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十八【別邸】

 アンナの無事を祈り、しばらくするとボスの屋敷見えてきた。

 全員出来るだけ武装が悟られないように隠し、ヘリが着陸すると足早に降りて行き、エドガーを先頭にクロウ達は本邸の正面扉へ向かう。


 しかし不思議と屋敷の周りは静かだった。

 ヘリポートにも屋敷の見張りさえも見当たらない。


「どうなってんだ……部下共の姿が一人も見えねぇ」


 エドガーも不思議がっている。

 確かにこんな大きな屋敷で、しかもボスが居る場所に対して見張りが一人も居ないのはおかしい。


 全員で歩きながら周りを見渡していると、クリスが人の気配を察知した。


「気を付けろ!どこからか見てる!」


 クリスが注意を促し、全員警戒をし始めた。

 クロウは遠く離れた別邸の方を何気なく見てみると、建物の屋上の隅から光が見えた。


「なんかキラキラ光ってねぇ?」


「何処だ!?」


 クロウはエドガーにそれを伝えると、光っている物が何かすぐに気付き、


「別邸だ!狙われてるぞ!!」


 エドガーの一声と共に一気に全員散らばった。

 クロウも遅れながらも散らばろうと動く。

 するとそこで、全員クロウの記憶が飛んでいる事を忘れていた。


 しまったと瞬時にクロウの方へ振り向くと、


「クロ様!!」


 恵華が素早い動きでクロウの前に出てくると、手を前に出し始めた。


 [ヴゥーーン!]


 鈍い振動音が鳴り響くと何かを弾き、そのまま恵華に手を引かれ別邸から見えない位置に隠れた。

 銃で狙われているようだが、発砲音がなかったのでサイレンサーでも装着しているのだろう。


 何が起きか分からずクロウは戸惑う。

 するとエドガーが恵華に頼んだと目で合図し、


「全員散らばれ!」


 エドガーの一声でそれぞれ異なる方向に散らばり、恵華はクロウにニコっと笑い手を取った。


「クロ様はとりあえず恵華と行動しましょう!

 今は危ないですし、また頭に銃で狙われたら大変ですから(笑)」


 さっきのはやはり銃で狙われていたようだ。

 どう防いだのか分からないが、恵華はクロウを守りながら先へ進む事に。


 散らばった方から銃声が聞こえ、まるで映画の世界だとクロウは焦り震える。

 全ての音にビクつくクロウは、恵華に手を引かれ隠れながら先へ進む中で、女の子に守られていることに情けないんだと落ち込むクロウ。


 屋敷を囲うの林へ入り、人の目に触れないように別邸の方へ少しずつ近づいて行くと、建物の窓から人らしき影が見える。

 先程の本邸と違い、所々での人の気配が。


 恵華はここにアンナが居ると確信し、振り返って落ち込んでるクロウの両手を握ると、目を見つめながら喝を入れ出した。


「クロ様しっかり!今は記憶がないんです!だから恵華の方が強いんです!それだけです!!」


 クロウはそれでも落ち込み気味な顔で恵華から目を逸らしてしまう。

 更に恵華はクロウに両頬に手を当て出した。


「……クロ様。

 中ではどうなっているか分かりません。

 前にエドガーさんから聞いた事があります。

 別邸はほとんど使ってなくて、中に入る時は大体裏切り者なんかを隔離したり拷問する時に使う所だって。

 それに相手はマスターの部下です。

 恵華達の事も武装もある程度知られていると思います。

 そうなると逆に恵華はクロ様の近くに居ない方が良いかもです。

 離れた方がクロ様は安全だと思いますから……。

 もしそうなったらどうにかしてでもお嬢の所まで行って薬を手に入れてください。

 それを打てば恐怖心はなくなりますからね。

 お願いします」


 恵華は静かに真剣な眼差しでクロウに話す。

 初めて会った時はあんなにアホの子だったのにそのギャップを見てクロウは次第に震えが治まり始めた。

 今の自分に嫌気がさしたのか、腰に入れていた銃を取り出し恵華の前に出た。


「あ……相手側の目的が本当に俺ならすぐこっちに接触してくるだろ。

 隠れるのはやめだ……中に突っ込むぞ」


「クロ様……♡」


 クロウが多少震えながらも啖呵を切ると、恵華は笑顔になりクロウの後をついて行った。

 林に入っているからか、全く攻撃を受けない。

 時折銃声は聞こえてくるが、エドガー達が応戦しているのだろう。

 向こうに注意が向いている内にと足早に建物内に入るため、林の中を二人は走り中に入れるであろう窓の位置に辿り着いた。


 この建物も近くで見ると別邸とは言うが、二階建ての大きな屋敷だった。

 後は林の中から出て一直線だが、建物から丸見えとなってしまう。

 下手すると走っている途中で撃たれてしまうかもしれない。


 どうするか考えていると、恵華が先に出ると言い出した。

 クロウはそれは駄目だと拒み、さっきの銃弾を防いだ方法を使いながら二人で進めば良いだろうと提案すると、"あれ"を使う時かなりの集中が必要らしく、クロウを守りながら、ましてや走りながらは難しいとのこと。

 もし失敗すると銃弾を弾くどころか自分の内蔵が潰されると恵華は申し訳なさそうにクロウに謝る。


「じゃあ"あれ"は全員使える訳じゃないのか?恵華だけなのか?」


「恵華だけセンスが良かったんです(笑)体の外と中の重力の扱いが皆さん下手っぴで()を上手く作れないんでよぉ〜」


 重力?壁?重力の壁?良く分からんが、そりゃ出来る方がおかしいだろ?

 あっ……だからこいつは武器を持てないのか?


 恵華は理由を述べてクロウを説得させ、先に自分が屋敷の中に入り注意を引き付けた後に来てくださいと言う。


 またこの子任せか……。


 クロウはせめてアンナだけは自分がと意気込む。

 恵華はなるべく銃弾を浴びないように人の気配を気にしつつ、屋敷へ飛び出した。


 すると、相手の注意がほとんどエドガー達に向いていたからか、恵華は屋敷まで安全に辿り着けた。

 屋敷の一階の屋根のある窓の前に着いた恵華は、大丈夫だと言う顔してクロウに来いと手招きして合図を出した。


 人影も見えないしマジチャンスじゃん!


 クロウは林を出て走った。

 恵華もこれでやっと屋敷に入れると思ったその瞬間、


[ッパーン!]


 何処からか近くで銃声が聞こえると同時に、クロウが地面に倒れて込んでしまった。


「クロ様!!」

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