妹/転校生(ロリ転校生登場)
「おい、どういうことだよ」
早苗が入部した日の翌日の放課後、俺は職員室にて、俺が所属している部である第二生徒会の顧問こと新川 泉先生に抗議している真っ最中だった。
「どういうこととは?」
新川先生は白々しく答える。
「いや、部長の話に決まってんだろ。なに知らないふりしてるんですか?」
「あぁ。その件についてはお前も知っての通り、お前が部長ということで決定しているが」
「何で俺が部長なんですか。資質的にそこは確実に桜空が部長のはずだと思うんですけど」
「そうか?私はお前が適任だと踏んでいるぞ。色んな意味でな」
「・・・・・先生、もしかして何か企んでいるんですか?」
俺は新川先生の最後の言葉が気になって言及すると、新川先生はかなり動揺した様子で
「い、いやー。全然なんにも考えてないぞー。全然なー」
どうやら企んでいるようです。
「と、とにかく、部長の変更については一切するつもりはないからな。それがわかったらさっさと帰れ。今日は完全下校だから部活はできないしな」
新川先生はそう言ってから、強引に俺を職員室から追い出した。
俺はさすがにもう一度職員室に入る気力はないので、仕方がなく今日は帰ることにした。
といっても新川先生のあの様子を見る限り部長を代えてもらうことはほぼ不可能だと思うが。
それよりやはり気になるのが、新川先生が俺を部長にすることで何か考えている点である。
まああの人が何を考えているのかは何となく予想はつくが。
俺は、はぁと一つため息をついて、それから窓越しに見える夕日を眺めたあとゆっくりと歩き出した。
*******
俺が家に着いて、玄関のドアを開けるとそこには異様な光景が広がっていた。
「おかえりさないませ。ご主人様」
そう、俺の目の前になんとメイド服を着た少女がいるのだ。そしてその少女は床に膝をついて丁寧にお辞儀をしながらお決まりのセリフを言っている。
「ご主人様。ご飯にしますか、お風呂にしますか、それとも・・・・」
しかし俺は少女のそんな言葉を無視して、制服から着替えるべく自分の部屋へ行こうとすると、
「待ってください!」
俺は少女が俺が通り過ぎるのを止めようとしたのか背後から両足を掴まれ、もちろん歩いている最中だったのでそのままずでん!と顔面から転倒してしまった。
「いてて・・・・。なにすんだお前は」
「だってお兄ちゃんが私のこの姿を見ても何も反応してくれないから。せっかく言葉遣いも練習したっていうのに」
「あーはいはい。可愛い、可愛い。ちょー萌えるわ」
「そんなテキトーに言われても全然嬉しくないよ。もうこうなったら今日しっかり夜這いしに行くからね」
「お前はバカか」
「バカじゃないもん。妹だもん」
いや、妹がそんなことを言っている時点でバカ決定だと思うのはお兄ちゃんだけだろうか。
紹介するのが遅れたがこいつは俺の妹の陰山 花実である。
花実は成績優秀、スポーツ万能、才色兼備という最強のスペックの持ち主である。
ただ残念な点が二つ。
一つ目は胸が非常に平たいこと。
だが、こいつの美人さは兄弟である俺でも認めざる負えないくらいのものだから、それを考慮するとぶっちゃけこんくらいのハンデ的なものがあってもいい気がするので問題はない気がする。
そして二つ目が残念というか、これは花実のお兄ちゃんである俺が困ることでもあるのだが。それは
「お兄ちゃーん。いつチューしよーか」
「しねぇよ」
俺が制服から着替え終わって、一階のリビングに行くとこのありさまである。
そう、二つ目の残念な点というのは、花実は異常なまでのブラコンなのである。
なに?自分で言うなって?
じゃあそんなことを言っているお前らに聞きたいことがある。
お前らは経験したことがあるか?
つい昼寝なんかすると妹に毎度のごとくチューされられかけたり、お風呂に入っているときは少しでも気を抜こうものなら妹に一瞬で入ってこられ十八禁展開に持ち込ませられかけたり、寝ているときは鍵をしっかり閉めないと勝手に妹に俺の貞操を奪われかけたりするんだぞ。
いいか。あいつは「お兄ちゃん大好き!」みたいなレベルのブラコンじゃないんだぞ。
「お兄ちゃん好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き」っていうメールをほぼ毎日送ってくるくらいのレベルだぞ。もうなにこれ?ホントに妹?
「お兄ちゃん、ご飯出来たよ」
「あ、あぁ」
俺が妹の危険性について説明していると(誰にですか?)、妹はご飯を作り終えたようなので、俺は今日の晩御飯であるハンバーグやらサラダやら味噌汁やらが乗っているテーブルを見てから自分の席に座る。
花実も俺が座ったちょっとあとくらいに俺の向かい側の席に座った。
ちなみに言っておくが家事は分担制で炊事は花実が担当し、洗濯と掃除はお兄ちゃんである俺が担当している。
なぜそうなったかというと妹が洗濯をすると日に日に俺の下着が少なくなっていて、妹が掃除をすると日に日に俺の部屋にあったエロ本やらギャルゲーやらが一つまた一つと消えていくからである。
いまだにこの現象の理由は不明だ。
いや、ホントだよ。決して究明するのが恐いとかじゃないからね
「じゃあいただきまーす」
「いただきます」
俺と花実は手を合わせてそう言うと、二人とも最初にハンバーグから手を付けた。
やはりこれが兄妹の力なのかとかどうでもいいことを考えていると、花実が唐突に言ってきた。
「なんかさ、お兄ちゃんって昔とだいぶ変わったよね」
「イケメンにか?」
「それはないよ。お兄ちゃん」
「う・・・うぅ」
さすがにそこまではっきり言われるとかなり俺のヒットポイントが削られる。
しかも重症のブラコンの妹という呪文で攻撃力は倍増だ。
さて、じゃあそろそろふっかつのたまでも用意しとくか。
「ってそういう話じゃなくて、お兄ちゃんさなんか昔と違って元気がないというか、覇気がないというか・・・んー何だかわかんなくなってきちゃった」
花実はそう言って、俺に困った表情をしてくる。
「なんだそれは。別に俺のことなんてどうでもいいんだから、そこまで考える必要ないだろ。そんなことよりはやく食べないとご飯冷めちまうぞ」
といつの間にか箸が止まっていた花実に偉そうに言いつつも、別に俺が作ったわけじゃないのでそんなこと言えた義理ではないんだが。
花実は俺の言葉を聞くと「ホントだ」と言って食べるのを再開する。俺の妹ホントいい子!
実を言うと、俺は妹が本当は何が言いたかったのかわかっていた。
でもそれは今の俺に言われてもどうしようもないことである。
だから俺は話を逸らして逃げたのだ。
たまに漫画のセリフか何かで見たのか知らないが、“逃げないで戦え”みたいなこと現実の世界で誰かに言うバカがいる。
おそらくそのバカは知らないのだろう。
この世界に戦うなどという選択肢がないことを。
なぜなら絶対に勝てないからだ。
何をしても、どれだけあがいても、確実に負ける。
それがこの世界である。
だから俺は思う。
たぶんこの先どんなことが起きても俺は逃げ続けるのだろうと。
********
あれやこれやしている内にもうすぐゴールデンウィークというある日、俺はいつも通り一人で・・・・・ではなく、無理やり早苗と登校させられていた。
「はぁ」
俺は一つため息を吐く。
「なに?どうしたのよ?こんなに晴れの日だっていうのに朝っぱらからため息だなんて」
そりゃため息も出るだろ。
朝からいきなりこんな超危険生物と登校だなんて。
なんですか?新種のギャルゲーですかこれは。
「そういえば、この前入部届出したときは驚いたわ。まさかあの黄金の右手を持つ新川先生が顧問だったなんて」
「黄金の右手?」
あの人にそんな異名あったけか?
あぁ、右手の力が一番強いとかそんな感じか。
まああの人は右手に限らず、全部の部位が人並み外れていると思うがな。
でもそっかー。あの人右手が一番力強ぇのか。
それは知らなかった。
「そうよ。名前の由来は私が中学の時に右のパンチだけ唯一よけれなかったからよ」
全然違ったみたいです。
ってか唯一よけれなかったってなんだよ。それ以外はよけちゃったのかよ。
しかも中学のどの時間の時にそんな戦うシーンがあったんだよ。危ねぇよ。
「そ、そうだったのか。そういや早苗って中学の時、なんか急に新川先生のこと苦手になったよな。その黄金の右手の件となんか関係があるのか?」
俺がそう尋ねると早苗はギクッと明らかに動揺しながら言った。
「べ、別に、そのことは関係ないし、そ、そもそも苦手なんかじゃないわよ」
いやいや苦手じゃないは嘘だろ。
「ただ・・・・」
「ただ?」
俺が早苗にそう言葉を促そうとすると、早苗は急に苛ついた顔になって、
「女の子には色々あんのよ。もう悠人のバーカ!」
そう俺に言い放って早苗は一人で走って行ってしまった。
でも早苗の最後の言葉を聞いて俺の中に疑問が生じた。
早苗が女の子?・・・・・そうなの?
******
早苗が先に行ってしまったので、俺は自分のペースでゆっくり歩いて学校に着くと、そのまま自分の教室に行って席に座った。
それで数分本を読んでいたら、すぐに学校の鐘が鳴ってしまい、担任の先生が教室に入ってきてホームルームが始められた。
「はい、じゃあ今からホームルームを始めたいと思いますが、その前に・・・」
先生はそう言ったあと少し間を取る。
なにそのなんかありますよー的なのをめっちゃ醸し出す感じ。
絶対先生楽しんでますよね。
顔めっちゃにやけてますよ、大丈夫ですか。見方によったらちょっとエロいですよ、その顔。
しかしこれは一体なんだろうか。
もしかしてすごい可愛い転校生が来ちゃうとか。
いやいやまさかね。ギャルゲーじゃあるまいし。
もしそうだったら俺は今ここで全裸になってやろう。
俺がそう勝手に決意すると、俺の今後の運命を左右するであろう先生の口が開く。
「転校生を紹介したいと思います」
なに!転校生だと!?ふふ、やるじゃないか・・・・・でもまだ焦る段階ではない。
その転校生が可愛くなければならないのだ。しかもすごく。超すごく。
さすがにそんな転校生が来るはずは
「じゃあ入ってきていいよー」
先生がそう転校生らしき人物に言うと、ガラッと教室のドアが開いて一人の少女が入ってきた。
その少女は、顔はすこし幼い顔立ちであるが、桜空に負けないくらい整っていて、肌は白く美しい。
髪は綺麗な銀髪をしており、髪形はショートで、胸は・・・・・・・まあ置いておこう。
そして、身長はおそらく高校生の女子の平均身長よりもはるかに低いのではないかと思う。
でも、そんなのなんかどうでもなるほど、彼女はすごく可愛かった。
さて、そろそろ全裸の準備でもするかな。