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五 【メアルの仲間を迎えに】

 

 全員の支度が整い、クロウも入浴から出て着替えを済ませた。


「あ、この髪の色戻らねぇかな?」


 寝ている間にガイアが融合していた事を鏡で確認した時、今までずっと白髪のままでいたことで一瞬気づかなかった。

 するとクロウは髪を染めたいと思い、一度地球に転移しようと魔法陣を展開させた。


「え〜と……っつーか、魔法で髪の色変えちまえば良いんじゃん?」


 クロウは転移魔法をやめて自分の元の髪色を思い出し想像した。

 魔力を発動すると、一瞬で髪色がブラウンカラーに。


「おぉー!めっちゃ便利!あっ、髪以外も全部白いんだったわ。ふんっ!」


 体毛全ての色素が落ちて白くなっていたので、髪色以外の箇所も全て元に戻してパンツの中を確認した。


「いいねぇ〜!人間に戻ったって感じがする!……って、 俺は人間だっつーの」


 一人ツッコミをしてすぐに皆が待っている部屋に向かうと、髪色を戻したクロウに全員驚き恵華は喜んでクロウに飛びついてきた。


「元のクロ様だぁー!魔法で戻したんですかぁ??」


「え?なんで分かったの?」


 恵華の話しによれば過去のクロウもガイアに入り込まれた後に脱色された髪をいつも魔法で戻していたようだ。

 しかし、その魔法の使い方にジハードはあまり良いことではないと注意を促した。


「今はあまり魔法を使うのはやめた方が良いと思います。魔力放出量の加減もできずに魔法を使えば、どんな小さな魔法でも大出力で放出していることになります。貴方の見た光の正体も分かっていません。魔王様がそばにおられない時はどうか控えてくださいね」


 ここまでジハードが心配して話すのも、人外種の生命力切れによる"死"を何度も目にして知っているからだ。

 クロウは魔力も持ち合わしているため、魔力切れでも生命活動に危険をともなう。


「あぁ、分かったよ。でも今日はあと数回だけ使うからな?」


 クロウはメアルの前に立ち、頭の上に手を置いた。


「何してんの?勝手に人の頭撫でないでよ」


「うるせぇんだよ。祭りに行く前にさっさと事を済ませたいからよ。今からお前の仲間を探してやるから全員の顔や声、全て頭に思い浮かべろ」


 周りはクロウが何をやろうとしているのかは分からないが、足元に魔法陣が展開され始めた。

 メアルもガイアやジハードの話しをそばで魔法の話しを聞いていたので、何かをしてくれるのだろうと黙って従い、目を瞑り仲間の顔を思い浮かべた。


「……あと少しだ、もっと強く思い浮かべろ」


「……」


 今まで仲間と過ごして来た時やその光景を頭の中で必死に思い返した。

 その中で、突然少女に襲われた時にメアルが逃げろと言ってもなかなか言うことを聞かずに逃げようとしなかった子供達が頭に浮かんでくると、仲間を見つけたいという気持ちが高ぶることによってクロウへ全てが伝わった。


「よし、良いぞ!これなら探せるはずだ!」


 クロウはメアルの記憶の中にある仲間の顔を見ると同時に、生命力までも魔法で読み取った。


「ちょっと屋上行ってくるわ。リルル、ミルル、俺に掴まれ」


 二人は顔を見合わせ頭を傾げながらもクロウの腕を掴み、三人は転移魔法で屋上に飛んだ。

 外へ出るとクロウは再度魔法陣を展開し始め、瞳が赤い光を放ち出した。


 魔法で何処かを見ようとしているクロウを察した二人は黙って見ていると


「んー……見つけた!あれ?でもここって――」


 子供達の生命力の居所が分かったが、場所が驚くことに少女と戦ったボロ屋だった。


「逃げたって言っても以外と近くに居たのかもな。そんじゃあ〜迎えに行くぞ!」


 二人の肩を抱きかかえてすぐに転移して飛んで行くと、ボロ屋の中に空間が開いた。

 いきなり部屋のど真ん中に現れたクロウ達に三人の子供達が驚き急いで隠れるが、リルルとミルルの姿を見るとすぐに隠れるのをやめて出てきた。


「驚かせてごめんにゅー!メアルがお城で待ってるから一緒に行こう!」


 メアルと歳が同じくらいの女の子一人に男の子が二人。

 子供達はリルルとミルルを知っていた。

 レイチェル姫の警護、そしてタスリーフ国に龍人族はこの二人しか居ないこともあり、見まわりで色々な所に顔を出しているうちに有名になったと言う。


「メアルは無事なの?なんでお城にいるの?」


 子供達はメアルのことがずっと気になり、逃がされた後も近くで潜み隠れていた。

 クロウ達が去った後に静まったタイミングでこの家に戻ってきていたようだ。


「メアルはめっちゃ元気だ。今でもお前等を心配して待ってるからさっさと行くぞ」


「お兄さんは誰?何か変……にんげん?」


 三人の中の女の子がクロウを人種じゃなく人間と言った。

 生命力を見分けられるということは、探知能力でもあるのだろう。


「お?良く分かったなぁ!俺はクロウ。地球産の人種だ。でもちょっとだけ人外の血?が入ってるけどよろしくな!っつーことでお前等二人でこの子等運んでくれ」


 ここでリルルとミルルが連れてこられた理由が分かった。

 クロウ一人だと説明が面倒なのと、転移魔法はクロウの血を飲ませた相手でなければ使えない。

 恵華の一件で無闇やたらに血を飲ませて良いかも分からないということで、翼を持つ龍人族の二人なら全て容易に事が進むと思い連れてきた。


「なんとなくこういう事だって分かってたけど、転移する前にちゃんと説明してよね?」


「はい……」


 クロウはリルルに軽く叱られ、それに笑う子供達は身支度を始めた。

 用意が終わりリルルとミルルは翼を出すと、三人を抱えて城まで飛んで行った。


「さて、俺も戻るか……ん?」


 荒れ果てた部屋にボコボコとなった床には、一部クロウが放った落雷の跡が残っていた。


「想像とは少し違った雷撃だったけど、あの人造人間のガキは何で生きてたんだ?」


 クロウは雷撃跡を横目に、転移魔法でその場を後にした。

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