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二十七 【空間転移魔法】

「レイチェル、そんな話しをしに来たのではない。

 しばらく厄介になる事を話しに来ただけだ」


「……申し訳ございません」


 ガイアとレイチェルのやりとりを聞いて、クロウはガイアをジッと見ていた。


 ガイアは過去のクロウのくだらない()()だとそれしか言わなかった。


「クロウ、恵華達は元気?」


 リルルとミルルを含め、レイチェルはクロウファミリーのことを知っていた。


 どうやらレイチェルをこちらの世界に送ったのは一年以上前の出来事らしく、クロウファミリーはまだ結成されていなかったが、幹部のメンバーとは顔を合わしているようだ。


「じゃあお前等屋敷に来れば良いじゃん?」


「だから貴様は……」


 クロウは軽くものを言うが、ゲートを通らなければ世界を横断できない。


 転移魔法も本人以外の空間転移は不可能とガイアも言っていたことだ。


「……そんじゃあよ、こっちで魔法の使い方だけ教えてくれよ?

 それで他人を転移させられるようになったら良いんだろ?

 そしたらレイチェル達連れて行って向こうで修行しようぜ?」


「阿呆か?簡単に言うな。

 俺本体の魔力を持ってしてもそれは不可能だったのだ。

 それに此奴等は明日は外せぬ用があるはずだ」


 ガイアは過去に試した事があるらしいが、一度として成功したことはないようだ。


 他人を転移させる方法はあるようだが、それは安易に使えない力だとガイアは言う。


 力……っつーかまた本体って。


 クロウは諦めようとした時、魔法の使い方が"想像力"だということが頭を横切った。


 なぜガイアが出来なかったのか。


 どちらにせよ、アジトで修行は出来ないとのことのようだが、なんとかレイチェル達をクロウファミリーに会わせてやりたいとクロウは考えた。


 そこでガイアになく自分にある物を考えると、一つしか出てこなかった。


「ガイア、お前漫画とか読んだことあるか?」


「まんが?何だそれは?」


 これだ!こいつにはない俺との想像力の差を見せつけられる方法!


 クロウは確信があるのか、妙に自信満々で「早速修行だ!」と城の外庭へ出ようとした。


「貴様はここの国王に興味がないのか?挨拶はなしか?」


「あぁ?そんなんいつでも良いだろ!

 今すぐ魔法を使ってみてぇんだよ!!」


 クロウの勢いに仕方なくガイア達も外に出ることに。


 外へ出ると広大な庭があり、ちらほらと兵士らしき人の姿も見える。

 レイチェルが外へ出ると自然と兵士が集まり、クロウ達を見張るように近くへ来ては敬礼し直立状態。


 何かやりにくいな。


「そんじゃあ始めようぜガイア!

 まず何からやれば効率良く魔法が使えるようになる?」


「そんな方法はない。

 貴様がやりたい事を考えつつ魔力を練れば良いだけだ」


 その"練る"ってのがイマイチ良く分かんねぇんだよなぁ。


 とりあえず今やりたい事は空間転移の練習だったので、今見える景色の中で遠い所や高い場所に転移しようと魔力を練り始めた。


 場所をイメージ……魔法陣のイメージ……。


 一度出来たからか、すぐに魔法陣は出現しクロウはその場から姿を消した。


 何処へ行ったのか、ガイアがクロウの魔力を探ると、城の屋上からクロウの気配が。


「おーい!何となくコツ掴めたかもー!」


 クロウは大声で叫ぶとすぐにまた転移魔法を使い元の場所に戻ってきた。


「――っと、悪ぃ」


 まだうまくできているとは言い難く、レイチェルの目の前で空間が開き抱きついてしまった。


 兵士達はビクッと一瞬驚き動こうとしたが、事故と分かり姿勢を戻した。

 しかし、兵士達は警戒を強めクロウを凝視している。


 そんな兵士達に気にせず、クロウは再度転移魔法を使おうとしている。


「分かったぜガイア!細かい事考えない方がうまくいくんじゃねぇか?

 よっしゃ!んじゃ〜……ミルル!飛ぶぞ!」


「にゅっ!?何でアタチなのぉ!?」


 こいつ……一人称アタチって。


 なぜかミルル指名し手を取り、試しに転移してみようとすると、ガイアがそのまま転移するとミルルがバラバラになるかもしれないと止めた。


 空間転移する際に自分以外の肉体にどう影響するか、空間の狭間に置いてかれるような事がないか不明だった。


 ふーん、なるほどね。

 肉体……なぜ自分以外は不可能?

 生命力に魔力……!やってみるか。


「ミルル、こっちに来い。そんで目を瞑れ」


「?」


 言われた通りミルルが近づくと、クロウはミルルの顎を持ち上げると突然キスをしだした。


「ク、クロウ!いきなり何やってんのよ!

 は……離しなさいよ!!」


 リルルは突発的なクロウの行動に焦りながらも激怒し、ミルルを引き離そうとクロウの肩を掴もうとした瞬間、


 [……ゴクンッ]


 ミルルが何かを飲み込むと、二人の足元に赤い魔法陣が出現した。


 ガイアは驚き目を見開いた。


「クロウ!貴様何をやっている!」


 成功だな……いける!!


 クロウは自分やったことに確信を持ち、ミルルを抱え目を瞑ると、魔法陣と共に二人はその場から消えた。


「!!」


 ガイアは焦り、またすぐにクロウの魔力を探り出す。


「ガイア様!ミルルは!?ミルルは大丈夫ですか!?」


 リルルは取り乱し、ガイアの小さな両肩を掴み強く前後に揺らし問いかかる。


 魔力を探っているとガイアは突然戸惑いだした。


「こんな事が……言霊以外で他人との転移などできるのか。

 もしかすると彼奴なら魔法で"無限界"を突破できる……」


 クロウとミルルは無事のようだが、ガイアはリルルにそれを伝えずにしばらく独り言を言っていた。


 その頃空間転移したクロウとミルルは――。


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