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三 【三つの人種と四つの世界】

 クロウは普通の人間でなく悪魔だとエドガーは言う。

 悪魔と一言で言っても、神話や空想で様々な悪魔がいるが詳細は分からないらしい。


「……悪魔?」


 ある時に昨日のような変貌を遂げた時にこちらの質問に応じた時があったらしく、その時に自分を悪魔と言ったようだ。


「本当にそいつが祖先だったらの話でしょ?」


「まぁそうだな」


 裏付けがないため、エリザの質問に口ごもるエドガー。


「たぶん本当だと思いますよ?だって――」


[ガチャッ]


「それについてはわしからも説明しよう」


 恵華が何か重要な事を話そうとしていた途中で医療室でクロウを看病していたドクが、自分が説明すると部屋に入って来た。


 クロウの容態を伺うと、心拍数が上下しているが問題なく寝ているようだ。


「クロウについては本当に謎が多い。

 じゃが、それより"この世界"の人類について話した方が良いじゃろ」


 この世界。


 ドクはクロウのことを分かりやすくするため、一般的に知られていることから外れた話しを始めた。


 この世界には三つの人種があり、その中で一つの例外があると言う。



 一つは"人間"。

 これは誰もがその存在であり、ほとんどがこれにあたる。


 もう一つが"人外種"。

 これは一言では説明出来ない人種だが、人外種と言っても様々で、神話に出てくるような者も居れば、元が何なのかも分からない者もいる。


 そしてもう一つが"異世界人"

 人間には違いないが、似て非なる平行世界から来た者。

 これに関してはドクの推測の域で確定はしていないと。



「ち、ちょっと待って!

 クロウは末裔なんでしょ!?他の人外種っていうのも末裔なの?」


「あぁ〜えぇ乳しとるのに良い質問じゃな!」


「はぁ!?死なすぞじじい!」


「……コホンッ。もちろん末裔となる訳じゃが、クロウとはまた異なる。

 中には姿が人間と少し異なる者もおるのじゃ。

 それは末裔でなく、本来の人外の姿。

 わし等には計り知れん程の長命の生物ということじゃな。

 そしてそれはどこからか突然こちらに迷い込んだ者達と言う方が良いじゃろ」


「……」


 ドクの話しにエリザは頭を傾げるばかり。


 頭を傾げるエリザを見たドクは世界の数を話し始めた。


「推測を入れてじゃが、世界は大きく分けて四つある」


「はぁ?もっと分からなくなるわ」


 世界が四つあることに対してエリザは呆れたような口調を出す。


 とりあえずは黙って聞けとドクは話しを続けた。


 まず、今居るこの"現世界"。


 そして人間との混乱を防ぐためにできたような地球を彷徨う"プラズマ亜空間"があると言う。

 その先には人間が絶滅したと思われている太古の生物が生息する世界。


 もう一つはこの世界にとても良く似た"並行世界"。


 そして現世界の理解を大きく超え、遠く離れた"超異次元世界"。


 しかし、並行世界と超異次元世界はドクの推測に過ぎないようだ。


「……じゃあその、プラズマ亜空間はあるってこと?ってゆーか何?」


「実在するぞ?さっき言ったこちらに迷い込んだと言うのが、亜空間からこちらの世界にと言う意味じゃ」


 プラズマ亜空間と超異次元世界との違いは、この世界、この地球のポケットと言う解釈が正しいようだが、そのポケットの出入口が何処にあるのか、またどのように現れるのかは不明だと言う。


「超異次元世界はただのこちらでつけた名称じゃ(笑)

 全ての次元亜空間はプラズマで出来ているなんて理論があるが、はっきり言って区別ができんのじゃ。

 じゃから、一度観測できたことからこの世界の何処かにある空間を見た目通りにプラズマ亜空間。

 あるかどうかも不明な空間を全て"超異次元世界"と呼んでいるだけじゃ」


「……煙草吸お」


 完全SFの話しにエリザは質問もせず、懐から煙草を出し吸い出した。


「ドクさん、並行世界は?

 同じ人が同じような世界で同時進行してるとか、同じ人間だけど違う道を辿っているとか、漫画なんかでありますけど……」


 恵華が並行世界について質問し始めた。

 しかし、ドクの推測に過ぎない世界だとしか言いようがないようだ。


「本当にタイムパラドックスが可能ならばある」


 それ以外ドクは並行世界について語らなかった。


「……」


 全員は沈黙状態。

 クロウに関しての話しの中で、プラズマ亜空間の話しをエリザ以外は元々聞いていたようだが、並行世界や超異次元世界の話しは初耳だった。


 すると、全員が沈黙する中でクリスが口を開いた。


「クロウは……それ等を全部知ってるのか?」


「知っている。

 じゃが、記憶の欠落でこの組織に来てからのことを全て忘れている。

 覚えていないじゃろうな……」


 クロウは人外種の末裔。


 クロウしか知らない世界の秘密を知っているかもしれない。

 少しずつ欠落した記憶が戻り始めている中で

 クロウは何を思い出すのだろうと全員少し興味が湧いてきていた。


 恵華もクロウとの会話の中で引っ掛かったこともあり、細かい話しを聞いてみたいとソワソワとしだした。


「クロ様〜いつ起きるかなぁー」


 その時、ドクとエドガーが微かにアイコンタクトを取ったところを全員見逃さなかった。


 皆には話せない何かがあるのだろう。


 今後何か重大なことに繋がるようなら全て聞きたいところだが、答えずにとぼけるだろうとクロウの記憶が戻るのを全員願うばかりだった。

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