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席順

もう十月の中旬。

外の気温は夏ごろとは違い、外は肌寒いくらい冷え込んで、薄着をするには少々厳しい。

かと言って、厚着をすると、それはそれで暑すぎる。

なんというか、秋というものは実に過ごしにくい季節だな。

よって、今日は帰ろう。お家へ帰ろう。


「ちょっと、何帰ろうとしてんのよ」


俺が教室から出ると、悪魔の声が聞こえた。

だが、俺は無視して、歩き始める。


ガシッ!


あれ?おかしいな?

俺は前へ進んでいるはずなのに、何故かどんどん後ろへ下げられていく。

もしや、これがムーンウォークというやつか!?

中学時代に男子は皆一回はやってしまうという、あのムーンウォークというやつなのか!?


俺はふと後ろを向く。

すると、そこには俺の腕を鷲掴みしている大魔王がいた。


・・・・・・・・・行くか、部活。



*******



俺と早苗が部室に入ると、いつもどおりの景色が見える。

オセロをする木の葉。

読書をしている咲。

そして、木の葉のオセロの相手をするちーちゃん。

・・・・・・・・・・ちーちゃん?


「・・・・・・はぁ」


俺は一つため息をつく。


「あれ?悠くん何か今日元気ないね。もしや、恋の病かな?」

「違ぇよ!ってか、何でちーちゃんがここにいるのさ」

「いやだなぁ。この前も話したでしょ。私はこの部活にもう入部したんだよ。入っている部に来るのは当たり前でしょ」


ちーちゃんはこっちを見ずに、オセロの番を見ながら、自分の金髪ツインテールを両方、指でクルクルさせながら答える。

いや、俺は別にそういうことを言いたいわけじゃなくて、なぜこの部活を選んだのか聞きたいんだが。

なんせここにはちーちゃんと気が全く合いそうじゃない人が一人いるというのに。


「乙川さん!だから、そこはあたしの席だって言ってるでしょ!どいてよ!」


ほら来た。

これが始まると中々終わらない。


「もういちいちうるさいなぁ。わかったよ。どけばいいんでしょ。どけば」


ちーちゃんは席を立つ。

お、今回は意外と早く終わったな。


「はい。これでいいよね?」


ちーちゃんはそう言って先ほどとは別の席に座った。

だが、


「?どうしたの?悠くん」


ちーちゃんは意地悪な笑みを浮かべる。


「いや、そこ俺の席なんだけど・・・・」

「だから?」


俺の言葉に、ちーちゃんは首を傾げて言う。


「だから、普通にどいてくれたありがたいんだが」

「・・・・何で?」

「何で!?・・・・・・いや、俺が座れないんだけど」


俺の言葉にちーちゃんは「はぁ・・・」とため息をつく。

なぜ俺がため息をつかれないといけないんだ。


「しょうがないなぁ、悠くんは。・・・・はい」


ちーちゃんはそう言って、両手で膝をポンポンする。

俺はその行為の意図がわからない。


「悠くんは鈍感だなぁ。そんなに座りたいならいいよ。ここに座って」


ちーちゃんはまた両手で膝をポンポンする。

あぁ、なるほど。そういうことか。

なら、遠慮なく。



ガシッ!



俺がちーちゃんの所に歩き出そうとした瞬間、さっきと同じくらい、いや、さっきの倍以上の力で身体が引っ張られる感じがした。


恐る恐る、俺は後ろを向くと、そこにはドス黒いオーラを発した三人が俺の腕を掴んでいた。



・・・・・・・・さあ、部活を始めるか。



*******



結局、ちーちゃんの席は新たに作ることになって、今の席は四つの机が向かえ合わせになっている配置に一つ机と椅子を足した感じになっている。

まあ、要するに、小学校で五人グループの班が給食を食べるときみたいな感じだ。

あれ、嫌だよなぁ。一人省いているみたいで。

あと、話すとき、すごく話しづらい。


「?どうしたんですか?悠人さん」

「いや、小学校あるあるを今、考えていたんだが・・・・」


俺は左斜め前にいる咲に言う。

咲の奥の席には木の葉。

俺の右斜め前には早苗。そして、その奥にはちーちゃん。

まあつまり、


「なぜ俺がここの席!?」


まさか、小学校あるあるが高校生になっても起こるとは思わなかったよ。


「だって、あんたここの部長なんだから、そっちの方が進行しやすいでしょ?」

「私も、そう思う」

「別に私は悠くんが膝の上に乗るってのでも良かったんだけど」


なるほど。

ちーちゃんの意見は論外だが、木の葉と早苗がそう言うんだから、まあ悪い気がしない。


「悠人さん」


咲が俺の名を呼ぶ。


「あぁ。わかった。じゃあ今から第二生徒会の活動を・・・」



バンッ!



突然、部室の扉が開く。

そして、入ってきたのは我ら第二生徒会の顧問こと、新川先生だ。


「ハッハッハ、喜べ諸君。この私が依頼を持ってきたぞ!」


その時、新川先生に部員全員が冷めた目を向けていた。


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