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七十四【一撃必中】

 恵華はメアルの声に反応してすぐに少女の姿を確認したが、クロウが膝で寝ているのですぐに動くことができない。


 すると、ドレスがボロボロに裂けて髪も焼け焦げた少女は何も喋ることもなく両手を広げ念動力を使い始めた。

 なぜ少女は落雷に打たれても無事であったのか不明だが、致命傷は与えているようだった。

 その証拠に先程よりも念動力が弱っているようで、物を動かす力が先程よりも若干遅い。

 隙も多いので、物を飛ばされてもメアルの力を借りて二人でクロウを肩を持って避ける事ができる程だった。


 あの子、生命力がほとんど無い状態で能力を使ってるんだ……そのまま使い続けたら死に直結するのに。


 人外種の能力が自身の生命力を使って発動を促している事は、元々恵華もブランドンから知らされていた。

 そして限界まで生命力を使い続けると、生命力核にダメージを負って死に至る事も知っていた。

 それはメアルも同様で、能力を使い続けた上に怪我と疲労で生命力が危うい状況だった。

 恵華も片足を負傷し自由に動けなくなっており、クロウに限っては魔力切れ寸前だと思われる。

 少女も高ぶった怒りの感情だけで動いているようだが、こちらも攻撃を避けるのにも限界にきていた。


「メア!メアだけでもこの場から逃げてください!一人なら能力を使えるでしょ!!」


「ダメだよ!助けて貰った人を置き去りにして逃げるなんてできない!!」


 逃げろと言う恵華の言う事を聞かずにメアルは留まることを決め、クロウを背負ったまま少女の攻撃を避け続けた。

 飛来物は遅く緩い攻撃が多いので、ほとんどは恵華のグラビティ・ウォールで受け流がす事ができ、何とかその場を凌いでいる。

 それでも、いつまで続けられるのか。

 避けるだけで少女の生命力切れまで逃げ続けなければいけないのかとメアルが考えている中で、恵華がメアルに耳打ちをした。

 流石にこちらの体力が持たないと思った恵華は、この状況の打開策をメアルに話してすぐに行動に移した。


「それじゃあ隙を見て行きますよ?メアも恵華も片足がやられてますが、この一瞬だけ我慢しましょう!」


「わ、わかった!じゃあ行くよ、せーの!」


 今の少女の念動力には、一度に数秒しか物を持ち上げ飛ばす力しかない。

 飛ばし終えたら再度念動力を使う為の発動時間が、僅かだが隙ができる。

 それに気付いた恵華は、そこを突いて何とか打撃の一つでも与えられないかと考えた。


 メアルの掛け声と共に恵華はクロウの肩を放しその場を離れ、片足の怪我を気にせず全力で走り少女の周りを移動し始めた。

 メアルもクロウを背負いながら能力を使って部屋の中を素早く駈け回り、二手に別れた事で少女を惑わせ撹乱させた。

 メアルの能力を一瞬でも使えば、恵華を犠牲にしてクロウと共に外に逃げる事も可能なのだが、そうはせずに少女の周りだけを動き回って飛来物を避けていた。

 それだけではなく、メアルは床に落ちている小石を瞬時に拾っては少女に投げてこちらに注意が向くように仕向けている。

 メアルが投げる小石を念動力で防ぐ少女は更に怒り狂い、がむしゃらに力を使い出した。

 飛来物は多くなったものの、狙いも定めない杜撰(ずさん)な攻撃となっていき、避けなくても動き回っているだけで良いくらいとなった。


「ほーらどうしたんだ!そんなんじゃ全然当たんないよー?しっかり狙って来いよー!」


「……」


 メアルの挑発に乗った少女は、もうメアルしか見えていない状態となって念動力による攻撃を当てようと躍起になっていた。


 ……合図だ!


 メアルが挑発し始めた時には、恵華は姿をくらまして何処かへ消えてしまったが、少女はそれに気付いていない。

 完全に油断をしている隙に攻撃が止むタイミングで何らかの合図がくると、メアルはクロウを部屋の隅に下ろしそのまま能力を使わず少女の近くへ走って行った。


 真向から常人が走る速度で向かって来るメアルに対し、少女は何も疑念を抱く事なく念動力を発動させ攻撃に入った。

 メアルはニヤリと笑って飛来物を避ける素振りすら見せずに走って行くと、メアルを潰そうと前方以外完全無防備となった宙に浮く少女の頭上には、回転しながら飛び上がり打撃体制に入る恵華の姿が。


「――やっと一本」


「!!」


 恵華は強烈な胴回し回転蹴りを少女の脳天目掛けて放ち、一気に地面へ蹴り落とした。

 過去にクロウが目覚めた時にこの蹴り技を出した事もあるが、避ける事なくまともに食らっていたら一溜りもなかっただろう。

 落とされた少女は床で気絶し、恵華は地面に着地すると同時に怪我した足に無理が生じて倒れてしまった。


「大丈夫!?

 凄い……能力も持たない人間が今の蹴りは凄いよ!」


「ニャハハハ……大丈夫ですよぉ〜!もう動けませんけどね(笑)」


 二人は協力し合って宙に浮きながら能力を使う少女をなんとか打ち倒す事ができた。

 今までの緊張が解けたせいか、その場が静まり返ると二人は思わず吹き出し、笑いながら肩を貸し合いクロウの元へ向い歩き出した。


 すると、今まで散々振り回され大きな音にも関係なく気絶していたクロウが、何かを察知し目を覚ました。

 薄目で笑いながらこちらに歩いてくる恵華達の方を見ると、そこにはまた宙に浮く物体が。


「に……げろ」

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