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副会長

「おい、どういうことだよ」


俺は新川先生を睨みつけながら言った。


「なんだ?」


新川先生も負けじと俺に睨み返してくる。


「なんだじゃねーよ!?ってか、なに威圧する態度で誤魔化そうとしてんだ!全部あんたのせいだろ!」


新川先生は俺が本気でキレているのを察すると、先ほどのような態度で誤魔化そうとするのはやめて、その代わりに、


「それは・・・その・・・テへ☆」


新川先生は手を頭の後ろにやって、下をペロッと出しおちゃめに決める。


ホント、殺してやりたいこの女。


まあどうして俺が新川先生にこんなにも怒っているのかというと、それは昨日の放課後、我ら第二生徒会に生徒会の生徒会長直々から廃部を言い渡され、その原因が新川先生にあったからである。

最初は廃部の理由が『名前が被っているから』などふざけたことを生徒会長が言い出したのでそんなことで廃部になるはずがないと思っていたんだが、実際はそうではなく、第二生徒会の顧問である新川先生が部活の申請を出してなかったせいらしい。

なので、俺はこうしてそれが本当なのかを確かめに朝一で登校し、新川先生のいる職員室に来てみるとこのザマである。マジ勘弁してほしい。


「・・・・はぁ。それでどうするんですか?このままだと本当に廃部になっちゃいますよ」

「そ、それは・・・・」


新川先生は気まずそうな表情で言葉を濁す。

あ、この人さては何も考えていないな。はははは・・・・・・この人に期待した俺がバカだった。


「あの、今から新川先生が部活申請するのは無理なんですか?」

「無理だ」


即答かよ!?ってか、何でこの人はこんな堂々としているんだ。

どれもこれも自分のせいだとわかっているんだろうか?

俺は新川先生の変なメンタルの強さに呆れつつ、部活申請ができない理由を尋ねた。


「何で無理なんです?」

「それはな、うちの部活に所属している部員が問題を起こしたせいで、学校の教師方に目を付けられているからだ」


なに!?第二生徒会で問題を起こした部員がいるだと!!

ったく、どこのどいつだそんなことしたやつは。

これは第二位生徒会の部長として俺がきちんと叱ってやらないとな。


「で?その部員はどんなことしたんです?」

「学年集会をやっている最中に、屋上から拡声器を使って意気揚々と転校生に話しかけて、学年集会を潰した」

「学年集会を潰した!?それはひど・・・・・あれ?それって・・・」

「お前のことだ」


ですよね。


どうやら、うちの部活が廃部に追い込まれている原因は、新川先生だけのせいではなかったようだ。テヘ☆



*****



第二生徒会が廃部のピンチに追い込まれているのは俺のせいでもあるとわかった日の放課後、俺は部室に直行し、桜空たちに今日の朝新川先生と話した内容をすべて話した。


「そうですか。部活の申請はダメでしたか」


俺の話を聞き終えると、桜空はがっかりした様子で言った。


「困ったわね。このままだと、本当に第二生徒会がなくなっちゃうわよ」


早苗は俺に向かって強めに言ってくる。


「わかってるよ。正直、半分くらいは俺のせいだからな」

「そこは、すべて俺の責任だ!とか言わないのね」


早苗は俺をまるで「男らしくない」みたいな目で俺を見てくる。

ハッ、俺が男らしくなって、今回新川先生のやったことが俺に責任転換するくらいなら、マイビッグマグナムをちょん切って、あっち系になった方がマシである。

実際の話、半分でもかなり俺は譲った方なのだ。

本当は3対7くらいにはしたい。もちろん俺は3で。

俺がそんなしょうもないことを考えていると、木の葉が沈んだ声でぽつりと呟く。


「ごめん、なさい」

「どうしたんですか?木の葉さん?」


桜空が心配そうに尋ねると、木の葉は俯きながら答える。


「だって、悠人があの時、学年集会をダメにしたのは・・・」


俺はこの時、木の葉の言おうとしていることがすぐに分かった。

あの時、俺が学年集会を潰してまでやりたかったこと。

それは木の葉を助けることである。

そして、事実、俺は木の葉の転校をぎりぎりの所で食い止めることができた。おそらく木の葉は自分のせいで学年集会が潰れて、第二生徒会が廃部の危機に瀕していると思っているのだろう。

だが、それは違う。

確かに俺は木の葉を助けるために学年集会を潰してしまったが、それは俺が勝手に木の葉を助けようとしてやったことで、木の葉が責任を感じることはないのだ。

だって、俺が木の葉を救うために手を差出し、木の葉はただその手を握っただけなのだから。


「木の葉、言っておくがお前のせいじゃない」


俺は顔を地面に向けている木の葉に言う。


「いや、私のせい」

「違ぇよ。なぜならな、俺が自分で木の葉を助けようと決めて、木の葉を助けようと行動したんだ。だからこれは・・・なんというか、俺の自己満足だ。だから、木の葉は気にすんな」


俺は笑みを浮かべながら木の葉に言った。


「・・・・でも」


木の葉はまだ気にしているようで、悲しそうな表情を見せる。


「まあそうだな。これでもまだ気にすんだったら、今度なんかおごってくれよ。ジュースとかでもいいからさ。だからこの話は終わり。しゅーりょー」

「・・・・うん。わかった」


俺がそう言うと、木の葉はどうやら納得してくれたらしく、徐々に明るい表情が戻ってくる。

木の葉はいい子過ぎるのだ。

だから、こうやって考えて、迷ったり落ち込んだりしてしまう。

ホント早苗も少しは木の葉を見習ったほうがいい。


俺はジト目で早苗を見る。


「な、なによ」

「いや、別に」


俺は無表情で言った。

俺は次に、桜空を見る。


「何ですか?陰山さん?」

「いやぁー、べつにぃー」


俺は笑顔で言った。


「な、なにそれ。あたしとだいぶ態度が違うじゃない」

「お前にこんな態度をとることは未来永劫ないから安心しろ」


俺は再び、ジト目になって早苗に言うと、早苗は「なによー」とか言って、ぷんすか怒っている。

お前が理事長を親に持つ桜空や、超ロリ美少女転校生と一緒の扱いをできることができるだろうか、いやできるはずがない。

ってか、反射的に無理だ。まずあったら最初に来る感情が恐怖心だからな。はははは・・・・はぁ。


「私、いまおごる」


俺が早苗の件で少し憂欝になっていると、木の葉は突然、そう言いだした。


「こ、木の葉?」

「だから、いまおごる」


木の葉は上目遣いで俺に言ってくる。いきなりそんな表情をされたので俺は一瞬、顔を赤くしてしまっただろう。


「お、おごる?・・・あぁ、さっきの話か」


木の葉は俺の言葉を聞くと、こくりと頷く。


「そうか。それはありがたいが、何をおごってくれるんだ?」

「それは、秘密。だから、目をつむって」


目をつむる?

あぁ。予想外のものをおごって、俺の前に持ってきて俺をびっくりさせようってことか。

木の葉は時々、子供みたいなところがある気がする。

まあそれがいいところでもあるんだが。

俺は言われた通り、目をつむる。


「こうか?」

「うん。じゃあ中腰になって」

中腰?それも俺をびっくりさせること、何か関係があるんだろうか?

俺は不思議に思いつつ、言われた通り中腰になる。


「じゃあ、そのまま少しだけ待ってて」


この状態のままか。

ぶっちゃけ、なかなかきついんだが・・・・・・?

何故だろう?

目はつむっているはずなのに、何かが俺に近づいている気がする。

しかも徐々に徐々にそれは俺との距離を詰めてきて・・・あれ?なんかこれ、身に覚えがあるぞ?これは・・・


「なにやってんのよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」


バチコーン!!


俺はどう考えても早苗と思われるバカでかい声を聞いたあとに、何かの拳が俺の頭部に直撃した。

まあ早苗の拳なんだけど。


「いってー」


俺は目を開け、頭の殴られた部分を押さえつつ痛さに苦しんでいると、早苗が物凄い形相で俺を睨んでいた。


「な、なんだよ」

「なんだよ、じゃないわよ。なに木の葉さんに、その・・・き、きき」


早苗は先ほどのまま俺を睨みつつも、顔が急に真っ赤になる。


「き?」

「き、きき」

「キス、しようとしたの」

早苗がずっと顔をゆでだこのように真っ赤にしながら、言葉が出せずにいると木の葉が代わりにその言葉を言ってくれたようだ。

確かなんて言ったっけな。

・・・そうだ、そうだキスだ。・・・キス?


「木の葉、今なんて?」

「だからキス、しようとしたの」


木の葉は顔を赤らめるでもなく・・・・いや、めっちゃ赤かった。

そしてめっちゃ可愛い。

そして、俺は停学明けの朝の登校時にあったことを思い出した。

確かあの時も木の葉にわけのわからないままキスをされたんだったな。

道理で身に覚えがあるわけだ。

でも・・・・どうして木の葉はあんなことをしたのだろうか?

うーん、わからん。女の気持ちというものは本当によくわからん。

部室の空気が何か妙な感じになっていると、桜空が手をポンっと叩き一言。


「そうです。今から、直接生徒会室に行って、生徒会の皆さんともう一度話してみると言うのはどうでしょうか?」


桜空はいつものとても美しい笑顔を俺たちに向ける。


俺はこの時思った。


桜空、お前は俺の女神だ!




*****


俺は桜空と一緒に逃げるように部室を後にすると、そのまま生徒会室に向かった。

ちなみに木の葉と早苗は何となく危ないので、部室に置いてきた。

え?どうやったかって?

それは部長命令である。

まさに職権乱用と言ったとこだ。

まあそれでも早苗は意地でも来ようとしていたんだが。

たぶん今の早苗が生徒会と話し合いなんてしたら、戦争に早変わりである。

ホント美人なのにもったいないものだ。


「ここですね」


俺と桜空は生徒会室の前に着くと、扉に二回ノックをする。

しかし、返事がない。


「すみません。生徒会の方にお話があってきたんですけど」


俺がドア越しに呼びかけても、中からは何も返事がない。


「もう帰ってしまったのでしょうか?」

「生徒会がか?」


まだ下校時間までかなり時間があるぞ。さすがにこんな時間に生徒会ともあろうものが、帰ってるはずがないと思うんだが。

かといって、このまま待とうにも桜空にあまり長く待たせるのは嫌だしな。

俺がそう頭を悩ませていると、まるで声優さんのような可愛い声が後方から聞こえてきた。


「あれ?どうしたんです?」


俺は振り返ると、そこには黒髪のショートで、顔は木の葉ほどではないが少しロリがかっていて、胸はまあ早苗と桜空の間と言ったところで、総合的に考えたらかなり高レベルの美少女である女子生徒がいた。


「あの、生徒会の方ですか?」


俺がその人に見とれ・・・注目していると、桜空が尋ねた。


「うん、そうですよ。私は二年五組、(もも)() リュミです。ちなみに生徒会副会長だよ」


桃野先輩という人は桜空に勝るとも劣らない笑顔になって自分のことを話し出した。

ってか、この人敬語で話したいのか、普通に話したいのかどっちかにしてほしい。


「で?君たちは?」


桃野先輩は首を傾けて、俺たちに尋ねた。

二年でその可愛いポーズをやるのはどうかと思う。まあアラサーで、テヘ☆をやる人もいるからなんとも言えんが。


「俺ら第二生徒会なんですけど。廃部の件で話に来ました」

「え・・・・そう、君たちが」


俺がそう告げると、桃野先輩は急に先ほどの緩い感じの態度を一変させ、真剣な表情になる。

そして、桃野先輩は何かを決心したあと、唐突に俺たちに言った。


「あのね、あなたたちに依頼したいことがあるの」


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