表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/183

十【オワリ始まりを学ぶ】

「――お前さんは静かに泣いとったよ……あの時はなんと声をかけたら良いか分からなくてのう」


 クロウの悲しき現状を伝え、突然話しを終わらせた。

 突発過ぎな終わらせ方でしばらく沈黙が続いた。


「……え!これで終わり!?」


 クロウは激しくツッコむ。


「いや、全然詳しくじゃねぇし!

 俺はもうニッポンに……いや日本に……あれ?

 このまま戻ったら……んあ?

 どゆこと?もう分っかんねぇ!泣きそう!

 ちょっ……は、話しを変えよぉ!じゃあ仕事は!?今の仲間は!?ってかあんたジャックって名前かい!!」


 クロウの切り替えとツッコミにドクは困惑する。


「落ち着けーい!

 確かにその後能力を身体に慣らすトレーニングや実験、仕事の話しもじゃが、一度に聞いても困惑するだけじゃ!仕事に関してはわしの知らん事も多い。仲間の事は本人等に聞くと良いじゃろ」


「……お、おう」


 クロウは渋々納得した。

 しかし、所々疑問は残る。

 クロウはドクの話しは出来過ぎていると睨む。

 話しを飛ばしているだけなのかもしれないが、展開が早過ぎる。何処かおかしい。

 そして何かを隠しているようにも聞こえた。

 疑念を抱きながらもクロウはこれからの事をドクに相談した。


「とりあえず分かった。

 死んだことにか……記憶はねぇけど、俺自身は何も変わってないんだろ?

 もう何が何だかだけど、能力やら仕事やらまた一からよろしく頼むわ。

 まず、俺は何をしていけば良いんだ?」


「……そうじゃな、現時点でなぜ記憶が欠落したのかはわしには見当もつかん。

 まずはエドガー達に会ってみたらどうじゃ?それにお前さんは丁度昨日までは働き詰めで、さすがに今日は余裕があるじゃろうからな」


 クロウはドクに何でも聞くのも重荷に感じさせてしまうと思い、とりあえず自分の部屋に戻ることにした。


 廊下を渡り、恵華と乗ったエレベーターに乗り込んでボタンを見るとドクの部屋は地下三階だった。

 自室がある三階を押して上へ上がると、一階でエレベーターが止まってしまった。


 あっ、知らねぇ奴だったらどうしよ……。まぁ俺が忘れてるだけだから良いか。


 クロウは少し不安に思いつつエレベーターの扉が開くと、そこに立っていたのはエドガーだった。

 エドガーは驚いた顔をするなりクロウの両肩を突然掴み出した。


「ドクの所に行ってたんだろ!?何か思い出せたか!?」


 エドガーは少し焦ったようにクロウに問う。


「いや、何にも思い出せねぇ。実験だの仕事だのって聞いたけど、まだ何も分からねぇよ」


「そうか……」


 エドガーはクロウの肩から手を下ろし、悲しげな顔をして俯く。

 その顔を見てクロウは何か悪い事をしたような感じがしてしまい、励ますように明るく声を張り上げた。


「まぁー……よっ!よく分からねぇけど少しは現状理解した。

 改めてよろしく頼むぜ!エドガーさんよ!」


 クロウはエドガーの胸を手の甲で叩きながら笑顔で言うと、エドガーはじっとクロウを見始めた。


「……ハッハー!

 記憶がなくなっても変わらないんだな!恵華から聞いたけど、病み上がりであいつとスパーリングなんかやりやがって(笑)

 それじゃあドクとも会ったら次はあいつ等に……と言いたいところだが、まず"ボス"に会ってもらうぞ?」


 クロウはそうなる事が分かっていたようで素直にエドガーについて行った。

 するとその建物の一階にある駐車場へ行き、車で出ようとする。

 エドガーによると"ボス"は全く別の場所の屋敷にいるようだ。

 この屋敷は過去に仕事で手に入れた物で、ここを拠点にしたいとクロウがボスに申し出て無理矢理移動したようだ。


 車に乗り込み屋敷を出ると、そこは何もない長い田舎道だった。

 車でボスの所へ向かう道中、クロウはエドガーに色々と質問を始めた。


 しかし、屋敷やらDNA?の事やら本当に俺はどうしちまったんだ……。


「なぁ?お前は俺のこと変わらないって言ったけど俺ってどんな奴だった?」


「どんな奴かぁ……。

 特に今と変わらないぞ?何があってもすぐに切替えて、平然としているようなアホだったな(笑)

 でも、頼りになる奴だよ。お前は」


 エドガーは少し寂しげに話す。


「アホで頼りになる?(笑)

 まぁ良いや、もっと教えてくれ」


 エドガーは大雑把にだがクロウに話した。

 組織ではどんな非合法的な仕事をしているか。

 薬の副作用で体が思い通り動かない中で必死で仕事をこなしてた事。

 仲間との信頼関係。

 日本での生活がなかった事のように仕事に没頭していた事を話した。


「それじゃあ非合法って事はもちろん犯罪だろ?俺は良く分からねぇけど、"組織"ってのはやっぱり商売的にマフィアとかギャングの類いなのか?

 そんなんに何で俺なんかが必要なんだよ?」


 クロウはどうしても根本的なところが気になってしょうがなかった。


「確かにうちの組織はお前が思うマフィアだが、お前のチーム……まぁ俺もいるが、全然違う事をしている方が多いからな。

 屋敷だってある事件に関与していた一家をお前が独断でぶっ潰して得たものだからな」


 組織的にクロウ自体は別の使い方をされていたようで、麻薬の売買や人身売買といったマネーロンダリングにはあまり関わっていなかったようだった。


「ふーん、映画の世界の話しだな。

 ボスに会うのが怖くなってきたわ(笑)」


 クロウはこれからやっていかなければならない仕事が自分に出来るのか不安になっていた。

 それを今までこなしていた事が不思議な位に。

 前のクロウは肝が据わっていたようだが、人身売買などに関わっていなかったことを聞くと、やはり多少なりとも良心があったのかと自分に安心感を持つ。


「でもまぁ、お前が暴走して単独で動く事が多くてな。命令無視がほとんどだ。

 ……今までお前が生き残れたのは周りのおかげなんだぞ?」


「……」


 クロウは話しを聞いてるだけでは本当に自分の事なのか信じられなかった。


「なぁ?能力についてはどうだった?お前等はどうゆう感じで受け止めていたんだ?俺と居て怖くはなかったのか?

 ドクは俺は元々人とは違うDNAを持っていたとも言ってたし。

 はっきり言って俺自身は自分が怖ぇよ」


 恐る恐る自分の印象をエドガーに聞く。


「それは……その体のおかげで俺等も助けられる事も多かったし、普段は気にしていなかったな」


 エドガーは少し戸惑いながらもクロウに気にするなと話す。


「良いかクロウ。これはお前が俺達に言ってくれた事だが、俺達は仲間であり家族だ。

 それだけはこれから何を知って何を聞いても頭に入れておけ、分かったな?」


「ん?あぁ」


 ますますクロウの中で不安が大きくなる。

 組織どうこうよりクロウ自身の事をドクもエドガーも恵華さえあまり話さない。

 隠していると言うより言い辛いようにも感じる。

 いずれ分かるだろうとクロウは詮索せずに話しを続けた。


「そういえば恵華に少し聞いたけど、仲間ってのは?やっぱり組織内で出会った奴等か?

 ここにそれなりの人数がいるみたいだけど、全員お前の言う家族か?」


()()は幹部七人からお前が始めた組織で、その大半はお前が拾ってきた奴等だな(笑)

 あと、勘違いするなよ?あの屋敷に出入りしている人間はお前についてきている奴等だけだ。

 組織自体は人数を数えれば半端ないぞ?

 俺達はその中の"クロウファミリー"の幹部だからな?」


 エドガーが言うには、組織が巨大なために各地で派閥化しているとの事。


 エドガーがボスの"右手"的な最高幹部で、なぜクロウと共に居るかは監視のためのようだ。

 過去にクロウがエドガーを仕事の度に同行に指名していた事もあるようだ。


 余程クロウはエドガーを好いていたようだが、それもそのはず。

 クロウが拉致られてから面倒をみていたのはエドガーだった。

 クロウがまだ日本に未練があり、錯乱した時も脱走し捕まった時もエドガーがそばについていた。


 今のクロウファミリーが出来るまでは、ボスには監視と言いつつ、エドガーはクロウと一緒に女遊びやギャンブルなどをして組織内での生活を慣れさせたのだ。


「ふーん……ん?」


 それはいつの話しなんだ?


「まぁ良いや。

 それじゃあ用が終わったら他の仲間全員紹介してくれ」


「おう!」


 エドガーは親指を立てグッドサインを出し

 クロウに笑いかけた。

 そうこうしている内に車はヘリポートに着いていた。


 それなりに距離があるらしく、ヘリコプターでの移動に切り替える様で、車を駐車して乗り換えた。

 流石に大きな組織だけにヘリポートもヘリも自家用だった。

 乗り込んですぐ上空へ上がると遠くに町が見えたが、進む方向は町とは逆方向にヘリは飛んで行った。


 ……緑ばっかり。


 田舎の方へ飛び進むと、またもや大きな屋敷が。

 そこには屋敷専用のヘリポートがあり、クロウがさっきまで居た屋敷とは別格に豪邸だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ