1話 社畜
遅くなりました…すみません。
あれ?これ別作品?と思われた方、合ってます。
それと胸糞?描写と微グロ描写あります。
ヤッホー!唐突に自己紹介!
俺は柴田 透(28歳)身長169cm体重49kg入社してから6年!どこにでもいる社畜さ!いやぁ〜今日も仕事が楽しいぃゾォ〜!!あははははははははははは!
さーてと、つまらない自己紹介は終えて目の前の作業をとっとと終わらせますか!
チラッ…
んふぅ〜ん?
おっかしいなぁ!3徹の影響かなぁ〜?ちょっと周りがよく理解出来ない事態になってるゾ?
透は自分の周りをよく見ると、いくつもの積み重なった書類が自分の身長を超えるという、異様な事態を再認識させられる。
は?こんなん、もう塔の域やん…
思わず関西弁が出てしまった。
いやいや無理だ。これはどうやっても1週間後の納期に間に合わないぞ…
落ち着けぇ〜俺…よしッ兎に角、現状の確認をして上司に報告。それから対処してもらおう。
まずは現状の確認。
死屍累々としたオフィス。目がぼやけてよくは見えないけど、俺と同じくらい作業に追われてるやつとか、絶望しているに奴に倒れている奴、果ては一人で呟いては笑っている奴…
なんだ此処は?俺はいつから地獄に迷い込んだ?確か俺は仕事をしていた筈だ。……という事はここはオフィスか!ハッハッハ、俺冴えてるぅ〜!
じゃない!!落ち着け俺!今は上司に報告しないと!
善は急げ、早速報告に!
ガタンッ!ドン!バタン!
「うっ!」
………転けた。ここしばらくの間ずっと運動してなかったから転けた。ここ大事!
いや、そんな事よりも、さっさと起き上がって報告に行かないと!
「ハァハァ、フゥ…」
クソ…真っ直ぐ歩けない。けど、上司のところまであと僅かだ。頑張れ俺!
「課長少し良いですか?」
「駄目」
「え?」
「駄目」
即答?え?今即答で駄目って言われた?ごめん、俺ちょっと理解出来ない。
それに何が駄目なんだろう。今特に何もしてないし、なんなら大人な本読んでるじゃん。
いや、兎に角今は報告しないと…
「あの、今の仕事、納期に間に合いそうにないんですけど…」
「ねぇ、今駄目って言ったよね?なんで駄目って言ったのに話しかけるかなぁ?そんな簡単なことも出来ないの?しかも何?納期に間に合わない?何舐めた事言ってるの?こんな報告する時間があるなら手を動かしたら?これだからゆとり世代は!」
え?どうしよう…ちょっと涙腺が…
負けちゃ駄目だ!頑張れ俺!
「いや、ゆとり世代は関係無いかと…」
「え?何?君口答えするの?上司に向かって?仕事もまともに出来ないクセに口だけは達者だね!給料払わないよ?」
励ました途端折れそうになった…
「はい…すみませんでした…」
更に、畳み掛けるように課長が難題を押し付けてきた。
「分かればイイんだよ。あっそうそう、無駄な報告して時間を潰したからマイナス付けとくから、覚えておいてね。それと、追加でこの書類先に済ませておいてよ。」
「…え?いや、時間が無いですし、それを受けたら今の仕事が間に合いませ…」
「ハハハ!何冗談言ってるの?君ぃ〜こんなつまらない報告をするほど時間を持て余してるんでしょ?だったら出来るでしょ?」
「ちょっと待っ…」
ちょっと待って下さい、と言おうと思った瞬間
「何?クビになりたいの?」
パワハラだ。
そう、分かっていても口答えなど出来るはずもなく…
「…はい、わかり…ました」
了承してしまった。
「いや〜物分かり良くて助かるよぉ〜!ありがとねぇ。じゃあ、僕は用事があるからさっさと自分の持ち場に戻ってくれたまえ。」
その言葉を聞いてから、俺は自分の作業に戻った。
追加の作業を言い渡されてから、6時間後。
「…お腹空いた」
そう言えば、休憩まだ入ってなかったな…時間も…うん、まだ昼1時だ。
よかった、生活習慣はまだ崩れ切っていない。眠れないなら、せめて体内時計だけでも正しておかないと精神が本格的にヤバくなる…
今の作業をキリのいいところまで済ませ、昼食の準備をして職場を出た。
頭がボーッとする。
お腹空いたけど、今は眠りたいな…
「…あれ?透?」
今、名前呼ばれた?
まあ、いいか。振り返る気力も無いし聞こえなかったフリをしよう…
そう思った瞬間
バタッ…
「無視…って、おい!大丈夫か、透!」
誰かが呼んでる
ああ、俺、倒れたんだ。
このまま意識無くしたらどうなるんだろう…
そんなくだらない事考えてる内に視界が暗転した。
…………………………………………………………………………………………
気がつくと、見知らぬ天井が見えた。
え?何処、ここ?
「お?目が覚めたか!」
「将輝?どうしてお前が?それに、ここは?」
「落ち着けって、順を追って説明するから。」
どうやら将輝が説明してくれるみたいだ。
「いいか?お前は一昨日の昼、会社でぶっ倒れて搬送されたんだよ。で、ここは病院だ。以上!」
え?昨日の昼!?倒れたって事は仕事が…
全身の温度一気に低くなった気がした。
やばい早く仕事に行かないと!
善は急げ!直ぐに腰を浮かせ支度をしようとすると
「おい!どこ行く気だ!寝てろって!」
「何言ってんるんだよ!仕事が溜まって…と言うか、なんでお前もここにいるんだよ!会社に行かないと…」
「お前の言いたい事は分かったから、一旦落ち着け。」
逸る気持ちを抑えて、俺は言われるがままベットに腰を落とした。
「まだ、説明してる最中だろ?お前らしくない…いや、俺が締めてたな、すまん」
「何一人で自己完結してるんだよ、早く教えろよ」
「そう急かすなって。いいか?お前が倒れた後、病院で色々聞かれたんだよ。どうして倒れたのかってな、で同じ社畜仲間で親友の俺が説明してやったのさ。ついでに言うと救急車を呼んだのも俺だ!」
胸を張って言う姿がちょっと癪に触るけど、まあいい、それよりも…
「そうか、ありがとう…」
助けてくれたんだ、先ずは礼をしないとな。
「礼を言うのはまだ早いぜ?」
「何だって!?」
そう言って顔をニヤリとさせる将輝。
ハッ!
しまった!ついノリで返してしまった!
「ハハ!なんだ結構元気になったんじゃん」
「うるさいっ!早く説明しろよ!」
「おー、怖い怖い。で、続きだけど、まあ俺が理由を言ったから当然、会社全体に捜査が入って今は休業中って訳だ!」
あまりにも長い間休みが無かったから一瞬理解出来なかった。
けど、直ぐに溶けるように、頭の中に染み渡った。
「そっか…休み、休み…ううぅ…ぐぅ!」
休める、そう理解した瞬間俺の中で嬉しさが一気に膨れ上がって不覚にも泣いてしまった。
「……フッ、にしてもあの時のクソ上司の顔を思い出すだけで心がスッとするぜ!あ〜あ、正雄にも見せたかったなぁ!」
ニィッと笑いかけてくる将輝。
泣いてもおちょくって来ない…
寧ろ、励ましてくる。ホント、お前はいい親友だよ!
折角励まして貰ったんだ、いつまでも泣いてられない。
「グスッ……へー、どんな顔だったんだよ」
まだ赤い目をしながら、笑いながら聞き返す。
「フンッ!捜査が決まった瞬間、青ざめてクシャクシャにしてたぞ!しかも、机に八つ当たって足の爪先抑えて転がってやがった!ざまーねーぜ!」
「あははは!ホントザマあないね!でも、これでやっと楽になるな!」
「そうだなぁ…金も一杯入ってくるしな!慰謝料と…未払いの残業代がな!!」
「残業代…だとッ!?」
そこで気づいた、この世には残業代が有るという事を!
「金が入ったら何する?きっと俺らの事だ何百万…いや、慰謝料足せば、一千万かも!」
「一千万!!ヤベー!何に使おう!」
…それにしても、慰謝料足したとしても一千万円か。自分達で言ってて悲しくなるぜ!
「にしても、悲しくなるな!慰謝料足したとしても一千万いくとか!どんだけ働かされてたのやら」
どうやら同じ事を考えていたようだ。
我が親友ながら恐ろしいぜ!
「だな。でも、ホントに何に使おうかなぁ…焼肉いや、ステーキか、兎に角それは当然として、温泉だろ?それにお酒と…」
「風俗!!」
将輝の発言で俺思い出してしまった!
いや、現実を見たくなかっただけだ!!
そう、俺が!童貞だという事を!!!
「…将輝よ、本気か?」
俺はどこぞの局長の様に腕を組み、問う。
「…フッ何を今更、俺はいつだって本気だ!」
将輝の目は本気と書いてマジ!
と、幻視してしまいそうなくらい熱く燃えていた。
「そうか…遂に行くのか」
「ああ、遂にだ。…俺たちは社畜になってからもオタク道を真っ直ぐに生きて来た。故に金も彼女もなく、童貞のままだった!だが!今は、違う!金が有る!!……後は分かるな?」
香ばしいポーズを決めながら言う将輝。
「ああ…そうだったな…俺たちには金が有る…
後は、剥けるだけだな!!」
互いの意思は揃った。そう確信した瞬間…
俺たちは顔をひどく歪めニヤニヤと笑い始めたその時
バン!!
「うるさい!声が漏れてます!」
ナースが声が大きいと叱りに来た様だ。
けど、それを認識するよりも早く俺たちは互いに指を差し合い…
「「こいつが大声で喋ってました!!!」」
「どっちもよ!他の患者さんもいるんだから、静かにしなさい!次、大声で叫んだら起こりますからね!」
そう言い残し仕事に戻って行った。
俺たちは互いに向き合い目を細める。
「おい、どうだった」
「何がさ」
「分かってんだろ?」
「チッ、バレてたか…」
そこから息を吸い込む音だけが聞こえ
「「最高だったな!!」」
何が最高って若いナースに叱られた事!!
こういうのは何度でも味わいたい!
故に俺たちはハモリを決めた後に、目をキラキラさせて、ドアをチラッ…
バンッ!
「あんた達いい加減にしなさい!」
見事罠にかかったナースを見て俺たちは…
「「イエーイッ!」」
ハイタッチをかますのだった。
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ナースにこってり叱られ、時刻もスッカリ夕暮れ時になったようだ。
窓の外の世界が朱色に染まっていた。
「もうこんな時間か…なんだか時間が経つの早く感じるな…」
「そりゃ、俺たちが社畜だったからな。時間が経つのが早く感じるのは仕方ない事だろ?」
「それも、そっか」
「それに、繰り返す事になるけど、もうあんなに働かなくて済むんだし今の内に慣れとけよ?じゃないと、いざ、やる時に眠くて出来ませんとかなったらトラウマ物だぜ?」
そう言ってははっ、と笑う将輝。
俺は窓を見る。赤く染まる世界と暗がりを照らすを照らす太陽と月。
社畜の頃には見れなかった景色。
久しく見る景色が、妙に幻想的で綺麗だった。
よし!将輝の言う通り仕事もクソ上司も忘れて今から心機一転だ!
そうと決まれば…
「なあ!将輝!明日さ…」
ブシュウウウウウゥゥ… ドサッ…
「………は?」
振り向いた先で、何故か左胸から血を吹き出しながら倒れる将輝。
「明日が…どうしたんだ〜い?と・お・るく〜ん〜」
ヒヒッそう笑う…クソ上司
血の海で横たわる将輝、頭が追いつかない。
「なんであんたが、それに将輝は…」
そこで漸く気づいた。クソ上司の腕と胴体から下が血で濡れ、手にナイフが握られている事に。
ヤバイ!直ぐに逃げないと!それと助けもッ!
しかし緊張と混乱、恐怖の所為か、喉も足も岩のように重く動かない。
けれど、意外な事に腕だけは勝ってに動いていた。
俺の体は自己保身に走るよりも、ナースコールを連続で押し続け、ついでとばかりにカーテンを締めていた。
「おい!道具の癖に何一丁前にナースコールしてんだよ!!」
逆ギレを起こす上司。
けど、この時の俺は今それに構ってはいられない。どうやって時間を稼ぐか、どうすれば助かるか、どうすれば助けられるか、それを考えるのに必死である。
「なに、無視してんだよぉ…!死ね!」
俺はベットから転がり降りようとした。
けれど、点滴と繋がった管が引っかかり転がり落ちる事が出来なかった。
「ヤバッ…!!」
慌てて布団に潜り一撃を凌ごうとしたが、遅かった。
ドスッ
刺さったナイフ。
胸部に抱く異物感。
込み上げてくる吐き気。
吹き出す血。
「…あ、コフッ……」
そんな情け無い声を出した瞬間、凄まじい情報が波のように押し寄せて来た。
痛い…
熱い、熱いイタイ苦しい辛い痛い痛い熱い苦しい!
そんなありきたりで、似たような情報が頭の中を支配してゆく。
「ああああああああああああああああ!!!!」
「…ハハ、お、お前達が悪いんだ…お前達の所為でクビは勿論、罰金と借金が積み重なって俺の人生は終わりだ!!経歴の所為で仕事も見つからなくなる……」
隣から何か聞こえてくるけど、構っていられる余裕が無い。
誰か…助けてくれッ!
「あれ?そう思ったらこれは正当な扱いなんじゃないのか?そうだよ…コイツらさえいなければ、俺が酷い扱いをされるはずが無かったんだ!!そうだ…そうだ、そうだ!そうだッ!!殺してしまえば、関係なくなるじゃないか!そうと決まれば早く殺そう!!」
そんなイカれた思想を抱きナイフを抜こうとする、上司。
「やめ…て、くれッ……」
俺は更なる苦痛を想像してしまい許しを懇願する。
が、やはり意味は無く、ナイフを何度も抜き挿しされる。
「グエああああああぁぁぁあぁ!!」
視界が赤と黒で明滅し、脳が『痛い』とデッドアラートを鳴らし続ける。
「なんだよ…仕事はまともに!出来ない癖に!悲鳴だけ…は一丁前だなぁッ!!!」
そう言いながら無遠慮にナイフを身体に侵入させる。
吹き出す血がもう無いのか、刺されても血が溢れ出てこない。
「ハァ…ハァ…ヒヒッも、もうこれで良いだろう。」
そう言った後、手からナイフを手放した。
カタンっと音を立てて落ちていった、ナイフは将輝の直ぐ近くに落ち、そして直ぐに握られた。
…え?握った?誰が?
そう思い、視界も意識もはっきりしないまま目だけを動かす。
そこにはさっきまで倒れていた将輝が片膝を突いた状態で上司を睨んでいた。
「そろそろ、逃げないとまたバレっちまう…」
気づいていないのか、コイツは独り言を呟きながら血が滴るスーツを脱いでいた。
ナイフを持って立ち上がる将輝。
嫌な予感がして止める為に声を出そうとするが、どうやら俺の身体は、それすら出来そうに無いようだ…。
なら、せめて出来るだけ事の顛末を見届けよう…。
「………逃がさないぞ」
「!?」
倒れこむようにして突き出されたナイフ。
咄嗟に振り返るが、避けきれずに右胸にナイフを突き刺される上司。
ああぁ、どうやら嫌な予感が的中してしまったようだ…。
「は?…は!?ブフッ……い、痛っだあああああああああぁぁああ!?ああああ!将輝ぃいいいい!貴様ああああああああああ!!!」
「…フッ、死なば諸共ってやつだ。先に…行って………」
そう言い残し将輝、再び血の海に戻っていった。
「ゴッ…ま゛ぁざぁぎぃい!!」
両膝を突き怨嗟の声をあげながら、将輝の死体を殴る上司。
「どこまでも邪魔をしやがってえええええ!お前みたいな愚図が!この!俺に!たて突いてんじゃねぇ!」
言い知れない感情が心の中で暴れだす。
その時、気持ちに応えてくれたのか、ほんの僅かに身体が動いた。
俺はそのまま自分の“身体”を、上司の上に覆い被さるように回転しながら落とす。
「ごへ!?」
間抜けな声を上げて下敷きになった上司。
「イダ、イダイ!どけ!こっちはナイフが刺さってるんだぞ!早くックソ!動けない!」
多量出血の所為で軽くなったとはいえ、役45kgの肉体が上から覆い被さってるんだ。胸にナイフが刺さった人間を拘束するには十分過ぎる。
「ぐるっ!ぐるじい!苦じぃぃいいいいいいいい!!!お、お願い!お願いしますぅう!!せめてナ、ナイフの上はやめでぐだざい!!は、肺に血が!血がああああああ!!」
裏返った声で懇願する上司。
出来たらそうしてやっても良かったけど、生憎とこっちはアンタのお陰でもう指1つ動かせないんだ。それに俺もついに限界が来たみたいだ…
ホントに限界だ…目が開いてるのかすらわからない。上司の見苦しい命乞いも聴こない。これが死ぬって感覚か…。なんだか、寂しいなぁ…それに寒い。
トクン……トクン……トクン……
もうすぐ止まる鼓動が聞こえる。
怖い、呼吸は勿論、汗も出ない、震える事も出来ない
死ぬってこんなにも怖いのか…
トクン…………トクン…………
将輝のやつもこんな感じに襲われたのかなぁ…
トクン…………………トクン…………………
そう言えば、死ぬ間際って走馬灯とか見えるんじゃなかったっけ…あれって嘘なのか?…もうどうでもいいか…
トクン…………………………………
あ〜あ、どうせ死ぬんだったら、せめて可愛い子とか大切な人をしっかりと守りきって死にたかったなぁ………
…………………………………………
……………………………………………………………………………………
それからしばらくすると、様子を見に来たナースが血まみれの3人を発見した。初めは困惑していたが、直ぐに生死の確認をとるが既に2人は死んでおり、1人は僅かに息をしていたが、手術に移る前に死亡した。
後に、ニュースなどで報道される事になったが、死んだ者達には全く関係のない話である。
見てて不快になった方、すみませんでした!
気になった所がいくつかある方!「解説」を書きますので、そちらで確認お願いします!気になった所は感想などで聞いてくだされば「解説」の方で答えれる範囲で答えさせて貰います!
凄く長くなりました!7000字弱書きました!
書いてて意外と楽しかったです!
今回も見て頂きありがとうございます!
また、次回も見て頂けると嬉しいです!