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五十三 【魔導具の完成】

 

 まさかと思い試してみると、クロウは魔光石を通じてエドガーに思念を送る事ができた。

 しかしエドガーに頭の中で返事を要求したが、それは出来ずじまい。

 クロウは思念通話の送った相手ならば疎通して会話が出来るよう魔光石に仕込んだのだが、

 どうやらクロウの魔法はガイアが思うものと異なる部分が多くあるようだ。


 やっぱり俺の魔力に問題が?っつーことは血を飲ませた相手なら俺の作った物が使えるってことか?……いや、そこまでする必要は――血?


 クロウは何かを閃いて突然自分の親指の肉を噛みちぎり、血を魔光石に一滴垂らし当てた。

 すると綺麗な赤い魔光石は微々たる光を発し始めた。

 これならいけるだろうと再度エドガーに魔光石を手渡し、思念通話を試みると、

 今度はしっかりとクロウの頭の中に声が届いた。

 クロウからの思念も受け取ることができ、これで何処にいても連絡が取れるようになれた。


 此奴の場合は体外へ出す全ての魔法は血が必要だということなのか……。


「よし!これなら全員使えるってことだな?一応レイチェル達も分も入れて人数分作ったるわ」


 なぜ血が必要なのかはガイアにも分からないが、

 クロウの魔法は魔力核と血液が共に無いと何も発動出来ないものとまとめた。


 魔法には本人の血は必ず通っているものなのだが、ガイアの場合は特別膨大な魔力を使う時のみ自分の血を魔法陣に当てたり、魔力を安定させる為に体外に出した血を自分で口から摂取し、魔力放出量を調整するなどはあるようだ。

 これには何かあるはずだとガイアは睨むが、現時点で血を含ませた魔法自体に問題は無い。

 クロウやその前の末裔もガイアと違い普通の人間大差無い個体の訳なのだから、魔法というこちらの世界で元々無い未知の力を使うにあたって違いが出るのは必然。

 クロウと融合していたガイアは、魔光石を作り出し血を含ませるまでの魔力核の状態と魔力消費量を確認していたが何も問題も見受けられなかったので、ガイアはそこまで重要視せずその時は血に関してクロウに何も言うことはなかった。

 しかし、これがクロウとガイアにとって後に重要な問題と後悔となるとは今は誰も知る由もなかった。


「痛ぇ〜血がまだ止まんねぇ……アンナ〜、舐めて♡」


「は?何言ってんの?血抜いたらバカになるの?薬と包帯取ってくるから待ってなさい」


 クロウの冗談を軽く交わしたアンナは、地下の医療室に薬を取りに出た。

 ともあれクロウは全員分の魔光石を作りだし、加えてレイチェルの様にそれぞれアクセサリーにして渡した。

 ピアスやネックレス、フィンガーリング。

 クリスには元々持っている魔力結晶に付け加えた。

 レイチェルにはブルーライフストーンの装飾に魔光石を付け加えて渡した。


「自分で言うのもなんだけど、綺麗にできたなぁ。

 俺も自分の分作ろうかな?」


 クロウの魔力と血で作られたアクセサリーは常時薄らと輝いている為とても綺麗だった。


「いや……お前は魔法が使えるから意味無いんじゃないのか(笑)

 全員に作ったんだ、向こうで恵華にも作ってあげろよ」


 エドガーが言う通りここに居る者には全員に魔光石を渡したが、まだ恵華が残っている。

 そこでクロウは、レイチェルのブルーライフストーンに魔法を込めた様に、恵華の魔光石に思念通話と何か魔法を付け加えてやれないかと考えた。

 ガイアにも分からない謎の生命力体が、再度恵華の中に入る事があるかもしれない。

 その時に会話の一つでも出来れば何者か知ることが出来る。

 しかし、それではまた恵華は恵華で無くなってしまい、次はどうなるか分からない。

 それならもう二度と恵華に入ることを許さないようクリスが身につけていた

 魔力結晶を渡した方が良いのではとクロウは思う。


 そもそも魔力結晶と魔光石の違いもまだよく分からねぇけど、それは恵華が目覚めた後の状態をみてガイアと相談するか……あれ?


 色々と考えて気付かぬうちに、いつの間にか戻って来ていたアンナに噛み切った指の手当てを済ませてくれていた。

 ありがとうとアンナを抱き寄せ、さり気なく下半身に手を添えてビンタを食らい気合いが入った。


「ぶわっ!……はいどうも!え〜これで連絡手段はオールOKだな。

 それじゃあ準備してタスリーフに出発(でっぱつ)すんべ!」


 くだらない用で転移魔法を使わないようにする為、クロウは数日分の着替えなどを部屋に取りに行き、アンナとエリザに恵華の着替えや必要としそうな物を用意しに行ってもらった。

 クロウは自室で服を見繕っていると、ガイアは自分の体もタスリーフに持って行けと言い出す。

 子供の体一つだからと言っておぶるのは面倒だが、四六時中自分の中に居られるのも困るし気持ちが悪いと思い、渋々ながら了承した。


「っつーか本当に何もねぇ部屋だな!パンツと靴下と……そうだ!煙草!」


 煙草のストックが部屋に無い事を思い出し、今度こそ転移魔法を使い買ってくると言う。

 今は融合している事もあり、ガイアも止めもせず魔法を使うことを許した。

 すぐにリビングに行き一番近いコンビニの場所を聞いて転移すると、不思議なことに空間が開いた先は聞いていた店とは違っていた。


 セブン?エーピーって言ってなかったっけ?でも……俺はここによく来てた。


 聞いて認識した場所より微かに記憶に残っていた場所に転移したということなのだろう。

 実際に店の中に入ると初めて見る店内ではない感覚で、レジに行くと何も言ってないのに店員がクロウの吸っている銘柄の煙草でワンカートン出してきた。

 タバコはいつもこの店で買っていたので覚えられている様だ。


 これからこんなデジャブみてぇなのがたくさんあるんだろうな……。


 会計を済ませて店を出ると、さっさと転移してアジトへ戻った。

 帰還すると今回はしっかり自分の部屋に戻ったクロウは、バッグとガイアの体を抱えて

 リビングへ行くと、アンナとエリザも恵華の荷物の用意し終わり待っていた。


「よーし、三人共俺を囲んで腕を掴んでろ。そんじゃ〜とりあえず行ってくるわ!何かあればすぐに念話でよろしく!!」


「皆さん、短い時間ありがとうございました。

 ガイア様のお許しがあればクロウの転移魔法でまた伺います」


 レイチェル達が挨拶を終えると、クロウは魔法を発動させ足元に魔法陣が浮かび上がる。

 皆笑顔で手を振り合う中で、五人はタスリーフへ転移し消え去って行った――。


 魔光石を作り出し、タスリーフでの状況や殲滅部隊の動きなどの

 連絡手段が取れるようになったクロウファミリーは

 一旦世界と世界で離れる事になった。

 しかしクロウの中では、自分の周りの仲間ともっと交流を深めたいところ。


 本っ当面倒事続きだな!早く今の生活環境に慣れてぇのに!

 少しでも落ち着いたら……落ち着くってことってあるのかな?


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