表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/183

十四【世界改変】

 

 どういうことなのか。

 過去に"横浜"に居た恵華に"ヨミハマ"と言った自分。

 恵華に会った記憶も当然なく、クロウの知る"ニッポン"で"横浜"と名称も聞いたことがない。


 クロウは考えたくもなかったが、仮に"別の世界"が存在したとしても恵華がまだ"日本"にいた頃は、まだクロウは"ニッポン"に居たはず。


 初めての出会いがここアメリカじゃなく日本で出会っていたのなら、自分は二人存在していたのかと、クロウはますます訳が分からなくなってくる。


 どういう事だ?それは本当に俺なのか?


「あ〜もぉ……お前ら何隠してんだよ?訳分からん。

 何だか違う世界に飛び込んで来た感じだ。推理するともっと分からなくなる」


「ごめんなさい……でも、クロ様は元々謎が多かったので。

 そもそも、クロ様のことで日本での生活は恵華達もほとんど聞いてないんですよ」


 ドクやエドガー、組織のボスに恵華は、自分で思い出さそうと気を使っているのだろうが、クロウは頭を抱えるばかりだった。


 それに対して恵華は申し訳なさそうに俯く。

 ただここまで話しがややこしくなるとクロウも何から紐解いたら良いのか分からなくなってきてた。


 するとクロウは"ニッポン"と"日本"の違いを知りたく、恵華に色々と問いだした。


 "ヨミハマ"でなく"横浜"。


 恵華が遊んでいた時の街の状況を聞くと、差程変わりはなくクロウの知っている"ヨミハマ"と一緒であった。


 それでも、こちらでは文字に"漢字"が使われていること。

 クロウの世界で使われていた文字は、こちらでは"カタカナ"だということ。

 しかし、地名や通貨、国に関わる物以外はほぼ同じ。


 話しだけでは差程変わりはないが、今現時点では名称以外で困る事はないのだろう。


 しかし、一つ気がかりな事があった。


 クロウの知っている"ニッポン"での生活の中で全世界が騒いだ物事の一つを恵華は知らなかった。


 意味不明な出来事で何年経っても色んな憶測や陰謀説などがあり、どの年代でも知っている出来事。


 "十年前に私はある産婦人科で死に至るウイルスを乳児に打ち込んだ"


 犯行声明がニュースで報道された。


 このウイルスはゆっくりと内蔵を蝕み約十年で突然の死を迎えるという毒薬。


 しかし、犯人はどう見てもどこかのホームレス。

 決定的ではないが見た目からして犯人代行として送られたようにしか見えなかった。

 取り調べでもどこの病院やウイルスの入手先などは犯人は口を開かず、ほとんどが謎。


 そしてこの報道があってからすぐに犯人は突然の心臓麻痺で死んでしまい、毒物に対して何も分からずじまい。

 そしてすぐに全国の小学校で一斉に健康診断と言い渡され、強制的に検査された。

 わざわざ校庭に仮設テントのような物を設備し、血液や(エックス)線検査などをされ、十歳とその前後に当たる子供の全員の検査が終わるとすぐに撤退。


 その後、数週間数ヶ月経っても結果は何も報告がなかったという不可解な事があった。


 事件その物に対して国は動いていたようだが、時間が経つにつれて何もなかったかのように国会でも話題が出なくなり、テレビ等の報道もピタリと止んだ。


 それでも学校の保護者、検査を受けた子供の親は黙っていなかったが、病院でも検査は誰も何も問題なかったとその一点張り。


 クロウは当時十歳。


 勿論検査を受けていたので忘れられない出来事だったが、それを恵華は知らないと言う。


 携帯電話でネット検索してみたが、過去にそんな事件は存在していなかった。


「何で……あの時世界であんだけ騒がれたんだぞ!?ネットなんかすぐに引っ掛かるはずなのに……」


 クロウは自分の全ての記憶を疑いだした。

 恵華が知らない事も沢山ある中、"ニッポン"が"日本"に改変された事や今までにあった事をネット以外で調べる術が今はない。


 ただでさえ分からない事だらけなのに"ロベリカ"に来てからの記憶が飛んでいるため、何処から何から何も繋がらない。


 クロウは今色々考えてもしょうがないと思い、改めてドクやエドガーに聞いてみようと一旦この"世界改変(仮)"を置いておく事にした。


「あぁ〜あ……結局何も思い出せねぇなぁー。

 逆に意味不明な事が増えただけだわ(笑)」


「大丈夫ですよぉ!まだ皆さんにも会ってないし、恵華とスパークリングした時みたいに最後に一瞬体が思い出したみたいに記憶も少しずつ戻るかもですよぉ〜!」


 恵華が言う通り実際動いて、聞いて、人に会えば思い出していくだろうとクロウも考えた。


 日本の話しをしているうちにそれなりに時間が経過していたようで、リビング集合の時間が迫っていた。


「少し早めですが、行きますか!

 その前に新しいスパッツと〜……お菓子が足りない!リビングにはあまりないからなぁ〜。

 一旦部屋に行きますけど、クロ様も来ます?」


 恵華はバッグの中身を整理したいようで、部屋に戻るようなのでクロウもついて行った。


 ついて行ったは行ったでクロウの部屋の隣。

 自分の部屋で寝ても良かったんじゃないかとクロウは思いつつ部屋に入る。


 恵華は菓子を適当にバッグの中に詰め込み始めた。

 クロウは部屋を見渡し、本や小物が綺麗に整理された部屋で恵華が描いたであろうたくさんの絵が壁に貼られていた。


 何か漫画の絵や風景、素人のクロウが観ても上手いとしか思えないが、一つ一つ観ていくと、


 これは俺達……クロウファミリーなのか?


 壁に貼られている漫画のイラストはどれも同じ人物ばかりでクロウや恵華にエドガー、他のメンバーらしき人物が漫画タッチで描かれている。


 格好良いシチュエーションの絵が沢山ある中には風景画もあり、それを観てクロウはどこか懐かしい感じがした。


 どこの風景が聞こうと恵華の方を振り返ると、PCデスクに写真が飾ってあった。


 なんだこれ……。


 そこには、白髪のクロウと今と感じの違う恵華が写っていた。


「恵華、この写真はいつのだ?」


「はい?――わぁ!!」


[バタンッ!]


 恵華焦り、バッグの中身を落としつつ写真立てを素早く倒して隠した。


「……なぁ、もう見ちまったから言え」


「……」


 恵華も見られてしまったものは仕方ないと観念し、写真を見ながら答えた。


「これは、ここアメリカでクロ様の"物"になった……あっ、"物"って過去のクロ様の言う家族って事なんですけど、その時の記念写真みたいな……」


「それはいつの写真なんだ?何で俺は白髪なんだよ?」


「それは……知りませーん!終わり〜!!」


 まただと思い頭を抱え込むクロウ。

 見たり聞いたりすればする程に謎が増えてゆく。


 エドガーもだが、何故自分で思い出せと言うのか。

 なぜ言いたがらないのかが不思議だったが、クロウは疲れてしまいまた詮索をやめた。


「ハァ〜……まぁ良いや。菓子はオッケー?とりあえずリビングに行こうぜ」


「……はい」


 恵華がバッグの中身を整理し終わり、二人はリビングへ向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ