八 【子供達と祭りへ】
しばらく雑談をしていると、身なりを整え終わった子供達が部屋に戻ってきた。
「メアルー!みてみて!こんな服はじめてだよ!」
「似合ってんじゃん!じゃあ姫様に礼を言って」
「姫様ありがとう!」
子供達は喜び、その光景にレイチェル達も心が和み嬉しそうに笑っていた。
準備が整ったので、全員で城の外へ出て祭りへ向かい、道中メアル達が兵士を恐れて静まり返ったと思うとウネウネに驚いたりして街に入ってからも落ち着くことなく騒ぎっぱなしだった。
「姫様、うるさくてごめんなさい。こいつ等はボクと違って街に入るのが初めてだから」
「何言ってるの。そんなこと気しないでメアル君も一緒に楽しんで!」
申し訳なさそうにしていたメアルだが、メアル自身も実際に堂々と街に入って能力も使わずゆっくりと周りを眺めながら歩くのは初めてだった。
「うん、ありがとう姫様!恵華!遊戯場に行こうよ!」
「おっけ〜!でもぉ〜まず何か食べましょう!お腹空いちゃいましたよぉ」
メアルは恵華の手を引っぱり子供達と一緒に飲食店へ入って行った。
「こうして見るとメアルも普通のガキだな。しっかしあいつ等何にも言わねぇで店に入りやがった(笑)」
「良いことよ。あの子は今までずっと子供ではいられなかったんだから」
レイチェルは気を張っていないメアルの姿が嬉しいようだ。
これからは見た目通りの子供として大人に頼っても良い生活ができるようにしたいと意気込むレイチェル達。
「祭りが終わったらあのガキ共はどうすんだ?」
「とりあえずは城でリルルとミルルの管理下で生活してもらうことにします。一応この世界にも教育施設はあるので、なんとかあの子達の民権を取って行かせないと思っているわ」
メアル達のように中央区から離れた郊外地で産まれ育った者には人権が与えられていないようだ。
なので、まずは中央区で暮らせるように下準備が必要となってくるのだが、今までにそのような手続きなどが行われた事例が全くないとのこと。
「地球でいうとこの戸籍すら元々ねぇってことか。
そんなもん何とかできんのかよ?」
「するわよ。するって決めたから。私は一国の姫だからね」
「……そうかい」
前向きな姿勢で決意を見せるレイチェルにクロウは笑みを浮かべ、それ以上何も問わなかった。
すると、クロウは腕をのばし背伸びをしながら何かを思い出したように声を張り上げ始めた。
「そっかそっかぁー!そんじゃ〜あいつ等とたくさん喋っておきなはれ!俺とジハードはちょっくら抜けるわ」
「え?どういうこと?何処か行くの?」
「ちょっと行く所があるからよ。できるだけすぐ戻る」
そう言ってレイチェル達と別れ、クロウはジハードを連れてその場から歩き去って行った。
ここにガイアは居ねぇし融合もしてねぇ。ジハードと二人っきりになれるチャンスは今だけだ!
ジハードも何も言わずに来てくれたので、クロウが自分に何か聞きたいことがあると分かっているようだ。
「ん〜ゆっくりできる所が……ねぇな!人だらけだ!ジハード、悪ぃけど転移するから俺の生命力追ってきてくれ」
「えぇ、構いませんよ」
そう言って誰にも見られないように狭い路地裏に入り転移魔法で移動すると、そこはジハードと初めて会ったサラ王妃の墓の前だった。
ここならなんの邪魔もなくゆっくり話せるだろう。
「「ジハード、場所分かるか?王妃の墓の前だからな?」」
念話でジハードがしっかり生命力を追って来れているか確認すると、背後から肩を叩かれ
「もう着いてますよ」
「ぶぅわ!!……早くね?」
クロウが転移して来てから数秒でジハードもこの場所に着いていたようだ。
能力でも使って来たのか、ジハードの足が速いという次元でなく瞬間移動に近いものだった。
「お前どんだけすげぇ奴なんだよ?……なぁ、龍神族より強い奴ってこの世にいるのか?」
「当たり前じゃないですか(笑)世界は広いですから。まず貴方のご先祖様には絶対に敵いませんね」
ガイアには敵わないと言っているのは、前に言っていた本体の事なのだろうか。
「クロウ、私に聞きたい事があるのでしょう?どうやら貴方は本当に記憶がなくなったのか、元から何も知らないのでしょう。私に答えられる範囲で良いならお教えしますよ」
ジハードは察しが良く、話しが早かった。
ジハードも元々クロウと会ってからというもの、ガイアのことすら何も知らされていないことに疑問を抱いていたようなので丁度良かったと言う。
「そんじゃあ簡単な質問から……何であの野郎は自分のことを何も語らないのか不明だけど、いい加減腹が立ってきてんだよ。教えてくれ、ガイアは何者なんだ?何で人間の俺が末裔なんだ?魔法は神の力っつってんのに"魔王"ってのはどういうことなんだ?」
「いきなりですね。魔王様が語らない理由はあるでしょうが、貴方をこの世界で鍛えるにあたって嫌でも知ることとなるでしょう。それにその質問は決して簡単ではないですよ?」
ジハードは話してくれた。
人間でも人外種でもないガイアの話しを。
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