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棘道のクロスワーズ 共通①


クロスワーズ公爵家の次女ファラアは大王国ジュプスの前代王ゼルスタールの姪にして女王ゼレスティーナの従姉妹。

今日から母の後を継ぎ公爵となる。


「就任おめでとう」

「はい、お母様。立派な領主となれるよう勤めます」


クロスワーズ一族の女は代々サイバー領を任されており、本当は姉のアンレナが継ぐ筈だったのだが、十日前に不慮の事故で他界した。


「さっそくドレスを仕立てさせるわ」


用意していたのは姉用でサイズがあわない。

そして死者が着る筈だったドレスなど縁起が悪いからだ。

彼女の母親は確認や指示で娘の死を悲しむより一週間後に控えたパーティーの用意で忙しい。


「それなら私が贔屓にしている店があるの。そこならきっと三日で出来るわ」


■■


「イアンさん」


私は街の貴族に使える娘を演じて、仕立屋の元へ頼みにいった。


「やあ、久しぶりだねお嬢ちゃん。今は両親は留守だけど注文は?」


幼い頃にお忍びで街を回ったら迷子になって仕立屋の息子である彼に助けられたのだ。


「体型が私と同じ方だからドレスを仕立ててもらえない?」

「わかった。それにしてもまたこの店に来てくれるなんてね」


ここは値段がリーズナブルなドレスだが老夫婦が作っていてアットホームな雰囲気が好きだ。


「最近は男性貴族や上流貴夫人の多い屋敷だったから、今度は下級貴族のお嬢様なのよ」


質問される前にこれだけ言えばなにもきかれないだろう。


「最近は物騒だから、早く連れ歩ける男を見つけたほうがいいよ」

「大きなお世話ですー。イアンさんこそお嫁さんは?」


一人息子なのに仕立て屋の後を継がないなんて変だ。


「まあ、そのうち?」

「じゃあまた」

「できたら届けようか」

「いいえ、お嬢様はワガママでイアンさんが来たらきっと気に入ってしまうと思うの」

「僕がお嬢様にとられるの嫌なんだ?」

「え……」


そのワガママお嬢様なんて架空で実在しないというかドレスを着るのはやっぱり私なのよね。

いない相手に嫉妬なんて変だけどなんか嫌だわ。

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