め、
リルルとミルルもガイアに対し流石だと感心の表情と共に
クロウには見下す様な黒い表情を見せ、リルルは唾を吐く素振りまでする。
な……何だあの女共!!
「素直に褒めないクロ様が悪いんですよぉ」
「良いじゃねぇかあれくらいのジョーク!
とりあえず俺等もここで世話になるんだから国王に挨拶に行こっか」




