九 【人造人間】
クロウをルイス達から離した後にヘリに乗り込むと、操縦士がエドガーにアンナが帰り側のヘリポートに着いた事を知らせた。
すれ違いがバレない様双方に迂回を命じ、アジトへ戻った後にアンナを拉致した後の作戦をブランドンファミリーの部下と打ち合わせをした。
「成程ね……俺が居ない所でうまくやってたんだな。
でも結局は俺の記憶がなくなったのが発端か」
クロウはエドガーだけを責め立てるのは間違っている。
命じたのはブランドンで周りに迷惑かけたのは自分が原因だと思い反省すると、クロウは立ち上がり、キッチンの方へ向かった。
「クロウ?まだ話しが……」
「コーヒー入れる。それにそれ以降の話しも大体予想がつく。
分からない部分はあるけど、それは全員一緒だろ?
お前等エドガーに質問しろや、聞いとく。
え~っと……コーヒーはどこじゃ!!」
キッチンでドタバタやっていると、マーシャルが立ち上がりキッチンへやってきた。
「覚えてないんだから分からないでしょ?
ってか、普段いつも俺が入れてるんだよ」
クロウとマーシャルが飲み物を用意している間にアンナから質問を始めた。
「ねぇエドガー、今回の事は私はもう良いの。
謝罪も貰ったし、さっきクロウから罰を受けたし」
「まだまだだぞー!質問にすんなり答えなきゃナックルパンチ!!」
クロウが声を張り上げて釘を打つ。
キッチンまでしっかり話しは届いているようだ。
「……らしいわよ?(笑)
とりあえず私からは一つ。"あいつ"との約束があるから。
恵華をこんなにしたあの男は何?人間なの?
それとも何かの実験体なの?」
アンナは始めに昨日の出来事で、一番気になっていたことを質問した。
普通の人間にそう簡単にはやられない恵華が半殺しにされる程。
ここに居る誰もがあの男は人外だと思っていた。
「あれの詳細は分からないが、二つだけ分かることがある。
一つは、クロウと同じ実験対象者だ。
死んだはずのな……。
ケビンとマーシャルは気付いていたんじゃないか?」
人外種でなく人間。
エドガー達三人は実験対象者を探していたので、男の顔を知っている。
「クーが顔面グチャグチャに潰した後に駆けつけたから顔は確認してないよ?」
ケビン達が屋上に着いた時にはクロウが既に潰した後だったので気付こうにも顔が分からなかった。
「あぁ、そうだったか。
それと……二つ目は、ボスが"人造人間"と言っていたこと。
何処から連れて来たのかは俺には分からない。
今回ボスが突然あの男を連れてきたんだ。
俺に何も知らされないていないってことは多分、知らない外部の人間か人外が関わっているんだろう」
アンナは呆気に取られていた。
人造人間……組織内に居てそんな生物兵器が造られていてなぜ気付かなかったの?
組織本家の動きもそれなりに把握していたはずなのに……。
アンナはショックを隠し切れない様子。
しかしながら幹部のエドガーも知らされていなかった事で、アンナが知る由もなかった。
「ドクは何か心当たりはないの?」
「わしもクロウファミリー来てからは本家と関わりがクロウの診断報告以外ほとんどないからの~……」
「そう……」
ドクが知らないとなれば、自分で探るしかない。
もし人外が関わっていたらクロウの中にいる悪魔が黙っているはずがない。
必ず面倒なことになる。
アンナはまず男の死体から調べたいと思ったが、
「んんーっもう!クロウが別邸ごと全部吹き飛ばしたんだったわ!!
このっっクロウのバカ!アホ!」
[もごんご……ゴクっ]
「……んだぁー!?吹き飛ばした?何の話しだ!
っつーか誰がバカじゃこのアマー!」
こもった声の方へ全員振り向き飲み物を用意していると思われたクロウは、キッチンから顔を出して話しを聞きながらなぜかバナナを食べていた。
「お前……真面目な話してる時に何食ってんだー!
って、コーヒーは!?」
クリスが怒鳴りながらもツッコミを入れると、クロウは頭を傾げながら体を揺らし、まるでギャルのような口調で言い返し始めた。
「えっとぉ~コーヒー豆選んでぇ~少し炒めたり~、
紅茶の葉を選んでぇ~少しずつ蒸らしたり~……あぁ~もぉ~たーいへーんってなって〜(笑)
そんでぇ~なんか邪魔くさくなってきたからぁ~バナナ食べながら話し聞いてたのぉ~フフン♪」
クリスとアンナ、エリザまでも顔が引きつりピクピク。
ドクとエドガーは目が点になり、恵華とケビン爆笑。
「邪魔くさい……おいマーシャル!いつものインスタントで良いんだよ!
何をちまちまそんなことしてんだ!」
「だって……クロウが色々興味深々でこれ教えて!見せて!って言うから」
マーシャルがキッチンから顔を出し、クロウにやらされていると聞いたその瞬間、クリスにスイッチが入った。
大事な話しをしていた事も忘れ、クロウとクリスのバトルスタート。
「お前じゃん!やれって言ってんじゃん!!
そんで何で自分はそんなもん食ってんだアホ!!」
「だぁーれがアホじゃボケ!!
邪魔くさくなったからって言ってんじゃん!アホ!」
「んなっ!
だから邪魔くさいって何だコラァ!!」
「はんっ!今のお前みたいな奴のことだよ!」
「ぁあ!?どういう意味だ!?」
「だから……面倒ってことじゃ!
ゴルァアアアア!!」
クロウはクリスに飛び掛ると床に押さえ込み、さっきまで食べていたバナナをクリスの口に突っ込んだ。
そして後ろからチョークスリーパーしながら、「ごめんなさいしろ!俺に懺悔しろ!」と二人で床をゴロゴロ。
クリスは息が出来ないようで、クロウの腕をタップする。
「あはははは!クリスさん死んじゃいそう!(笑)」
恵華は車椅子をガタガタ揺らしながらずっと笑いこけている。
「またこいつ等は……相変わらずだな(笑)」
エドガーもその光景に顔が緩み出し、クロウは本当に記憶が戻っていないのかと不思議に思いながらも笑いながら見ていた。
するとアンナが痺れを切らし、二人を怒鳴り散らした。
「もう何やってんの!話しが進まないじゃない!!」




