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四十九 【存在しない魔法と能力】

 クロウの焦る程の魔力量で、ガイアが初となる自身以外を含んだ転移魔法は成功した。

 目的地点を考えている余裕はなかったのだが、着いた先はタスリーフ。


 何も無い殺風景な平原に出たが、遠くにはタスリーフ国が見えた。

 不安定な魔法の発動だったがために国から離れた場所に空間は開いたのだが、それよりも共に転移した恵華の様子が変わっていた。


 眩しい程に発していた光は消えているが、気絶して地面に横たわっている。

 目覚めなければまだ分からないが、見た目はいつもの恵華に戻っていた。

 そして、ガイアはそれ以上に驚くことにそれなりの魔力を消費したのにも関わらずクロウの魔力残量に変化がない。


 何故だ……転移する前と比べ、此奴の魔力量はまた向上している。


 膨大な魔力消費をしたのにも関わらず、逆に魔力量が増えていた。

 しかし、ガイアにも分からない不可解なことがもう一つ。


 魔法を使用するにあたって全く関係のない"生命力"の方に微々たる変化が。

 生命活動に支障のない程の微量だが減少していた。

 特殊能力も使用していないのにこれはおかしいとガイアはもう一度クロウの身体で魔力を使おうとしている。


「「オラ!もう良いだろ!代われ!見てるもんは一緒なのに自分では体が動かせねぇのがキモいんだよ!

 何だか分かんねぇけど恵華も無事だから戻るぞ!」」


 適当な魔法を使い魔力量を改めて確かめようとしたが、クロウが代われとうるさいのでガイアは意識をクロウに戻した。

 しかし、ガイアは完全には引っ込まずに魔力だけは半分ガイアが握っている状態とした。

 これでクロウがまた魔力切れで死にそうになってもガイアが分け与える事ができる。

 つまりは魔力の保険のようなものである。


「ッタァー!やっと表に出れた!こっちはもう日が落ちるな……ガイア!このまま恵華と転移して戻るから――おっ!?」


 恵華を抱き上げて魔法陣を展開させようとした時、上空からジハードが降りて来た。


「お早いお帰りでしたねクロウ……魔王様ですかね?」


「ジハード!ただいま!

 えっと〜、ややこしいと思うけど今はクロウだからよ!色々あって今はガイアは俺と融合してんのよ」


 タスリーフに戻ってきたクロウの生命力を感知し、ジハードが出迎えてくれた。

 そして恵華をこちらに連れて来た事情やガイアと融合している事について話すと、ジハードはすぐにクロウが抱き抱える恵華に着目して気になる話しを始めた。


「そうでしたか……先程、魔王様とクロウ、その子を含めた生命力を感じてこちらに向かっている途中、高密度の生命力体が大陸外に飛んで行くのが見えました。

 あれは地球の者でしょうか……」


 おそらくはジハードの見た生命力体というのは恵華の中に入り込んでいた者。

 "やっと見つけた"とはどういう意味なのだろうか。

 そして

 "我、人体崩壊と生命力破損に癒しを齎せ"

 と恵華の口から発せられた瞬間に光りだした謎。


 ……本当、訳が分からねぇ。


「こいつ、少し前に人造人間っつー訳分かんねぇのに体バキバキにやられてんだよ。

 もしかして体に負っていた怪我が治ってたりするのかな?」


「どうでしょう……ではクロウ、その子をこちらに」


 クロウは両腕に持つ恵華を前に差し出すと、ジハードは大きな両手で恵華持ち上げ顔に近づけた。

 何をするかと見ていると、恵華の頬を舌でひと舐め。


「舐めた!何してんの!?」


「私は生命力や魔力など様々な力を感じ取ることができます。

 そしてその損傷も見るだけで分かりますが、こうするとより精密に分かるので」


 ジハードは本当スペック高ぇな。

 そういやリルル達こっちに戻してやんないといけねぇんだった。


 クロウは感心しながら見ていると、なぜかジハードはすぐに答えようとせず悩んでいる様子。

 クロウは「時間かかる感じ?」と診断を急かすと、難しいとの返事。

 どうやら怪我などは全くなく、生命力核も何も損傷が無いようだ。

 それどころか外傷を受けた傷跡すら残っていないと言う。

 治ったというより怪我など元々なかったと言っても不思議でないくらいに。

 クロウは恵華と縁のある人外が治してくれたのではないかと言うが、


「断言は難しいですが、おそらくはこの子に入り込んだ者の能力でしょう。ですが……」


 ジハードは何やら納得出来ない様子だった。

 しかし、それもそのはず。


「「黒龍が言いたい事を察しろ阿呆が。

 前にも言ったであろう。

 治癒を齎す様な能力も魔法も存在しないのだ。従って身体の回復など出来はしない」」


 ……つっても実際治ってるからなぁ。


 クロウに関してもガイアが予想だにしない事態が次々と起きている今、ありえない能力で恵華が完全回復した事実。

 ジハードもガイアと同じ世界から来た者だからこそ、この状況を不思議に感じている。


「お前等からすれば不思議に思う事なんだろうけど、俺からすればこんなんあってもおかしくないだろうなってくらいのもんだ。

 とりあえず無事なら何でも良い……っつーかガイア!黒龍じゃねぇっての!ジハードだっつーの!」


「な……何ですかクロウ?どうしたのですか?」


 あっ、そっか……俺が聞いてるガイアの声は周りには聞こえないのか。

 頭の中で話さないとただの独り言になっちまう訳だよな。


 ジハードにガイアとの融合と魔力同期をしている話しをした。

 そしてクロウは少し考えた後、このまま一旦地球に転移すると言い出し、ジハードにすぐに戻るから預かってくれと眠っている恵華を任せた。


 本当は向こうの世界に戻すか城で休ませてやりてぇけど、まだ安全かどうか分からねぇのが現状だからな。


「「貴様!またすぐに転移するつもりか!?」」


「「うるせぇな、どうせあいつ等三人こっちに連れ帰らなきゃいけねぇんだからいつ魔力使おうが一緒だろうが!」」


「じゃあジハード、すぐに戻るから恵華よろしくな」


 クロウは恵華をタスリーフに残し、レイチェル達をタスリーフに戻す為にまたアジトへ転移し消えて行った。

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