カズト
「どうしたのさ、翔くん」
明るく笑うレンに私は困惑した。
「早く身体に戻らないと……」
「うーん、戻る気にならない……」
「それより、秘密基地いこうぜ!道案内しろよ!」
私はふぅ、とため息をつくと
「仕方ないか。」
と言い、とりあえず案内することにした。
秘密基地は、そのままの姿でそこにあった。マジックで殴り書きした
「熊本ファイヤーズ」
という文字も、今書かれたばかりのような新鮮さだった。
レンが口にした。
「熊本ファイヤーズ、集めようぜ」
「え……でも、今はみんな違う学校に行ってて――」
時間が合わないよ、と言おうとする私の言葉を遮ってレンは言った。
「みんなが集まったら、俺が何をしたいかわかる気がするんだ。」
その言葉に、私は思わず言葉を飲み込んだ。
「なにをしたいかわかったら……レンはどぎゃんなっちまうの?」
「それは俺にもわからない。でも、今より一歩進み出せる気がするんだ。」
「……わかった。みんなを集めよう。」
私はしぶしぶ納得して、まずカズトの家へ電話を入れた。
カズトは塾に行っていて帰りは10時を過ぎるという。その頃にまたかけ直します、と言って電話を切った。
「カズト、どうだった?」
わくわくした面持ちで聞いてくるレン。
「塾だから、また夜に電話するわ。」
「それにしても、それ、電話なんだな。」
と携帯をまじまじと見てくるレン。
そういや、私らが小学校の頃はこんな電話が存在するようになるなんて、どら○モンの世界でも思い付きはしなかっただろう。前世の私がみたら卒倒しそうな代物である。
しばらくレンに携帯を貸してやる。ゲームもできるってことで横で懸命にゲームをするレン。
私らが小さい時にはゲームボーイはあったが、カラーではなかった。故に余計にレンの気を引いたのだろう。
しばらくして、私はレンから携帯を取り上げる。
電池容量がきになったからだ。
電池は50%を切ったところだった。




