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五【曖昧な記憶】

 クロウは自室に駆け込み、勢い良くドアを閉めた。


 クリス達は後を追いかけ、クロウの部屋をノックし体調を確かめると、中から何も応答がない。


「おい、クロウ!出て来い!ケツ見られて恥ずいのか!?返事しろ!」


 部屋で服を着替えているのか、それでもすぐに返事が帰ってこない。

 少し経つと部屋の中からクロウの声が聞こえてきたが、


「だって起きたら裸だし!服ねぇし!誰も居ねえし!

 鏡見たらジジィみたいに白髪だし!何か寂しくなって上がって来たら……あぁぁぁぁぁぁ!!」


「子供か」


 中から訳の分からないことを叫んでいるクロウ。

 イラ立ったクリスは部屋をこじ開けて無理矢理入るか話していると、


 [カチャッ……]


 ドアが少し開き、顔だけをだし始めた。

 何をしているのか聞くと、それに答えず逆に質問が帰ってきた。


「……昨日俺が履いてたズボンはどこや?」


「ん?血塗れで汚れていたから捨てたぞ?

 電話と煙草と、よく分からんメモはわしの医務室に置いてあるが……」


 ドクが持ち物は全部医務室にあると答えるとクロウは「それだ!」とドアを全開に開けた。


 なぜ部屋に入って服を着なかったのか、見るとまだアンナの上着を腰に巻いたままだった。


「いやっ!ねぇクロウ!!それ私の上着だから!何してくれてんのよー!!」


「え?そうなん?

 っつーか、隠す物がこれしかなかったんだよ!ほらよっ!返す!」


 アンナが自分の上着だと指摘するとクロウはその場で解き渡して来た。


「っ!きゃーーーー!!」


 [バチンッ!!]


 クロウは服を着て、また地下へ戻ることに。


 改めて検査する為にドクとアンナにエリザ、ひとまず四人で医療室へ向かった。


 ドクは医務室へ行き、医療室の中でクロウは椅子に座ってアンナにビンタを貰った左頬を擦りながら待っていると、クロウのズボンに入っていた持ち物をドクが持って来てくれた。


「おー!煙草!」


 クロウは煙草に素早く取り出し火をつけた。

 するとアンナが火の点いた煙草を取り上げた。


「コラ!ここ禁煙!!」


「何すっだオラ!どれだけ禁煙してると思ってんだ!!」


「っあ!コラ!別に一日も禁煙してないでしょ!?」


 取り上げられた煙草をクロウはまた取り返して構わず吸いまくる。

 アンナはため息を吐き諦めた。


 そのまま検査に入り容態をチェックされ、何も異常がない事が分かるとドクもアンナも安心した。


 しかし、起き上がってからメンタル面にもクロウに何も異変もない。

 ドクからするとクロウは少し明るくなったようにも見えたが、クロウが記憶が欠落した直後すぐに会った訳ではない。


 アンナとエリザからすれば何とも思わなくいつも通りという印象だった。


 検査が終わり一息つくと、クロウはすぐにまた煙草に火をつける。


 するとアンナがまた煙草を取り上げようとクロウの目の前まで来るが、デスクに置いてあるクロウが持っていたメモが目に入り、手に取っては頭を傾げながらクロウに尋ねた。


「そう。

 それなんだけどよ……お前等で解読してくれねぇかな?」


 クロウも昨日はメモのことを忘れていたが、夢の中でそれが出てきたと話す。


 記憶をなくした後、部屋に置いてあった煙草の箱の中に入っていた謎のメモ。



【・イ・・は Ⅸ Ⅴ Ⅳ Ⅴ う Ⅵ Ⅴ Ⅸ Ⅱ・・を ま Ⅳ Ⅰ れ】



 日本語のひらがなとローマ数字があり、所々が消えている。


 日本語の部分はクロウの字のようだが、全く記憶にない。


「ふーん、数字ねぇ〜。

 多分何とか分かるわ。

 えーっと、日本語日本語……」


「え!?分かるの!?……マジか!お嬢って見た目通り頭良いんだな!!」


「そんな今更――え?」


 アンナはメモに書いてあるメモの解読法が何となく分かると言い、パソコンで何かを検索しようとしていたが、それよりもクロウがアンナに対して"お嬢"と呼んだ事に驚いていた。


 この呼び方は元々クロウが言い出した呼び名のようだが、記憶をなくしてアンナの事を忘れてしまっていたクロウは"お嬢"でなく"アンナ"と呼んでいた。


「クロウ!?記憶が戻ったの?私の事お嬢って」


「……いや、思い出してないね。そうだよな。

 恵華がお嬢って呼んでたからだと思うけど、今何で……」


 するとクロウは今まで視界に入っていたにも関わらず触れずにいたエリザの方へ振り向いた。


「っつーかお前……エリザだっけ?何でここ居んの?」


「……!?」


 どういうことか。

 クロウは昨日エリザに会ったのは薬を打って理性を失った後なのに、なぜか顔と名前を覚えていた。


「クロウ!やっぱりおかしいわ!何でエリザのこと知ってるのよ!?」


「んあ?だって昨日居ただろ?……あれ?」


 クロウもよく分かっていない様子だった。

 やはり薬を打った後、完全に理性を失ってはいなかったようだ。


 しかしなぜ覚えていないはずのエリザの名前出てきたのか必死に考えるが、考えれば考える程に分からない。


 しかし、クロウは組織に囚われる前と囚われた後によく夢を見ていた。


 今回も医療カプセルの中でまたいくつかの夢を見ていたようで、その夢の中で謎のメモやエリザが出てきたのではないかとクロウは話す。


「……具体的にどんな夢なんじゃ?」


 ドクは何か思い当たる節があるかのように聞く。


「ん〜……いつもしっかり見えるところと黒くやんわりして見えなかったり。

 でも今回はそれなりにしっかり見えた……かな?」


 実際にあった出来事なのか、ただの夢なのか分からないことをドクやアンナも聞かせてくれと言うので、今回見たいくつかの夢を一つ一つ思い出しながらクロウは話しを始めた。

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