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十三【イキテコラレタミチ】

 恵華はテーブルに置いてある自分のバッグから手帳やらスナック菓子を取り出し、いくつかおもむろに袋を空けてベッドの上に並べ出した。


 クロウはその行動を見ながら頭上にクエスチョンマーク。


「さっ!クロ様も座って!食べましょー☆」


 さっきまでのシリアスモードは何処へいったのか、恵華は笑顔で食べだした。


 クロウも仕方なくベッドに腰掛け、何となく輪っかの形をしたスナック菓子に手をつけると、恵華はクロウがそれを食べている所を見て微笑みだした。


「こうやって恵華が色々広げて食べてるとクロ様は決まってそれ食べてました……」


「え?マジで?」


 そんなに好きな訳でもないんだけどな。


 すると一瞬寂しげな顔をした恵華は素に戻り、ボスとの出会い話しを始めた。


 まず恵華は日本生まれ、日本育ちでクロウと同じ関東生まれらしい。


 アメリカに来た理由は約三年前のこと。

 高校を卒業式してすぐに、イラストの勉強でこちらに知り合いの伝手で個人で絵を教えている者の家にホームステイして勉強していた。


 環境が気に入って、どうにか永住でなくてももうしばらく居たいと思っていた矢先に、ホームステイ先で出来た友人繋がりで良い話しをもらった。


 非合法ではあるが、学生ビザを取れるという話しを貰い、しかも指定された学校ならば授業もしっかり受けれるという最高の話し。

 恵華は三ヶ月で日本に戻るつもりでいたので良い話しだと思い、バレたらどうなるかなど何も考えずに恵華は頼んでしまったと言う。


 クロウは煙草に火をつけ、ため息交じりに煙を吐く。


「お前アホだろ?」


「もうクロ様にもみんなにも言われましたぁ〜!最後まで聞いて下さいよぉ〜」


 しかし、非合法という時点でそんなうまい話がある訳もない。


 偽造してもらうにも顔写真など手続きに必要な書類をすぐに作成して渡し、決まっていたかのように何も音沙汰もなく、友人とも会えなくなり連絡が取れなくなった。


 恵華はそれでもたまたま今連絡取れない、駄目になったとしても金を騙し取られた訳でもないので警察にも相談せず呑気に過ごしていた。


 アメリカに来て三ヶ月が経つ頃、丁度日本への帰り支度をしていた時に事件は起きた。


 もう明日に帰るという時に恵華はホームステイ先から姿を消してしまう事になる。


「そこでこの組織に囚われてぇ〜しばらくしてマスターのお気に入りになった恵華は"部下"じゃなく"ペット"扱いにされたのでぇ〜ボスって呼び方も皆とは違う"マスター"って呼んでた?みたいな?

 はいっ!おしまいです!」


 恵華はいきなり声を張り上げて話しを終わらせた。


「はぁ!?何だその終わり方!っつーか、その後めっちゃ重要だろ!!」


 クロウは突然過ぎる話しの切られ方に当たり前の反応。

 それに対して恵華はポテチを食べながら普通に答える。


「その後は〜ドクさんとエドさんとクロ様しか知らない話しでもありますしー。

 そこら辺何か少しでも思い出してくれたらお話ししまーす☆」


 納得は出来ないが了解するしかなかった。

 恵華は色々と教えてくれるが、思い出して欲しいというよりも、あまり話したくないように見えた。


 少しずつ紐解いて確信に近づいたら聞いていこうと思い、クロウは詮索をやめてたわいもない話しを始めた。


「ハァ……。

 それじゃあ、恵華がニッポンに居た頃の話しを聞かしてくれよ。それなら良いだろ?」


「あっ!はい!良いですよぉ☆」


 恵華はクロウに色々な事を話してくれた。

 自分がどんな子だったか、中学、高校、両親の話し。

 恵華は学業でも成績は良く、それなりの名門校に通っていた極めて普通の女の子だった。

 少し普通と違うところを上げるとすれば、外見がギャル系というところくらい。

 高校から垢抜けたと言うが、理由は言わなかった。


 絵の勉強をしつつ、とある切っ掛けから格闘技も習い、そこらの男よりは強かったようだが、なぜこんな普通の女の子が組織に拉致られたのだろうとクロウは不思議に思った。


「ニッポンの生活は楽しかったんだな。

 っつーか、どこら辺に住んでたの?"ヨミハマ"?」


「へ?なんですかそれ?

 ヨミハマ?もしかして"横浜"のこと言ってますぅ?

 そういえばロベなんとかとかも言ってましたね?あれなんですかぁ?」


 あ、まずい……忘れてた。


 クロウはまだ名称が変わった謎も解いていないのに普通の会話をしていて忘れてしまっていた。


 そこで少し恵華に聞いてみる事にした。


「なぁ恵華、記憶がなくなる前の俺はヨミハマとかこういう訳分からんこと言ってなかったか?」


 恵華は頭を傾けながら思い出そうとする。


「ん〜……なかったと思いますよぉ?

 クロ様とこっちで出会った時はもうそれなりにアメリカに馴染んでましたし〜。

 あっ!でも初めて横浜で出会った時にそんな言い方――ムニャムニャ……」


 恵華は口を滑らせたのか、物凄い動揺をみせつつ菓子を食べ始めた。


 クロウも謎に謎が被さって、すかさず恵華の両肩を掴み問いただす。


「ち、ちょっと待て!

 お前!俺と"ヨミハマ"で会っていたのか!?

 いや、そんな"言い方"って言ってるってことは"横浜"か!……え?はぁ?何だそりゃ!?」


 また謎が増えてしまった。


 クロウはますます訳が分からなくなってしまう。


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