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二十 【言霊】

「小童が、誰が阿呆だ」


 クロウの呼びかけで本当にガイアは現れた。


 すると、ガイアは少年の胸に手を当て目を瞑り、何かを確かめ始めた。

 一体何をやっているのか、しばらくその状態から動かず、エドガーはそれを何も言わずジっと見ていた。


「……ご苦労だったな」


 終えるとガイアは少年の頭を撫でて呟いた。


 何のためにこの少年の所に来たのか未だに分からないエドガーは、さすがに説明を求めた。


「なぁ、"ご苦労"ってなんだ?これから何をする?頼むから説明してくれ」


「……この場所の農作物を豊作に導き、山々の自然を能力で活性化していた。

 余命を悟った時、此奴は自分にできることを探していたからな」


 外見はクロウだが、ガイアは過去に見せたことのない微笑みを見せていた。


 人外種に関わる事については勝手に割り込み、酷い場面しか見ていないエドガーからすれば驚くことだった。


 すると、クロウに意識を戻すと言ってまたガイアは目を瞑りだした。


 こいつは何でいつも説明を省いて行動するんだ?


「「おい、聞こえるか?……そうか、聞こえてはいるがまだ応答はできないのだったな。

 これから貴様にやってもらいたい事を説明する。

 しっかり聞いておけよ」」


 ガイアは脳内に直接クロウに話しかけて説明を始めた。


 クロウにやってもらいたい事。


 それはガイアの思念体と魂の抜けた少年の体を一体化して欲しいという恵華達が予想した通りだった。


 一体化に関してには理由があり、ガイアには何かと"制限"が付けられている。

 他人の意識を奪い身体を乗っ取るのは簡単のようだが、すぐに追い出されてしまう。


 その中でも末裔であるクロウだからこそ魔力を同期する事が可能で、ある程度意識を留めていられていたようだ。


 そこで、一体化させる方法がガイアの特殊能力

 "言霊"。


 ガイアはいくつもの能力を所有しているが、中でも言霊はこの世で最強の能力。


 能力を発動させ強く念じ、発する言葉の中に"死"を入れて口にすると、言葉の内容通り現実化する能力。


 もちろん相手に死の宣告も可能だが、その能力を使うには条件があり、一回につき一人の"魂"が必要となる。


 魂も誰のでも良い訳でもなく、自分に対し従順で絶対的な生命体であった事。

 尚且つ魂を捧げる事を口に出して誓わせなければならない。


 そして誓いを立てたその者が亡くなると、ガイアに魂がストックされる仕組みだ。

 使用には他にも"代償"があり、その代償が大きいがために簡単に使える能力でない上、決して万能でもない。


 この能力で殺生は出来ても蘇生は例外のようだ。


 その能力を使いガイアの思念体と少年の体を一体化させろという事。


 この少年を選んだのにも理由があり、この人外種でなければならないようだ。

 地の妖精種には元々膨大な生命力を蓄えられる"核"を持っている。


 核は人外種と同様に人間でも持っているもので違いは大きさのみ。

 能力持ちの人外種はこの核から力を使い放出する。


 ガイアとクロウは"魔力核"も一緒に持ち合わしているため、生まれながらにして核が他と別格に大きく違いもあるようだ。


 ガイアの膨大な魔力も、地の妖精ならば受け入れられるという事。


 ガイア自身がやれば良い事なのだが、これにも制限が絡んでしまうらしい。


 クロウと同期している状態なら意識を表に出してガイア自身が体を動かし、魔力も自由に使える上にクロウの能力"限界突破"も操る事ができる。


 しかし、ガイアの能力自体には制限を付けられているので自身では発動できない。


 そこで魔力や能力を共有している同期、融合した状態でクロウの意識を表に出し、ガイアの能力を使うという事だ。


 末裔であるクロウだからこそ能力を共有するという事ができるようだ。


 ガイアはクロウに説明を終えると自分の意識を中に引っ込め、クロウの意識を表に出した。


 いつもなら倒れて気絶していたが、今回はそのまま立った状態で自然にクロウの意識が戻った。


「……くぅ〜!偉そうに命令しやがってよ!

 だぁーもう!やりゃーいいんだろ!!」


「クロウ!?戻ったのか!しかし気絶しなかったな?

 体から霧は出ていかなかったし……大丈夫か?」


 エドガーはいつものように入り込んだ黒い霧が出て行かなかったことを不思議に思い心配していた。


 クロウはガイアに言われた話しの内容をエドガーに話し、早速能力を使うため少年の前に立った。


 えっと〜。

 っつーか……どう発動させんだよ。


 クロウはガイアから聞いた能力の説明を一から思い出し、言霊に必要な言葉を考えていると、なぜか今日の朝に見た夢が脳裏に浮かんできた。


 魔力をゼロ……白銀に輝く魔法陣……。


 クロウは言霊の能力や魔力に関してさっぱりだったが、夢で見た魔法陣を思い浮かべた。


 すると、


「……すげぇ」


 クロウの周りを白銀の魔法陣が囲み光輝いた。


「お……おぉ、クロウ!

 これは……本当に大丈夫なのか!?」


「分っかんねぇよ!え~次は……強く思い浮かべて――」


 頭で言葉を思い浮かべるが、何と言えば良いんだろうか悩んでしまう。


 何で"死"を使うんだよ?どう言えば……そのままで良いのか?


 クロウは大きく深呼吸をして落ち着き、



 ――この"死"んだ地の妖精種の身体とガイアの思念体との一体化――



 魔法陣の中でクロウがそう口にすると、発せられた言葉の文字が具現化し白銀に発光し出した。


 眩しいほどに光り輝く文字は少年の体の中に溶け込み、体全体が薄い光の膜に包まれると突然クロウの体から黒い霧が一気に放出され、光の膜と共に少年の体に吸収されるように入り込んだ。


 これが言霊……っつーかこれは成功したのか?


 クロウとエドガーは何も言わずに少年を見ていた。


 すると、光の膜の中で黒髪だった少年の髪が徐々に白髪化していくと顔にも変化が現れた。

 それが終わると光の膜が消え、ガイアは寝起きのように目を覚まし起き上がった。


「ふぅ〜……体が小さ過ぎるが、顕現けんげんは成功だな。

 しかし異様な感覚だな」


 一体化は成功したようだが、クロウはその変化した顔を見て驚いた。


「は、はぁ!?何だその顔!ふざけてんのか!!」


 ガイアと一体化した少年は白髪化し、驚く事に顔が少年期のクロウとなっていた。

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