谷先輩
谷先輩は優しい。
いつも登校班の子達に優しく接しているし、スカートめくりなんぞをしてしまった私にも、分け隔てなく接してくれる。
いつも笑顔で、みんなの中心にいた。
私はいつの間にか先輩を好きになっていた……と思う。竹中とはまた、違った感情だったが、好きだと思った。
だから、先輩をスカートめくりからガードするように動くようになった。
レンから非難の声があがる。しかし、どうしてもここは譲れなかった。
「僕が、先輩を守るんだ!」
と、決め込んで、まるでストーカーのように谷先輩について回った。谷先輩は困っただろうに、優しく接してくれた。
私が一番先輩に好かれていると勘違いするのも、そう遅くなかった。
ある日先輩が、
「ごめんね。大切な用事があるから、翔くんはここで待っていてね。」
と言ってどこかへ行こうとした。もちろん私は先輩をつけた。
先輩の行き先は図書室だった。先輩より先に誰か来ていた。
そこで私はショッキングな場面に遭遇してしまう。
そう、告白だ。
しかも、先輩から。しかも、相手もOKだという。
そのときに、先輩よかったね、と笑って言ってあげれればよかったのだが、あいにく私はそんな器用なことはできなかった。
一番だと思っていたのに、とわんわん泣いた。
そんな私にも先輩は優しく接してくれた。
先輩は私を抱き締めると、何度も
「ごめんね。」
を繰り返した。
私はしばらくして泣き止むと、今までの自分の行動を恥じた。
先輩に一番好かれていると勘違いして、いろんな人に自慢して歩いていたし、先輩を守る騎士のつもりになっていた。
騎士だったことに違いはなかったが、こんな結果になるとは、全く予想していなかったのだ。
なんと弱い騎士だろう。先輩に彼氏ができたくらいで大泣きするとは、これまた恥ずかしい。
先輩への気持ちを吹っ切るのには時間がかかった。
人を好きになるって、難しいな、とも思った。
レンはいつものように接してくれた。
何事もなかったかのように。
それが私にはとても嬉しかった。




