腐敗王グロキシニア
ヒロイン登場です
「母さん。おれ、冒険者になるわ。」
15歳になった俺はこの世界での成人を迎えた。村の風習で成人したら基本的には即働くことになっている。
母はこころよく了承してくれた。だけどこの村には冒険者ギルドはない。王都までは並の男で3日の時間を要する。
しかし俺は並ではない。2時間あれば余裕がある。
「じゃあ母さん!行ってきます!」
村を出た俺はモンスターを瞬殺しながらひたすら王都に向かう。
「ん?あれは遺跡か?」
遺跡の奥には凶悪なモンスターが封印されていて、そのモンスターを倒すことで様々な恩恵を与えられる。
「腕試しだ。行くか!」
入り口には『立ち入りを固く禁ずる』と書いてあるが、俺には関係ない。ズカズカ進む。
バキィ!
「いてっ」
何かに叩かれた。そこには特大のトロールが佇む。恐らく腕試しで挑んだやつから奪ったデカい斧を片手に俺を見下す。
「へぇ?俺と戦うか?いいぞ。かかってこい!」
抑えていた力を少し解き放つ。
「guoooo……!」
怯みながらも斧を力強く俺に振り下ろす。
だがーーー。
「相手が悪かったな。」
俺は片手で斧を掴み、握力で砕く。
そしてトロールの顔の位置までジャンプして、拳を叩き込む。
バヒュッ!
打撃の音には聞こえないが、トロールの首は消えた。
俺の拳にも手応えはない。恐らく拳圧で吹き飛んだんだろう。
その後もそこらの腕自慢じゃ到底勝てないようなモンスターを瞬殺しながら奥へと進む。
遺跡は基本的に下へと進む。
何フロア降りただろう。恐らく50は超えている。
そこで雰囲気が明らかに変わった。
背筋に走る悪寒。肌を焼くようなピリピリくる魔力。恐らく、封印状態でこれだ。どれほどの化物だと言うのか。俺の全力で勝てるかどうかだろう。
俺は意を決して『腐敗王』と書かれた扉を開けた。
「ぐっ!なんて攻撃的な魔力だ……!」
広いフロアの中心に磔にされた黒髪ロングの少女が下を向いていた。
その少女はゆっくりと頭をあげて俺を見る。
そして驚いた表情を見せた。
「だめ!私に近づかないで!早く逃げて!」
少女は必死に俺に逃避しろと懇願する。
「君は腐敗王か?なんで君みたいなのが封印されてたんだ?」
俺の率直な疑問に彼女は答えた。
「そう。私は腐敗王グロキシニア。私の力は常に漏れ出ていて、強すぎて自分でも抑えられないの。だから世界を壊しすぎたから…ここに自ら封印したの。」
あの有名なグロキシニアが彼女だとは……。
1000年ほど前の神話に腐敗王グロキシニアに纏わる話がある。
その者が通った道はすべてが枯れ果て、都市として栄えることは永遠になくなる、とまで言われた最強の1人らしい。
「そうか。大変だったな。」
「ていうかなんであなたは無事なの……?」
まぁ鍛えてるからとしか言えないな。
「まぁ、それより君の力、取り除いてあげようか?」
グロキシニアは目を見開いたあと、憂いの表情になった。
「……出来るなら取り除いて欲しいけど、できるわけがないよ。」
俺は 収集を発動させて、グロキシニアから腐敗の力だけを引き寄せる。
「ぐっ……おおおおおおお!」
なんて強い力だ。俺の収集でも一気に引き寄せることが出来ない。しかし少しずつではあるものの、確実に引き寄せていれる。
「うおおおおおおお!」
ズゴゴゴゴゴゴ!
まるでジュースの残りをストローで吸いつくすような音がした。
手の先を見ると見るからに禍々しくて何とも毒々しい力の根源がそこにはあった。
「ハァ……ハァ。」
「え?」
息を切らす俺とポカーンと口を開けるグロキシニア。
「ほれ。取り除いたぞ。これで君は自由だ。」
「……嘘。信じられない…。あなたは何者なの?」
グロキシニアの問いに答えよう。
「俺はただの収集士だ。名はマモン。」
グロキシニアは驚く。それはもうすごい。しかしその後首を横に振った。
「ただの収集士がそんな力なんて信じられないけど、ありがとう。マモン。」
そしてグロキシニアは微笑む。とても不謹慎だがーーー。
かわいい。
その後、俺はグロキシニアを貼り付けにしていた槍?を切り裂き、落ちてきたグロキシニアを抱きしめる。ちなみに彼女はMAPPAです。
「ところでグロキシニア。君は力がなくなって大丈夫なのか?」
「そうね。かなり弱くなっているけどそのへんの奴らには負けないわ。」
彼女曰く、素手で城は落せるらしい。怖い。
「腐敗の力、制御できる分渡せるけどどうする?」
「……はい?収集士にそんなことできるわけないでしょ?」
「いや、俺の収集レベル7……いや、今8になってた。だからできるよ」
そしてグロキシニアはボへーっとなってしまった。
「……いいや。いらない。そんな腐敗の力なんかより何でも治せるような回復魔法とかが欲しいかな。」
そう言って苦笑するグロキシニア。仕方ねぇ。ぶっつけ本番だけどやってみるか。
「…………。よしっ。グロキシニア。こっち来て。」
「なに?まぁいいけど。」
そしてグロキシニアにそれを与えた。
「わわわっ!なにこれ!?めっちゃ光ってる!!」
「フフフ…。それは回復魔法だ。腐敗を回復に変換して君に渡した。これこそLv8の能力変換だ!」
我ながら万能すぎるぜ。フフフ。
「……いやいや収集士って最弱のはずだよね?」
「まぁな。だけどステータスに比例して引き寄せれる質量とかも増えるからめちゃくちゃ鍛えれば最強だよ。まぁ戦闘向きではないけどね。」
「……ふふっ!あはははっ!君、すごい面白いよ!一緒に行っていい?マモン?」
「もちろんいいぜ!乗り掛かった船だしな。よろしくな。グロキシニア。」
ちなみにグロキシニアのステータスはこんな感じだ。
グロキシニア
腐敗王→回復魔法師
Lv☆1,249
筋力AA
耐久A
敏捷S
魔力 測定不能
スキル
腐敗→回復魔法Lv9
めっちゃ強い。
「だからそのへんの人には負けないって言ったでしょ?」
そう言ってニコッと笑う彼女はめっちゃかわいかった。
「ちなみにどこに向かうの?」
「とりあえずすぐそこの王都に行こうかなって。グロキシニアはそこでいい?」
グロキシニアは少し不満そうな顔をしていたから「ダメだった?」と聞くとちょっと慌てた。
「違うよっ!その…私のことはニアって読んで欲しい。親しい人にはそう呼ばれてるから。」
少し照れながらのグロキシニア……ニアに俺はやられた。
「お、おう。わかったよ。ニア。」
そして俺たちは王都に向かった。
それにしても普通はニアじゃなくてグロじゃないか?




