2話 転生
大変遅くなりました。すみません。
……………………静かで心地良い…。
体が羽根みたいに軽い…。
一体いつからここに居たのだろう……。
まあ、そんな事どうでもいいか…。
いつまでもこうしていよう。
フワフワしたこの感覚が堪らない…。
一体どれくらい時間が経ったのだろう…。
ああ、でも…それもどうでもいいか…動きたくない…と言うか、動けない。
ん?何か…聞こえるような…
『ステータス魔法が適用されます。……ステータス魔法の付与に成功しました。これより本格転移を開始致します。』
そう聞こえた。聞こえたはずなのに記憶出来ない。
なんて言ってんだろう…まあこの時間が続くならどうでもいいかな…。
あれ…体が光ってる…と言うか、体…あったんだ…。
発光しだす透の体。
『これより、転生魔術を開始致します。』
再び声が頭の中に駆け巡った。
すると、声に呼応して体の発光も強くなり始めた。
本能的に理解した。この時間は終わるんだ、と。
ああ、もう終わりか…長かったような短いような…
『転生魔術が発動します。』
ああ、消えるってこんな感覚なんだ…。
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『転生魔術、当場所での記憶の抹消…共に完了。次元時空因果律の変換を開始…完了。これよりスリープモードに切り替え、マスター権限を封印します。』
誰もいなくなった空間でまるで機械音声のような声だけが響いた。