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二十三【自我崩壊】

「ガアァァァァァアアアア!!!!」


 クロウはまるで野獣のように叫び、たくさんの血管を浮き出し顔が赤くなるほど頭に血が上り豹変していた。


 男はクロウに何をされたのか、両腕がぶらんと下がり肩が外れているような状態だった。

 クロウは男の顔面を掴んだ片腕で投げ飛ばし、エリザの真横を通過し階段出入口の壁に激突した。


「クロ……ゲホッ!薬を打ったんですね……ってどこから来たんですか!?」


「……ハァ……ハァ……ヴゥゥゥ……」


 恵華の問いかけにクロウは全く聞こえていない様子。


 これは……()()ヤバいんじゃないですかね。


 クロウが完全に理性を失っているように思えた恵華は、まずいと思い周りを見渡しアンナを探すが姿が見えない。


「な……クロウの奴、どうしたの……」


 エリザはクロウの怪力と理性を失っている様子を見て恐れ震えていた。


 今のクロウは敵と味方の区別が付くかも危うい状況なので、鎮静剤を持っているであろうアンナの所に行かなければと恵華はボロボロな体で立ち上がろうとした。

すると、クロウは男の方へ突進して飛び蹴りで踏み潰し顔面を殴り続けた。


 物凄い猛攻と怪力で、殴る度に男の骨を確実に砕いている。

 銃で撃たれ、使えなくなった左腕まで使っていた。

 このままだとクロウの体が壊れてしまうと思った恵華は、アンナの所へ向かおうと足を引きずりながら階段の方へ向かった。


 するとクロウを見て震えていたエリザが恵華に気付き、行く手を阻んだ。


「ちょっと!あんただけ逃げる気!?

 クロウはどうしちゃったのよ!?」


「……どいてくれます?

 お嬢に鎮静剤貰ってクロ様に打たないと……」


「鎮静剤?お嬢ってアンナのことよね?」


 事情を話すと足を引きずっている恵華では時間がかかるので、私が取ってくるとエリザは階段を駆け下りて行った。


 はぁ〜。

 男の暴走を見た後のエリザさんからして、何も知らされずにって感じなんだろうな。

 お嬢……鎮静剤ちゃんと持ってきてますよね……。


 アンナがL,Bをクロウに打ち、鎮静剤を渡しそびれただけの事を願う恵華だった。

 エリザが階段を降りてアンナの所へ向かって走っている間、クロウは男をペシャンコにでもしたいのか、ひたすら殴り続けている。


「ジネェ!!ジネェ!!ジネェ!!」


 痙攣している箇所も見逃さず、男の動きが止まるまで殴り続ける気なのだろう。


「ク……クロ様!もうやめてください!腕が駄目になっちゃう!」


 薬を使ったところは何度か見たことあるけど、いつもと違う……。


 恵華はクロウの現状の姿を見て記憶の欠落の関係か、もしくはL,Bを打つ前に何かあったのか不思議に思っていた。



 ――クロウが屋上に来る前。


「痛った〜。何すんだこのアマ――おう!?」


 ティーバック!!


 クロウは受身を取れずに体から思い切りコケてしまったが、アンナの方に目を向けると座りながら両足を前に出しているせいでスカートの中が見えてしまっていた。


「ばっ……バカ!それより聞いて!

 私が何でここに来たか知ってるでしょ!?」


 アンナはすぐに両足を内側へ閉じて体勢を直し話しを始めた。

 引き止めた理由はアンナがクロウに届けに来たL、Bについて。

 そして今回のこのアンナ拉致事件について。


 アンナからすると今回のこの出来事はおかしいと言う。

 アンナはエドガーとボスが繋がっているんじゃないかと睨んでいた。


 一つはアジトからここに向かう途中エドガーと一切連絡が取れなかった事。

 二つ目は突然現れたルイスに捕まり、その後すぐにボスが部下を引き連れて屋敷を出て行った事。


「タイミングが良過ぎるの。

 エドガーが電話に気付かないことはほとんどないし、それにいくらルイスの頭が悪いからってエドガーとボスが対面したすぐ後で、こんな事考えるはずがない」


 アンナは引っ掛かっていた問題をクロウに話すと、クロウも同じ事を考えていた。


「でも今回ボスの考えかもってことは、エドガーもここに来る途中話していたからなぁ。

 ……まぁよ、今はまだ分からねぇけど、繋がっちゃ〜いるけどエドガーも命令で仕方なくなんじゃねぇの?」


 アンナは黙り込んでしまった。

 実際にエドガーはこの組織の幹部でクロウの監視役。

 もしボスの命令だとすると逆らえなかったという事もある。


 しかし、それよりもクロウが不思議に思っているのは、ボスが居ないことで防衛網が薄かったのは分かるが、クロウ以外は恵華やクリス達を本気で殺しに来ていたようにも感じた。


 恵華が守ってくれていたのを考慮しても、遠距離から狙われたりもあるが致命傷はない。

 それに比べ、周りは本気で狙われ銃撃戦になっていた。


 恵華に関しては重力の壁がなければ確実に死んでいた銃撃ばかり。

 どういうことなのだろうか。


 そういえば、あいつ等と連絡途絶えたな……。

 っつーか、エドガーからは一度も連絡ねぇな。


「とりあえずその話しは後だ。

 無事にお家に帰ったらエドガー交えて話そうな。

 だから先に事を済ませてくるわ。

 恵華とやり合ってる奴等を殺してからルイスもぶっ殺さないといけねぇからよ!」


 アンナは顔を上げてクロウに微笑んだ。


「そう……ね!

 散々泣かされて顔も酷いから早く帰りたいわ(笑)」


 クロウもアンナの言葉で思わず笑ってしまい、顔を見合わせては二人で笑い合った。


 すると、アンナは笑い止むとなぜか正座し始めた。

 そして近くに来て座ってくれとクロウに頼みだす。

 クロウは不思議そうにアンナの前に行き腰を下ろした。


「私のスカートの中が見えたならもう分かるでしょ?」


「へ?黒のティーバックでしょ?」


「……」

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