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十六【L,B導入剤】

 全員がそれぞれ自分の部屋に戻り準備を始めようとしていた。

 しかし、クロウは何をしたら良いか分からない。


「お前もドクの所に行って準備しろ!」


「……何を?」


 エドガーに言われた通り、とりあえずクロウはドクの所へ向かった。


 何で俺だけドクの所なんだよ……ん?


 廊下を歩いていると奥のエレベーターの扉が開き、中からドクが出てきた。


 するとドクは血相を変えてクロウの肩を掴んだ。


「アンナからのエマージェンシーじゃ!!」


「知ってるっつーの!だから今から行くんだよ!」


 ドクがリビングまで来たのは理由があった。

 アンナはドクの助手も兼任していて、クロウの体についても共に研究していた。

 ボスの所へ行くとなると、クロウには敵が多い。

 エドガーがいるとしても危険がないとは限らないので、アンナはある"薬"を渡しにクロウ達を追って屋敷を出たのだと言う。

 エドガーから聞いた限りでは、クロウファミリーで非戦闘員のアンナが一人で行くには、ボスの屋敷は危険過ぎる場所だ。


「俺のためにアンナは出て行ったのかよ……っつーか、何の薬だ?」


「一人で行くなと言ったんじゃが……記憶の欠落した今のお前さんでは自分では自分をどうにも出来ん。

 だからアンナは心配して能力を一時的に引き出す薬"L,B"を持って行ったんじゃ」


 "L,B(リミットブレイク)導入剤"。


 薬の中身はエピネフリンを改良した薬。

 エピネフリンとは血圧や心拍数を上げる作用がある。

 それを改良して普通の人間には投与する事は出来ないが、クロウにとっては身体の限界突破に必要なアドレナリンを強制的に必要以上に分泌させる効果がある。

 興奮状態を更に超えれば、一時的でも"限界突破"を使えるようになる。

 アンナはそれを持って行ったのだ。


「俺のために……」


「すまないのぉ。

 アンナもエドガーに連絡はしとるはずじゃが……わしがしっかり止めておれば。

 お前さんを恨んだ馬鹿共が仕組んだ可能性は高い。

 もしも揉めることになれば戦い方を忘れたお前さんは薬を使う以外になくなるじゃろ」


 アンナはエドガーに連絡しているとドクに言っておいたようだ。

 エドガーは連絡が来たとも何もクロウは聞いていない。


 後で聞いてみるか。


 ドクはクロウを地下に連れて行き、研究室へ入った。

 すると、壁の一角が扉になっていて、開けると色々な物が掛かっていた。

 それは全て実験時に使っていたクロウのための装備品。


 体を覆う鉄板の様な物や、腕か足か何処に何をどうするか分からない物もある。

 ドクはその中から黒いロングティーシャツを取り出しクロウに差し出した。


「ハッキリ言う。

 お前さんはこのままだと足でまといじゃ。

 アンナから薬を受け取ったらすぐに打て。

 だからせめて体の保護を優先にする」


 言っていることは分かるが、ティーシャツを持って体の保護と言っているドクにクロウは何を言っているんだろうと頭を傾げながらも受け取りその場で着た。


 しかし、触れても何が起こる訳でもない普通のロンティー。

 ドクの説明によるとこれを着ながら能力を使う事で特殊な電流が体に流れ、筋肉繊維の崩壊を防ぐと言う。


 他にもある不思議な物の中でドクはそれしかクロウに与えなかった。


 唯一他に渡された武器らしい武器が銃一丁。

 クロウがいつも持ち歩いている銃だったらしく、八インチの大きなコルト・パイソン。


 通称"コルト・パイソンハンター"を持たされた。


 俺、銃はよく知らねぇんだよなぁ。

 リボルバーって、何でこんな古臭い銃なんだよ。

 本物の銃なんて撃ったこと……あるのか。

 しかしデッケぇ!重い!もっと小さいのが良いんだけど。


 ドクはクロウに装備を渡し終えたら薬についての注意事項を話し始めた。


「良いか?L,B導入剤はお前さんがまだ体が能力に追いついていない時に使っていた頃の代物。最近ではクロウが勝手に必要もなしに事情も言わず持ち出したのじゃが、残りはアンナが持ち出したので最後じゃ。

 受け取って使うのは良いが注意がある……周囲の敵を全て片付けたと判断したらもう一つを薬を即座に打て」


 もう一つの薬とは強力な鎮静剤。


 L,Bを体に投与すると想像以上の興奮状態なり、脳が全く働かなくなる事があるとドクは言う。

 その時は敵も味方も区別がつかなくなるという考えたくもない事態となるので、L,Bと一緒に二つの薬をアンナは持って行ったようだ。


「……って事は俺は過去にお前等に迷惑かけた事あったりするのか?」


「良いからさっさと行くんじゃ!誰の企みかは分からんが、アンナがどうなっておるかも分からんのだぞ!」


 ドクは何も言わなかった。


 クロウは気になりつつも足早に研究室を出てリビングへ向かった。

 部屋に入ると全員既に集まっており、銃の確認などをしていた。

 どこから銃を調達したかクロウが尋ねると、この階と地下に武器庫があるらしく、そこで管理し武器を揃えている。


 全員集まった所でエドガーが立ち上がり「行くぞ!」と声を上げ部屋を出た。


 駐車場へ歩きながらクロウは恵華の荷物がさっきまで持っていたバッグだけだと気付き、やり合う事になった時はこの子はどうするんだろうと見ていると、恵華がクロウの目線に気づいて頭を傾げる。


「お前、そのバッグに何か入ってんの?どうやって相手潰すの?」


 見たままの疑問をクロウはぶつけると、恵華はニコっと笑みを浮かべながら腕をぐるぐると回し、


「ふふふっ!

 恵華は基本ピストル持ちませんからねぇ〜その時のお楽しみでーす!」


 銃を向けられたらどうするんだろうとクロウは興味を持ちつつも不安になっていた。


 駐車場に着くと、エドガーと二人で乗った車とは別の大きなワゴン車に乗り込みヘリポートへ向かった。

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