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十二【おかしな体質】

 クロウとエドガーは屋敷に着くと、二人共少し疲れたので一度それぞれ自室に戻る事にした。


「それじゃあクロウ、三階のエレベーター前に大きな扉があったろ?

 そこが幹部だけのフリースペース。要は俺達のリビングだ。

 三時間後そこに集合って事でな」


 エドガーはクロウに仲間を紹介する気なのだろう。


 俺を入れて七人って言ってたか?エドガーに恵華、あと四人……どんな奴等だろ。


 クロウは少しワクワクしていた。

 エドガーが家族って言うくらいの仲間。

 それをクロウが拾って仲間したと言っていたが、自分は何を基準に仲間にしたんだろうと楽しみになっていた。


 三時間後とのことなので、自室に戻ってゆっくりしようと部屋のドアを開けると、こちらに背を向けて服を着替えている女が居た。


 クロウは一瞬止まり見ていると、女がこっちを振り向き目が合う。

 誰かと思いきやそれは恵華であった。


 クロウは頭の上にクエスチョンマーク。


 当然恵華は驚いて叫ぶ。


「きゃー!……って、あっ!」


「ごっ、ごめん!!」


 とっさにクロウは謝り、思わずドアを閉めた。


 あれぇ?ここ……俺の部屋だよな?


 すると、部屋からクロ様と叫びながらドアの方へ走ってくる音が聞こえる。

 クロウは少しドアから離れてぶつかるのを避けると、中から勢い良くドアを開けられ、恵華は笑顔で迎えた。


「おかえりなさい!クロ様!」


 恵華は上半身ははだけて下は下着のまま。


「お、おい!!服!服!

 きゃー言うてたやん!着替えろや!!」


 半裸の恵華に対してクロウは必死のツッコミ。

 恵華は自分の体を見た途端に素早く両手で体を隠すと、


「……もうエッチなんですから(笑)」


  [パタンッ]


「はぁ!?」


 恵華はニヤつきながらドアを閉めて着替え始めたようだ。

 クロウはポカンとし、少しイラっとし、あの女はアホなんだと心の中で決定づけた。


 よく考えてみると何故自分の部屋に居るのかという疑問に気付き、謝った自分にも呆れだす。


「クロ様ー!もう大丈夫ですよぉー!」


 数秒で着替えを終えた恵華が、部屋の中から大声で呼ぶ。

 クロウはため息を吐きながらドアを開けて恵華に何をやっていたか聞こうとした瞬間、出会った時と同じように恵華は凄い勢いでクロウに飛びついてきた。


「ぬあ~何してんの!放さんかーい!」


 もう慣れたように恵華を腕を振り解き、なぜ自分の部屋で着替えていたか問うと、医療室を出て行ってからまだ体がダルさが残っていたので、直ぐ様クロウの部屋に直行してクロウが帰って来るまで待っていようと横になっていたようだ。


 しかし、クロウとエドガーはボスの所へ向かってなかなか帰って来なかったため、そのまま爆睡してしまったらしい。


「っつーか、寝るなら自分の部屋で寝ろよ?」


「だってお話ししたかったんですもーん!」


 恵華は恵華なりに記憶をなくしたクロウを心配してのことなのだろう。


 簡単にだが、色々と教えてくれたのも恵華であるし、自身のことを思い出して欲しい気持ちは強く伝わってきていた。


「まぁ三時間後リビングで集まるってエドガーも言ってるしその時話せば良いんじゃね?」


「エドさんからメールきましたから知ってます!それは皆さんとの話しでそれとは別です!二人で話したいんですよぉ!!」


 それも後で話せば良いのではとクロウは頭を傾げる。

 すると、恵華が突然クロウのギプスをしている腕を掴みだし引っ張り始めた。


「お、おい!?てめぇ何を――あれ?」


 不思議な事に痛みが感じられなかった。

 ギプスをしているのにも関わらず動かすと痛かった腕が何も感じなくなっていた。


「ほらぁ!もう大丈夫だと思いました!取っちゃいましょー!」


 何故恵華は分かったのか。

 もう腕は完治しているようで、恵華にギプスを取ってもらった。

 簡易ギプスだったのですぐに外すことはできたが、一つの疑問が浮かび上がった。


「……なぁ、これっていつ着けたんだ?」


「ん〜?昨日ですよぉ?」


「……」


  ギプスしてたって事は骨がイカれてたんだろ?一日で治るのか?


 クロウは、今はもう普通の体ではない事を悟った。

 治った腕を動かして確認してると、恵華がベッドに腰掛け話し出した。


「それで、ドクさんやマ……ボスさんに会って何か思い出しましたかぁ?」


 まただ。


 恵華はボスの名前を言いかけたのか、訂正して普通に話し始める。

 初めて話し時もこのような感じて誤魔化されたが、クロウは分からない事だらけの中で失われた記憶を明らかにしていくために今回はしっかり指摘を入れた。


「思い出してねぇけどよ……お前今ボス呼び名で何か言いかけたな?何だボスさんって?

 初めて会った時もだ。言え!何だ!!」


「え?あの……」


 クロウはドクにエドガー、恵華に時々ある違和感にイラ立っていた。


「言えってんだ!もう分からねぇ事だらけで頭痛ぇんだよ!!」


「……」


 恵華は口を開かない。

 クロウの変貌に焦ったのか、戸惑いながら言っても良いものか考えている様子。

 しばらく俯いた後に、恵華は顔を上げて初めて見せる真面目な顔を見せた。


 クロウの目をジッと見つめた後、ゆっくりと口を開き答え出した。


「全ては言いたくないです。

 クロ様にとってもちょっとずつ思い出した方が良い事もありますし、大事な……思い出もあるし。

 恵華にとっても物凄く良い事と悪い話しにもなりますので……」


 意味深な事を言う恵華。

 それでもクロウは引かずに答えさせようとする。


「じゃあ、せめて話せる所まで言え。

 それでもどうせ自分で思い出せってんだろ?

 きっかけが欲しいだけだよ。少しで良いから話してくれ」


「……分かりました」

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