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二十三 【魔法】

 魔法はガイアしか持っていない力で他のどんな生命体も魔力の概念すら持たないようだ。


 個々には様々な異能を持つ人外種はいるが、それは全て先祖から代々継承された特殊能力で魔法とは全くの別物。


「へ?ガイアしか使えないって……じゃあ他の人外は魔力も何も消費しないで能力使ってんの?」


「それはこの体の妖精種と同じだ。

 生命力、この世界では"気"と言った方が良いか。

 気を消費し能力を使う。

 これは人間共がするように食事や睡眠を取れば自然と回復する」


 どんな能力でも気を消費して発動するらしく、使い過ぎれば体は動かなくなり、事によっては死んでしまう。


 魔力はまた別の力で、自然にあるエネルギーで回復を促すようだが、ガイアの末裔であるクロウは睡眠を取ることで回復できるようだ。


 この世界には存在しない"マナ"を体内に吸収し、魔力に変化させ回復することができるようだが、ガイア自身は本体が別世界にあり、妖精種の体では魔力の生成が不可能。


 だから俺の身体に入ってチャージを……モバイルバッテリーかっつーの。


 もう一つの回復手段が、アジトの医療カプセルには過去にガイアがクロウの体で大量の魔力を圧縮して作ったマナの源とも言える"魔石"、この世界におけるオーパーツが入っており、クロウと同様にガイアも微弱だが回復を早められるようだ。


 話しを聞いている中で、あまり気軽に使えない力なんだとクロウは能力や魔力の考え方が変わった。


 そしてなぜ他の生命体が魔法を使えないのか。

 それは"天界"の者だけが持つ力だからという事らしい。

 世界の創造主やその使いの者だけが扱える力。


「……創造主って神ってことだろ?魔力ってしっくりしねぇなぁ〜。

 っつーかお前悪魔じゃん?自分で魔王とか言ってたじゃん?……痛っ!!」


 クロウがツッコむと拘束している光の輪がより強く体を締め付け出す。


「それは今の貴様の知ったことではない。

 ……今は余計だ、関係のないことだ」


 触れてはいけない事だったのか、ガイアはえらく不機嫌になった。


 何なんだこいつ……いつか話してくれんのかよ?


 クロウは面倒だと思いすぐに話しを変え、魔法の種類や何ができるのかを聞き始めた。

 すると、やはりクロウが思っていた魔法とはかけ離れていた。


 魔法には種類はなく、頭で考えられることであれば大抵の事はできるようだ。

 何でもありなら能力要らずで最強の力なのかと思ったが、他の人外が使う能力と魔法ではエネルギー消費量が大きく異なり、何よりしっかりとした想像力がなければ何も行えないようだ。


「ふーん、なるほどね〜!

 俺の想像力は凄いぜぇ〜?元厨二病舐めんなよ!」


「戯けが、意味が分からぬがそんな安易な考えでは出来ぬわ。

 この俺ですら上手く使えぬ魔法があるのだ。

 まぁそれは今日から嫌でも分かる」


「今日から?は?何?俺はこれからしごかれるの?」


 ガイアが言うには過去のクロウは自身の特殊能力"限界突破"と魔法をうまく両用していたらしく、強敵相手にガイアと融合するまでなんとか死なずに戦っていたようだ。


 能力と魔法の混合技?俺スゲーじゃん?


「特殊能力に更に魔法かけてたのかよ!?

 俺もしかしてめっちゃ強ぇんじゃね?」


「死なすぞ小僧が!貴様は今までで一番才能の欠片もないクズなのだ!」


「……」


 ガイアはこの世界で自分の末裔となる人間をクロウ以外にも二人見守ってきていたようだ。


 一人は特殊能力に制限が付き、魔法は使えないが人間とは思えない身体能力を持って穴を埋めていた。


 もう一人は、大して使いようのない特殊能力を魔法で補い、最強に近い力を手にしていた。


「それに対し、貴様は能力の使い方もクズカス。

 魔法もまともに使えないゴミだ!戯けが!自惚れるな!!」


 ……俺ボロっカス言われてんじゃん。


 魔法は想像や見た物を思い出し繰り出す事ができるが、自分の魔力量を計算に入れなければ大変危険な力だと言う。


 ガイアはクロウを慕っている人外の元へ連れて行き、そこで特殊能力や魔法の使い方を学ばせようとしていた。


「それは良いけど誰に会いに行くんだよ?

 俺は誰も覚えてないからな?」


「夢の中で過去に会った龍人族を見たであろう?あの娘達の所へ行く」


 あぁ、あの子か……達?

 確かアンナがリルルって言ってたっけ?

 会いに行ける程の仲なんだな。


 龍人族はこの地球上にいる人外種の中でも戦闘能力がズバ抜けている種族で、今のクロウを追い詰める相手には最適だと言う。


 追い詰める……物凄く嫌な予感がする。


「貴様は記憶が欠落したが、ジジィの元での一件で自身がこれまでに身につけた度胸を一日で戻したのは誉めてやろう。

 しかし、能力は薬任せで魔法の使い方は分からんときた。

 今の貴様はあの小娘……恵華にも勝てんだろう。

 カスだ」


 こいつ……。


 クロウは何も言い返せず黙り込むしかなかった。


 ん?っつーか何でわざわざ龍人族の所に?


「なぁ?お前が俺の相手してくれれば良いんじゃねぇの?」


 もっともな疑問を投げると、ガイアは妖精種の子供の体ゆえに身体能力は低い。

 魔法で補う事は可能だが、魔力は温存したいとのこと。


「それにすぐにでも思い出さなくてはいけない事や、俺にも理解できぬ貴様の黒い暗闇に覆われた夢の中での出来事……。

 今までに会った多くの人間や人外に会い、思い出した方が良いだろ」


 確かにその方が思い出せそうだな。

 黒い夢の出来事……今なら分かるけど、言霊の能力使ってたな。


 ガイアの言うことはもっともで、クロウ自身分からない事が多すぎる。


 能力や魔法の事や、過去の出来事。


 前の自分は何を考えていたのか、そもそもなぜ記憶が欠落したのか。

 今まで関わりのあった者に会えば何か分かるかもしれない。


「そうだな……一休みしたら龍人族の所に行こう。

 他にも会える奴が居たら連れて行ってくれ」

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