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自己紹介/ローキック(メインヒロイン完全登場まであと一話)

俺は女子生徒と別れたあと、全力疾走で入学式の会場に向かった。俺の計算によると、ぎりぎりで入学式が終了する前には間に合うはずだった。

間に合うはずだったんだが・・・・・・・。

結局俺は入学式を欠席することになってしまった。

なぜかって?では、俺が名推理を披露しよう。


この事件のヒントは二つ。

一つ目は、俺は一回もこの学校に来たことがないこと。

まあ理由はわかると思うが、俺はオープンキャンスも入学説明会も行ってないからだ。

ちなみに補足すると試験当日も俺は別会場で受験したので、この高校には来ていないのだ。

そしてもう一つは、俺はなぜ“入学式の会場”を『体育館』とか『アッセンブリ』とか確定的な場所を言わずに『入学式の会場』と言い続けたのかってこと。

俺も最初は違和感があったんだ。

それで思った。

わざわざそう言い続けるのには理由があったんじゃないのかってね。

答えは一つ。俺が入学式を欠席になった理由、それは・・・・・・・・



俺が入学式の会場を知らなかったからだ!!



・・・・・・・・・・・・・・・・・はい、じゃあ次のシーン行こうか。



*****




俺は今、わりとまずい状況にある。

さっき説明したと通り、入学式には結局出れずに終わってしまったので、俺はもう帰ろうかと思ったが、さすがに入学式当日からサボったりしたら確実に学校の悪童まっしぐらである。

なので俺は火事場の馬鹿力を発動して(ただ学校中を探し回っただけなんだが)、なんとか自分の教室にたどり着いた。

そう、そこまでは順調だった。

だが、世界とは残酷である。



「はーい!じゃあ先生が今からこの高校の授業についてやその他諸々説明するので、ちゃんと聞いてくださいねー」


なんかもう始まっていた。

ちなみに俺は廊下から教室の扉をちょっと開けて見物しています。

男が女子風呂を覗く感じわかりますか?そんな感じです。


なぜだ。なぜ今日に限って不幸なことばかりが起こるのだ。

どこのどいつだ!人の不幸は蜜の味とか言った奴は!

そして誰だ!俺の蜜を吸ってるのは!

俺の蜜だぞ!返せ!返せ返せ!!もー、かーえーしーてー。


そう心の中で幼稚園児みたいに駄々をこねていると。

急に女神の声が聞こえてきた。


「はい。では今から出席を取るので、呼ばれたら返事をして、それから自己紹介をしてください」


これは朗報だった。

自己紹介。

何ともいい響きだ。

自己紹介というものは絶対に皆が自己紹介をしているやつに集中する。

つまり、視線が自己紹介しているやつに集まる。

ということはだ。

クラスのやつが自己紹介しているやつに集中している間に、俺が気づかれずに自分の席に着くことも可能だということだ。


よし決めた!これをやろう!ってかこれしかない!

そう、ホントにこれしかないのだ!

自己紹介だって俺の番というものがある。

その時までに自分の席に俺がいなかったらゲームオーバーである。

俺はクラスのやつに気づかれないように、かつ俺の番が来る前に迅速に自分の席につかなければならないことが必須である。

もう自己紹介が始まるので、俺は教室の後ろ側の扉の配置につきいつでも入れる準備をする。

もうすぐ始まる。3・・・・・2・・・・・1・・・


「では、女子から。安達 雪さん」


いまだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!


俺はそんな心の叫びとは裏腹に静かに扉を開け、そのあとは静かに、かつ勢いよく匍匐(ほふく)前進(ぜんしん)をする。


ズリズリズリズリズリズリズリズリズリ・・・・・・・・・・・・


目標は自分の席!アイウエオ順に計算すると、一番後ろの一番端、それが俺の席である。

それってめっちゃいい席じゃね!?

これは何としても目立つことは避けなければ!


ズリズリズリズリズリズリズリズリズリズリズリズリズリ・・・・・・・・・・・


よし、もうあと少し!これなら間に合うはずだ。


俺はそう思い、軽く安堵していると、幸か不幸か、ってか不幸なんだけど、先ほどの女神の声が打って変わって今度は悪魔の声に変貌した。


「次は、遠藤 臨くん。・・・・・あれ?欠席かな?じゃあ次は大倉 敬くん・・・・・も休みか」


なんだとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!

休みとはどういうことだ。

入学式だぞ!晴れ舞台だぞ!

そんなときに欠席とは一体何様のつもりだ!

確かに俺もサボろうかと考えたけど、入学式とか出てないけど、今ここにいるのだ。世の中結果がすべてなのだ!

・・・・・・・・・・・・・あれ?じゃあ入学式出てない俺、駄目じゃね?

そういや、今はそんなこと考えている場合じゃなかった。

欠席のせいで次の次が俺の番になってしまった。

もう俺の全神経を使って(ここで使うのが正解)匍匐前進をするしかない!

いくぞ!うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!


ズリズリズリズリズリズリズリズリズリズリズリズリズリズリズリズリズリズリ・・・・・・・・・・・・・


「はい、よろしくね、大村くん。じゃあ次は・・・」 


次は俺の番だ!間に合えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!


「陰山 悠人くん」

「はぁ、はぁ・・・・・は、はい」


あぶねー。何とか間に合った。おかげで息切れ半端ないけど。


「え?あなた・・・・・陰山くん?」


なぜか返事した俺の顔を不思議そうに見つめてくる。

え?なに?もしかして同姓同名でいんの?それはそれでラッキーだな。

良くも悪くも目立ったとき、全部そいつのせいにしてやろう。


俺がそんな小悪党なことを考えながら、ふと名前が書かれた机に目を向けると、そこには

『大倉 敬』と名前の書かれたシールが右上に貼られてあるのを見つけた。

ここは小学校かよ!?

どうやら俺は勢い余って、自分本来の席の二つ前に来てしまったようだ。

何ということだ。

俺がこんなくだらないミスをしてしまうとは。

しかし、してしまったものはしょうがない。

もうここは“男らしく”いこう。

男らしく、胸を張って、大きな声で、元気に

「はい!僕は大倉 敬です!」




ちなみにこの嘘はすぐバレました。




********





激動の入学式(まあ俺出てないけど)の次の日、俺は一人で登校し、教室の一番後ろの一番端というモブキャラを目指すものとしては最高の席に座った。

なんという運の強さ。

ってか、入学式の不幸を考えるとプラマイゼロぐらいだと思うんだがな。

そういや、俺は一人で登校したので、早苗はどうしたのかという疑問があるだろう。

まあ簡単に言うと俺が嘘をついて、あいつが勝手に騙されたのだ。

俺が委員会とかなんとか言ったら、あいつは「なによそれ!じゃあ一緒にいけないじゃない!」である。

よく考えてほしい。

入学式の次の日に、委員会がもう決まってると思うだろうか。

たぶん、どんな進学校であってもそんなことないだろう。

俺はその言葉を聞いた瞬間、幼なじみとして少々早苗のことが心配になってきた。

あいつのことだから、詐欺とかにすぐ引っかかりそうである。

将来、あいつのお婿さんになる人は大変そうだ。

まあそんな感じで、早苗はまだ学校には来ていない。

そういえば、早苗のクラス知らなかったな。

あとで廊下とかでばったり会ったときとかに聞いてみるか。

なぜここまで条件を限定するかというと、他クラスのやつが早苗のような巨乳美人と話していると、そんなのさらし者になるからだ。

まあ俺からは条件のとき以外は話さないようにするが、問題は早苗の方である。

あいつはホント大した用がないのに、ペラペラペラペラ話しかけてくる。

しかも、俺が無視しようものなら、びっくりするくらいデカい声で俺の好きなエロDVDランキングを一位から二十位まで順に言っていくのだ。

どこでそんな情報手に入れたのか知らんが、ホント恐ろしい女である。


「ねぇ。ちょっと」


クラスの女子の話している声が聞こえてきた。そして思う。

早苗の話し方もそんな感じだ。そしてそっからの流れは大体決まってる。

まず俺が無視して――――――――


「ちょっと、何で無視すんのよ!」


そうそう、こんな感じこんな感じ。

そして俺が『僕と幼なじみ』という小説を出す。

ちなみに、この小説はラストで幼なじみと主人公が結ばれるという、俺には理解不能なストーリーである。


「えっ!それって・・・・・」


これを出すと毎回早苗が顔を赤くするのだ(いまだに理由はわからないが・・・・)。

俺は小説のページをペラペラとめくる。

俺が小説をめくるたびに、どんどん早苗の白く、きれいな顔が紅葉の色に染まってく(これもいまだに理由はわからないが・・・・・・)。

そして俺はページをめくる手をあるページで止める。

そのページは主人公が幼なじみに告白をして、無事OKをもらいキスをするシーンである。

ここでさらに早苗の顔が赤くなり、ゆでだこのようになる(これもいまだに以下略)。

これは早苗の何かはよくわからないが、絶頂になったときである。

そして最後に俺は何をするかというと・・・・・

俺はペンを取り出す。一応言うが、一回はみんな買ったことがあるであろう、消しゴムで消すことができるペンである。

そして俺は小説の『幼なじみ』の名前目がけて


バツバツバツバツバツバツバツバツバツバツバツバツバツバツバツバツバツバツバツバツ×××××××××××××××××


まあこんな感じでバツをつけていくんだけど、これが結構心が痛む。

言うまでもないが、早苗に対してではなく、この小説の幼なじみに対して。

もちろんあとで消すのだが。


「・・・・・・・・」


早苗は黙り込む。

そうここがポイントだ。あの早苗が黙り込むのだ。

何かとペラペラうるさいあの早苗が。

そして結論から言うと、早苗は俺の前から立ち去ることになる。

なるんだが・・・・・・ってあれ、なんか妙にリアルだぞ。

俺は確か自分の席に座ったあとに、女子の話し声が聞こえてきて・・・・・。

ふと右手を見ると、ペンを持っていた。

もちろん消えるペンだ。

もしやと思い机を見ると、一冊の本が置いてあった。

もちろん題名は『僕と幼なじみ』だ。


・・・・・・おいおい、まじかよ。


俺はおそる、おそる、後ろを振り向くと、そこにはただならぬ負のオーラを放っている一人の女子が立っていた。もちろん俺の幼なじみなんだけどね。


さあ、いきなりだがここで問題だ。

ここから一体どんな展開になるでしょう?

1早苗がなかったことにして、また話し始める。

2今度は早苗が主人公の部分にバツをつける。

3早苗が俺のケツにローキックをぶち込む。


さあて、みんなわかるかなー。ってかわかるよね。

じゃあ正解いってみよう。

正解は・・・・・・・・






陰山  ローキック


バッコォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!



最後に一言

今年のガ○使も、チョー楽しみっす。




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