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四十三【山積みの問題の中で】

 何処からか聞こえた謎の声に、クロウは恵華に血を飲ますかどうかで未だ悩んでいた。


 まぁ、でもまずはこっちの問題だよな。


「っつーか、殲滅部隊って言ってもまだよく分かってねぇじゃん?ブランドンのおっさんはなぜか人外種にこだわりまくってるじゃん?あのおっさんに聞けば大体は分かりそうだし、結構難無く収まりそうじゃね?」


 どうなるか全く予想もできないのにも関わらず、楽観的なクロウ。

 ブランドンは言うまでもなく人外種関係で何かしらの関わりがあり、クロウの身体の事や能力持ちの人外種に関しても何かを隠している。


 分からないのは、なぜブランドンも世界政府と繋がっているかという事。


「あまりボスには期待しない方が良いと思うぞ」


 ブランドンがこの事態を予測していたのなら、疾うにクロウへ何かしらの命令が下されているはず。

 そうでなくとも、エドガーに指令が渡りクロウファミリーに伝わっているはずだ。


「世界政府に関して俺にも伝わっていない何かがありそうだな。

 このまま殲滅部隊と対立し対抗して良いのか……」


 エドガーの心配事は増える一方だが、多少の安心感もあった。

 以前までは人外種関係で死ぬ思いをしたり、クロウが暴走したりと困難があり、全てエドガーが一人で悩み抱え込んでしまうことがほとんどだった。


 しかし、現在はクロウファミリーが結成され、今は何者かほとんど不明だったガイアまでもが身体を手に入れ味方になっている。

 これから分からない事や上手く事が運ばない時、クロウが巻き込まれる事に関してはガイアは助けてくれるだろう。

 すると、その考えが読まれたかのようにガイアはエドガーに注意を促した。


「俺には期待はしないことだ。

 今後にどれ程の魔力を保持できるかにもよるが、俺はクロウの身体を使わなければ戦闘においては大抵何もできぬからな」


 ガイアは身体を手に入れたが、クロウの身体に入る度に魔力をどれだけ蓄積させ持つことができるか。

 ガイアにとってどれだけ自由に動けるか、それは全てクロウの魔力量による。


 これからクロウの魔力核が大きく成長することがあれば、ガイアも自身の魔力核に蓄積できる魔力量も増えると言う。

 今も身体を持ち自由に動くことが可能となり、魔力も使えるようになったのは、妖精種の身体に入った時にクロウと魔力核との同期した事から可能になったようだ。


「じゃあ俺が死んだらお前終わりじゃん?

 だったら今抱えてるめんどくせぇ状況をなんでも良いから完全無欠に解決してくれよ」


「この……戯けが!貴様の生きる世界だ!貴様自身で努力をしろ!」


 ……めっちゃ怒られた。


 しかし、やはりガイアは人外種絡みに関しては協力的だ。

 どうにかしてやりたいが動けない。

 周りからはそう見えた。


 ガイアが身体を持つまでは、人外種絡みの命令がブランドンから下った時だけ稀にクロウの身体を乗っ取り現れ、魔法で一掃し助言じみた事を言い去って行っていた。


 そうした事を稀にしか現れできなかったのが、ガイアの言う"制限"というのが原因のようだ。

 それに対してクロウはケチくさい奴と言ってエドガー達に殲滅部隊の話しに戻させて、相手の雰囲気や武装を聞き始めた。


「実際に今現状、俺は魔法と銃以外でどうやり合えば良いのか分からねぇんだ。

 特殊能力はブランドンの別邸の時みたいに薬使わねぇと上手くいくか分からねぇし……相手さんは強そうだった感じ?」


「ん〜何とも言えない。

 全員見掛けはただの軍人だったからな……それでもさっき話したクイーンと呼ばれていた女。

 こいつだけは異様な雰囲気だったな」


 総部隊長のクイーンも謎が多い。

 他と同じ人造人間でもしっかりと物事を話し理解していた様子だった。


 しかし、大臣の男が言っていた"元々欠落していた"とは。

 人造人間だから改造される前ということなのか。

 感知能力も鋭く、クリスのことについても気付き、屋敷内のクロウや隠れていたリルルとミルルにも気付いていた。


「えっ!お前だけその女に蹴っぱくられたの!?

 なんで!?ダサッ!」


「うるせぇな!俺が人外だって分かったからだろ。

 でも凄い蹴りだったな……」


 クリスが人外種。

 突然の告白でもないが、あまりにも自然に言い出したのでクロウは一瞬固まってしまった。


「へ?はぁ!?クリス……お前人外種なの!?」


 もちろん全員知っていた事だが、記憶のないクロウは初耳。

 加えて新しく加入し、クロウファミリーの中に人外種がいると聞かされていたエリザも、以前から知っていたクリスが人外だと知り驚いていた。


 クロウファミリーからすれば何でもない事だが、その驚く姿を見て全員クロウが忘れている事を忘れていたと笑いだした。


「なんじゃー!お前等からかってんのか!?

 こんなスケコマしっぽいのが人外かよ!?」


「はぁ?何だそりゃ!?見た目関係ねぇだろ!

 ……スケコマしっぽい?」


 またもやクロウとクリスの言い争いが始まってしまった。


「いや、そんなモデルみたいな見た目でチャラチャラして……大して強そうでもないし。そんで、さっきからずっっとミルルのことチラ見こいてるし」


 クロウはリビングに入ってから、クリスが妙にミルル方を気にして見ている事に気付いていた。

 それをツッコむと慌てふためき出すクリス。


「は!?ふ、ふざけんな!見てねぇよ!

 ってか、チャラけて何が悪いんだよ!」


「なーんかさっきからミルルを見る目線がいやらしいんだよなぁ。

 お前ムッツリか!いや……最終的にコマすんだからスケコマしで良いのか?」


「お前マジ黙れ!勝手に色々決めつけんなアホ!

 だからスケコマしって何!?」


「あぁ!?お前がアホじゃ!

 スケコマしってのは女騙くらかして遊んでるような奴のことだよ!お前のことじゃん!アホ!」


「んな!あぁ〜でも、ある意味当たってるかも」


「……え?どゆこと?ミルルのことコマすの?」


「そういう意味じゃねぇ!」

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