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依頼

ゴールデンウィークも終わり、転校生こと木の葉 雫がこの学校に来てから数日が経った、ある日の放課後、俺はあることに悩んでいた。


「うーん、うーん」


俺は今考える人のポーズをしている。


「うーん、うーん」


俺は今考える人のポーズをしている。


「うーん、うーん」


俺は今考え


「うるさ―――――い!!!」


早苗の声が部室に響き渡った。


「もう、今集中してるんだから、変なうめき声上げないでよ」

「いや、そう言われても俺にだって色々悩んでることがあるんだよ」

「そんなのどうでもいいのよ。今は集中したいから黙ってて」


少しは言い方というのも考えてほしい。

今の言い方は俺がもし、の○太だったらド○えもんに泣きついてるレベル。

まあなぜ早苗がこんなに荒れているのかというと、ここ最近早苗は部活の時間を使って桜空とオセロをやっているだが、あまりにも桜空が強すぎて今日まで一回も勝ったことがないらしく、今日こそは勝とうと毎回、毎回意気込んで臨むので、オセロ中に少しでもうるさくするとこんな感じで怒られるのである。

ホントどんだけ負けず嫌いなんだ俺の幼なじみは。

少しは桜空をみなら


ボォォォォォォォォォォォォォォ


俺は桜空の方を見るとなぜか桜空の背後に炎が見える気がした。

あぁ。さっきから一言も発してなかったのはオセロに集中するためだったんですね。なるほど、なるほど。

今この瞬間、オセロは娯楽として使ってはいけないんだと学んだ陰山さんでした。

少し話が逸れてしまったので、本題に戻ろう。

俺は今悩んでいることがある。

まあ部活についての悩みなんだが。

この第二生徒会という部活は勢いで始めてしまった部分もあるが、モブキャラになるべく、あまり目立ちたくない俺にとっては色々と都合のいい部活なのである。

まず、部室の場所。

この部室は学校の二階の一番端っこの教室に位置しているのだ。

つまりかなり生徒の通りが少なく、部活の存在が大っぴらにならない。

あと、第二生徒会は生徒や先生に悩みや問題などの解決を依頼してもらうわけだが、その依頼はこの部活の顧問の新川先生経由で俺ら部員に伝わるので、直接の接触がない分、誰がこの部活の部員なのか依頼者にもわからないのだ。

つまり簡潔に言うかなり目立たずに部活ができるということ。

え?そこまで目立ちたくなかったら部活なんかやるなって?

いや、別にやめれるんだったらやめてもいいんだが、もしそんなことを新川先生に言いでもしたら、拳一発で片づけられるだろう(俺の命が)。

こんな感じでこの部活は俺にとってはプラス面が多いのである(最後のは確実にマイナス面だが)。

じゃあ悩みなんかホントはないんじゃないか?そう思う人もいるだろう。

だけど、あるんだなぁーこれが。

俺の悩み。


それはちょーヒマなことだ。


もうね、びっくりするくらいヒマ。

さっき言った通り、依頼はこの部活の顧問である新川先生がこの部室まで持ってくるのだが、それがあのアラサー野郎は一向に持ってくる気配すらないのである。

ってか部室にすら最初以来、顔を出していない。

そのせいで、桜空と早苗に至ってはこうしてオセロする始末である。


「ホントあの人が顧問なんて失敗だったんじゃないの」


俺がそう呆れたように小さな声でつぶやくと、バンッ!とデカい音ともに部室のドアが開いた。


「誰が失敗だったって?」

「マジこの部活の顧問は新川先生以外ありえないと思います」


この人は毎度、毎度急に現れるのはやめてほしい。俺のノミの心臓は今バックバクです。

というわけで新川先生久しぶりの登場である。


「先生、お久しぶりです」


桜空は全然部活に顔を出さなかった新川先生に対して、一つも怒らずにいつも通り気品にあいさつをする。本当この人の優しさは底が知れない。


「し、新川先生、お、お久しぶりです」


早苗も怒りという感情はないが、それよりも恐怖心が見えるような気がするのは俺だけだろうか。

桜空も早苗もまだまだだな。

仕方がないからここは俺がビシッと言ってやろう。

そう思って、俺はいつもより強めの口調で、


「新川先生!どうしてぜんぜ」

「あぁん!」

「ぜ、全然部活に顔を出さなくなったのでしょうか?とお尋ねしたかったのですが、今日はやめておきましょう」


俺は結局弱々しくそう言ってしまった。

もう無理。この人ちょー恐い。


「あぁ。その話か。それはな、依頼者を探していたんだ」

「依頼者ですか?」


早苗がそう聞き返す。


「あぁ。そうだ」

「それで依頼者は見つかったのでしょうか?」

「もちろん。だからここに来たんじゃないか」


桜空が問うと、新川先生は自信満々にそう答えた。

おぉ、やっとこの部活にも初依頼が来たのか。ってことは


「ようやく第二生徒会、本格始動だな」


「「お前が仕切るな」」(早苗・新川先生)


・・・・・・・・・・あれ?俺この部活の部長じゃなかったっけ??




**********


「じゃあひとまずこれを読め」


新川先生はそう言ったあと、自分で作った依頼の内容をまとめたプリントを我が第二生徒会の部員全員に配る。

それには上から依頼者の名前、依頼の内容、最後に依頼の内容に関係する人物が書かれている。

ええと、なになに。依頼者の名前は鈴木 美月先生。


「誰だ、こいつ」


俺は独り言のように呟く。


「えぇー!わかんないの?その先生、あたしらのクラスの担任よ」


早苗は驚いた顔でそう言った。

まずい。このままだと俺が担任の名前すら知らない最低野郎になってしまい、早苗に「悠人サイテー」とか言われそうだ。

今から依頼を解決しようというときにこんなやつにテンションを下げられてはたまらん。

ここはどうにか切り抜けなければ。


「し、知っていたに決まってるだろ。この名前を俺は何度見たことか。もう十万回は見たな」


俺は早苗に対して自信ありげにそう言ったのだが、なぜだか桜空が会話に割り込んできた


「陰山さん、それはすごいですね。今日の時点で十万回見ているとなりますと、一日平均三千回、陰山さんの担任の先生の名前を見ていることになります。陰山さんは自分のクラスの先生をとても大事に思っているのですね」


あれ?桜空?

その言葉はなんだか俺の首を絞めているように思えるんだが、気のせいかな?


「ふーん。三千回ねー」


早苗が三千回の部分だけ妙に強調して俺に言ってくる。

これは陰山さん大ピンチです。


「じゃあ、このプリントに先生の名前書いてあるんだから実際に読んでよ」

そう言って、早苗は自分のプリントの担任の先生と思わしき名前が書いてあるところに指を指して、俺に見せてくる。

あ、思わしきじゃないですね。書いてある名前が先生のものなのは確定でしたね。・・・・・・この時点で、俺もう駄目じゃん。

プリントにはこう書いてある。『鈴木 美月』と。

とりあえず、すずきは決定だとして、問題は『美月』の部分である。俺が考えるに『みつき』か『みづき』だと思うのだが、果たしてどちらだろうか。

みつきの方が可愛くていい気もするし、みづきの方が名前ではよく聞く気がしてこっちもありな感じがする。

だが、これだと埒が明かなそうなので俺がギャルゲーの彼女にするならで決めることにした。

それなら俺は即答である。

それは『みつき』である。

なぜなら俺は濁点が付いている女子とついてない女子なら後者を選ぶからだ。

ということで


「すずき みつき先生だ」


俺が力強くそう言うと、早苗は「こいつバカだ」と言わんばかりの顔をして


「ブッブー。残念でしたー」


ホントこいつは人をムカつかせるのがお上手である。


「正解は、すずき うつき先生でしたー」


俺は早苗から答えを聞くと納得した。

へーなるほど。なるほどなー。うつき先生かー。なるほどー。・・・・・・・読めるわけねえだろ!(全然納得してませんでした)


「悠人のアーホ、アーホ」


早苗がそうやって楽しそうにバカにしてくる。

やばい。俺の幼なじみがウザすぎる。


「う、うるせえな。人には失敗はつきもんなんだよ」


俺がそう言い返したとき、


バンッ!


またデッカイ音が鳴ったので誰かが部室に入ってきたのかと思いきや、その音は新川先生が机を叩いた音だった。


「おい、陰山。依頼がせっかく来たんだから、やらないとダメだよなぁ」


新川先生は目で「話してる暇なんかあるわけねえよな。次話したら殺す」と言っていた。

なんでこの人、目だけでここまで会話ができるんだろう。

しかも殺気がきちんとついている。


「そ、そうですね。がんばります」


俺がそう言うと、新川先生はさっきの目とは対照的に笑顔を作って、って先生、やっぱりまだ目がやばいですよ。

人を殺す目をしていますよ。


「お前が人の言うことを聞ける人間でよかったよ」


いや、あんたが無理やり従わせているだけだろ。

主に死への恐怖感で。

しかし、なんで俺ばっかこんな目に遭うんだ。

早苗はどうした。

あいつも共犯者なのに俺だけ責められるのはおかしい。

そう思って俺は部室を見渡すと、早苗はプリントを両手に持って必死に依頼の内容を読んでいた。・・・・・・・おい。

まあなんだかんだで、俺以外は依頼の内容を読んでいるようなので、俺も読むとしますか。

俺はまず下の依頼の内容に関係する人物をみることにした。

ええと、依頼に関係する人物の名前は・・・・・・・・・・・え?

俺はその名前を見た瞬間、動揺をしたのかついその名前を声に出してしまった。


「・・・・・・・・・・木の葉 雫」


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