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四十五【使わなかった力】

 全員で総ツッコみ。

 クリスの能力はなぜか一番離れた場所に居たマーシャルに能力がかかっていた。

 マーシャルはクリスの体のどこかしらを触っていないと呼吸も出来ないのかと思わせるほどベタベタ触りまくる。


「ねぇ……キモいからもうちょいクリスから離れろ」


「何でだよ!嫌だね!俺ここが良い!!」


 マーシャルは一向にクリスから離れようとしない。

 クロウが引き離そうとするとクリスの腕に手を回ししがみついて離れない。

 それでも狙いは違えど、能力はしっかりと発動し効果を発揮していた。


「アハハハハッ!」


「にゅハハハハッ!」


 本気のマーシャルにミルル含め全員大爆笑。

 クロウだけは少し吹き笑いしながらも、なんとか二人を引き離そうとする。


「っつーかクリス!早く能力解け!やめろよそういうの!」


「俺が狙ってやったみたいに言うな!

 ……落ち着けー……スゥーハァー……」


 クリスはなんとか能力を解除しようと気を落ち着かせようとしている。

 気を静めることが能力解除に必要のようなのだが、マーシャルが邪魔でしょうがない。


 するとクロウが後ろからマーシャルの首を掴み、ソファーから引きずり落としてクリスから遠ざけてキッチンへ向かった。

 マーシャルは引きずられながらも駄々をこね、足をばたつかせ暴れている。

 クリスは気にせず深呼吸を繰り返し脱力すると、瞳の色が徐々に戻っていった。


「……うん、もう大丈夫だと思う」


 どうやら能力は解除されたようだが、魅了をかけられる相手がランダムだと仕事には使えなく、余興などでしか使い所がない。

 ガイアは訓練次第で標的くらい定められるようになると言うが、訓練には誰も参加してくれないだろうとクリスは諦めた。


 キッチンからクロウと落ち着きを取り戻し魅了を解除されたマーシャルが戻った。


「これが魅了……凄く不思議な感覚だった!クリスが死ぬほどかっこよくてヤバかったね!

 何て言ったら良いんだろ?もう抱かれても良いとさえ思ったね!」


「……そうっスか」


 瞳の色も戻ったマーシャルは能力で侵されている時の話しをするが、クリスは顔を引きつりながらの返事。

 周りもただのホモが取り乱した話しをしているようにしか見えなく静まり返る。


「まぁ……さっ!こんなの前にも一回やったじゃん?

 その時はケビンが犠牲になったけど。あれも酷かったわね(笑)」


 過去にも一度クリスの能力を試したことがあるらしく、その時はケビンがクリスに首ったけ状態となったとアンナは言う。

 クロウは笑いながらケビンを見ようと周りを見渡すが姿が見えない。


「そういやケビンは?」


「ケビンはブランドンから預かった奴を他の部下と見張ってるよ」


 クロウとガイアがこちらに戻ってきた時に丁度クリス達がブランドンから担っていた仕事だった。

 ここで預かったというのは理由があり、クロウファミリーのアジト周辺でルイスとよく行動を共にしていた部下がブランドンの部下に足取りを掴まれ拘束された。


 その部下はルイス失踪後にブランドンファミリーに何も告げずに逃げ出し、意味不明な逃亡の後にルイスと会ったとブランドンは読んでいるようだ。


「ふーん、そいつは何か吐いたの?」


「いや、自白剤ぶっ込んだけどルイスとは会ってないね」


 その男からは何も情報を得られず、それをブランドンに報告はしたが、「殺さずに拘束しておけ」と命じられ仕方なく預かっている状況だった。


 それならルイスの生命力を感知できる人外をブランドンの能力持ちの部下に探させた方が楽なのではないかとクロウは提案したが、そう容易く見つかるものではない。


 クロウとガイアは人外の生命力以外に、人間の生命力も一度覚えれば探知することはできるが、ガイアはルイスが誰か分からず、クロウもルイスと会った時は生命力や魔力がこの世にある事すら知らなかったので何も感じ取れていない。


 するとクリスが、もし魔法で男の記憶を辿れたりするのならやってみては?と言うが、クロウは今ルイスに全く興味がなく、面倒臭いの一言で終わらせ雑談を始めた。


 しかし、周りも同じように今はそれどころじゃなくルイスはどうでも良い存在だった。

 元々組織内でも力もないのにいきがって死に急ぐ馬鹿としか思われていなかった程。

 ブランドンの命令がなければ忘れていたくらいだ。


「そういや部隊長のクイーンだっけ?

 どうよ?その女可愛いんか?おぉう?」


 まるで酒に酔って絡むおっさんのようにクリスにクイーンの容姿を聞くクロウ。


「はぁ?お前なぁ、俺蹴り飛ばされてんだぞ?

 それどころじゃ……まぁそうだな。

 顔はすげぇ美人だったな」


 クイーンの髪色や顔立ち、気の強い話し方からSMクラブの女王様を連想したと話すクリス。


「じょ、女王様だと?」


「そうだ……女王様だ」


 クロウとクリスは興奮して話しているが、周りは全く理解出来ない。

 二人はクイーンについての話しからナイトクラブなど話しで盛り上がり始めた。

 ゲラゲラと笑い合っていると突然クロウが素に戻り、


「っつーか俺S女嫌いだから。

 俺怖いから。

 俺ボンデージの良さも分からないから。

 俺クイーンって女はパス。

 だから俺、部隊勧誘も断る」


「なんだその喋り方(笑)まぁ断るにしてもしっかり対策を考えてからだな」


 冗談混じりの安易な考えだが、勧誘を断る方向で話しを進めることに。

 いずれにせよ今後の事を考えて、まずはレイチェル達とタスリーフに転移し、クロウは自身の魔力の解明と使い方、特殊能力の使い方を学ばなければならない。


「それじゃあそろそろ――」


 [ガチャッ]


 リビングのドアが開かれ振り返ると、入ってきたのはケビンだった。


「おー!クリスに愛を捧げたもう一人の男ケビン!……どうした?」


 クロウはからかい笑わそうとしたが、ケビンは浮かない表情で参った様子。


「ごめん……あの男が死んだ」

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