二十一 【白髪の少年】
ガイアはクロウの言っている事を確かめるために棺から出ると、小屋の窓で自分の姿を確認した。
「これはおそらくだか貴様と同期し、完全なる融合を果たした事で貴様の生命力が影響しているのだろうな」
「いや……あのさぁ、どうにかなんねぇの?せめてその目!怖いわ!」
クロウと融合してガイアが表に出てきた時と同じように目の強膜は真っ赤に染まり、とても普通の人間には見えない。
クロウはガイアと融合している時に自分も同じようになっていると知らずにそれを気色が悪いとガイアに指摘すると、魔法で強膜を周りからは白く見えるようにしてくれた。
これでまともになったとガイアを見るクロウだが、懐かしい自分の姿をタイムリープして見ているようで気持ち悪くてたまらない。
「っつーかよ、白目の色変えられるなら顔変えろや!」
「何を言う?この方がおかしかろうが(笑)」
ガイアは自分の姿を楽しんでいた。
しかし、魔力の同期だけでクロウの少年期の体に変化するとはガイアにも想像つかなかったらしく、原因も定かでないようだ。
「本当気持ち悪ぃけど、白髪の子供って変な感じするな。
それよりお前には聞きてぇ事が山程あるんだ。
でもまず、何でこの人外の子の体に入ったんだよ?」
クロウはガイアと初めて言葉を交わすことができ、悪魔の末裔としての自分のついて色々と聞きたいところだが、まず少年の体に入った理由を聞き始めた。
ガイアはクロウの身体に初めて入った時に妙な感覚を覚え、意識を乗っ取り、何度も同期を試みた。
すると、クロウとの魔力とガイア自身の魔力が少しずつ混ざり合う事に気付き、同時に制限の付いた魔力もクロウの魔力が混ざればある程度解放できることに気付いた。
しかし、同期を繰り返すごとに解放できる魔力は大きくなっていったが、一度クロウの身体を離れ思念体維持に魔力使うこととなり、結局ゼロに等しくなっていまう。
魔力を食ってしまう思念体の状態が一番厄介であった。
そこで地の妖精種の身体。
一体化してしまえば少年の魂は抜けているため、身体はガイアの物となる。
そしてこの身体を本体として、時折クロウと融合しながら妖精の身体にすぐに戻り、自身だけで使える魔力を蓄積しようとガイアは考えたようだ。
「それは分かったけど、お前が体持って魔力も持ってなんか変わんの?」
「阿呆が、貴様は力の使い方を知らんからこの俺が代わりに戦ってやっていたのだ。
でなければ死んでいた事も多々あったのだ……覚えがないか」
ガイアは過去に幾度となく危うくなったクロウの身体に入り代わりに戦っていた。
しかしながら今のクロウは覚えていない上、当時のクロウも自覚はなかった。
これからは体を持ったことにより、クロウには的確に指示を出せるようになったとガイアは笑う。
「ふざけんな!何でこんな事やってんのかも記憶がねぇのに。
お前その体どうすんだ?村のおっさん等にはなんて言うんだよ?」
クロウが疑問を投げると、村の人間には元々死んだ後の魂はクロウの中に預けられると少年自身も話していたそうで、話しは円滑に運ぶとガイアは言う。
……魂をそう簡単に渡して良いもんなのか。
前の俺はこの子にどんだけ信頼されてたんだよ。
「じゃあとりあえず帰ろうぜ?ヘリの中で話すぞ」
「クロウ駄目だ。ヘリの操縦士を休ませてるから俺達もここで休む」
戻りでは同じ操縦士のため、休憩を入れさせているとエドガーは言う。
なので明日の朝一にアジトへ向かうのか聞くと、ガイアがエドガーだけヘリで帰れと言い出した。
「此奴だけなら魔法で"空間転移"ができる。
寄りたい場所もあるのでな」
「空間転移!?そんなんマジでできるのか!?っつーかエドガーも一緒は駄目なのかよ?」
「魔法とはそんな便利な代物でもない。
俺の魔力と貴様の魔力が同期したことにより、以前よりは安定したことができるはずだ。
だが、自身以外、ましてや魔力核を持たない者を転移する事はできぬ」
何だそりゃ?自分しか飛べないって事か?
思い描く魔法とは大分かけ離れたものなのかもしれないと少しがっかりするクロウだった。
ガイアは今すぐにでも転移魔法をクロウに教えようとしていた。
しかし、まず恵華の話しをしなければいけないので、明日の朝までエドガーと共にここで話しを続けようとクロウは止めた。
「なぁ、お前これからアジトで俺等と暮らすって事になんのか?」
「そういう事になるな。
この体は貴様等と同じように食事が必要となる。
貴様から離れる訳にもいかぬからな」
やはりガイアはクロウファミリーのアジトに来るつもりだ。
そうなると恵華の件をしっかり話さなければならない。
クロウが恵華の話しをしようとすると、まさかのガイアの方からその話しを持ちかけてきた。
「分かっている……あの小娘の一件を話せば良いのだろう?」
ガイアはなぜ分かっていたのか。
恵華と電話で話していた時は既にクロウの中にいたのだろうか。
ガイアは躊躇いもせず話し出してくれた。




