「楽しくお話を作る方法」
まず最初に言っておきますが、以下に述べる方法はあくまでも個人的なやり方であり誰でも出来るわけではないと思うし、また仮に出来たとしても面白いお話が出来ることを保障したものではありません。これはお話を書こうと思う本人、作者が楽しむための方法であり読者のことを考えているものではありません。そのことをご了承の上でお読み下さい。
またこの方法は短い文章を書くことには向いていますが、長編を書くには向いていません。不可能とは言いませんけれど人間の集中力でこの方法を持続することは、場合によっては作者の精神の崩壊や分裂を引き起こす可能性があることを警告しておきます。
では「楽しくお話を作る方法」について順を追って説明していきます。
再度明記しておきますがこれはあくまで作者つまり話を書く人間が楽しむための方法で、面白い話を書くための方法ではありません。物語の内容に関しては各人で責任を負ってくださいませ。
まずは前準備段階。ネタを見つけましょう。
何かお話を書こうというネタ、このネタを探す方法まではこの文章では語りません。
ここでいうネタはただの思いつきでかまいません。
かわいい女の子がひどい目にあう話、だとか超絶美形主人公の魔法使いがオラオラする話とかものすごく漠然としたものでかまいません。
大事なのは「書いてみたい話」であると同時に、「自分が読んでみたい話」であるのが望ましいということ。「楽しくお話を作る方法」とは、「作者が読んでみたい話を書く方法」なのですから。
ネタを見つけたら次には主人公を想像します。ここはかなり重要。
ネタ自体を、XXな人物が○○する話というような形で得ていれば主人公は決まっているので楽になります。
自身の中二脳を全開にしてキャラを想像し、創造しましょう。
ここで注意することは、この段階ではまだストーリーは考えないことです。ストーリーを考えるとキャラの振る舞いが変わってくることが多いのでまずはキャラを想像します。
簡易的なやり方としては、性別、年齢、口調、大まかな性格だけを決めて次に進む方向もありますが、これは作者自身の中に俗にいうスターシステムが出来上がってからの方がよいです。(※注 スターシステムとは作者の頭の中にいるキャラが、Aという作品ではXXの役、Bという別の作品では△△の役をする、などと作者の中にいるキャラクターの原型を俳優になぞらえたものです。自分の中に構築されたキャラクターがいない人は、まずいくつかキャラクターを考えて自分の中に原型を蓄積することをオススメします)
キャラクターの設定はキャラを構成するものなのでどんどん考えるべき。この時点ではストーリーを考えるべきではないと先に述べましたが、キャラの過去のエピソードなどは設定とみなします。つめこんでつめこんで、作者本人の中に人格を生み出しましょう。
このときあまりに作者本人とかけ離れた人格の場合、うまく創造できないばかりか共感できないので物語の創造に支障をきたす場合があります。最初のうちは、自分の中のある一定の性質を誇張して、切り出して、キャラを構成するとよいです。自分の中の後ろ向きな部分を薄幸の少女の原型に、能天気で前向きな部分を突撃娘に加工するなど、ある意味でこの作業は自身を見つめることにもなります。
このキャラ作成の最終目標は、頭の中で話しかけたら勝手に返事するくらいにまで人格を設定すること。やりすぎると危ない人になるので注意しましょう。
筆者は以前、原付運転中に当時執筆していたお話の主人公が「ねぇ、今日はどーすんの?」などと話しかけてきて事故りかけたというあぶない経験があります。そのあと「うっわー、ごめんおどろかせちゃったかなー、うわーごめんあと黙ってるね」とか頭の中で謝られたりとか、今思い出してもなんだか危ないです。
こっちから話しかけて答えてくれる分には妄想は楽しいものなんですが、向こうから話しかけてこられるととても怖いです。……みなさんは行き過ぎないように注意してください。
とりあえずの目安としては「こちらから頭の中のキャラクターに話しかけて、普通に会話するスピードでキャラクターから反応が返って来る」程度にキャラクターを構築できればよいです。
ラノベでよく登場人物の座談会などがありますけれど、あれに近いものが瞬時に脳内で構築できれば合格です。執筆速度が脳内会話に追いつくか追いつかないかくらいまでいければ上出来ですね。
ずいぶん危ないことを書いているようですが、要するに、俗に言う「キャラが勝手に動き出す・しゃべりだす」ということ意図的にやろうとしていると思っていただきたいです。
主人公が出来たら第一段階終了。
設定を積み重ねていたならまわりにすでに魅力的な他の登場人物や脇役などが生まれていることと思います。これも同様にキャラを構築しましょう。
ここからはあなたが頭の中にいるキャラと会話できることを前提とします。
キャラクターが構築できたあとは、舞台を考える必要があります。キャラの能力や魅力を引き出すために、どういう舞台が必要なのかを考えましょう。ちなみにここでいう舞台というのは、「場所を含んだ状況」のことを意味しています。
例えば砂漠の真ん中で水も食料もない状況。
例えば恐ろしい怪物にいきなり襲いかかられた状況。
キャラの設定が出来ていれば、ある程度舞台は絞れると思います。
ぶっちゃけ主人公にお前何したい?と尋ねてみるのもいいでしょう。
女といちゃいちゃしたい、ちょっとイライラしてるから暴れたい、などと答えてくれたらしめたもの。一つづつ提示して、好きか嫌いか聞いてみましょう。
たまには嫌がるところを舞台にしてみるのもキャラいじめとして面白いですよ。
舞台を決めたら執筆開始。
まてまて早すぎる、ストーリーはどうしたと慌てる必要はありません。
よく小説を書くにはプロットが一番重要だなどとよく言われますが、この方法においてはプロットを作ってはいけません。プロットを書き記してはいけません。3行程度の漠然とした内容を書くことはかまいませんけれど、なるだけ冒頭部分に限り、最後を決めてはいけません。
なぜならあなたがやることは次々とキャラに舞台を与えてその反応を書き記すことであってストーリーは考えるものでなく生まれるものなのだから。
あなたのやることは、お話を書くことではなく、生まれる物語を読むことなのですから。
だから、作者が一番楽しいのです。読者どころか作者を裏切る展開がでてくると、脳内に快楽物質がドバドバ流れ出している感覚になります。
存分にキャラたちの活躍を楽しんでください。
注意しないといけないのは、作中のキャラの死。会話できるくらいキャラを自分の中に構築しているとかなりへこむことになります。場合によっては自分の中で本当に死んでしまって、何も答えてくれなくなることもあります。それでも、書きながら何行か先で彼らが死ぬとわかっても手は止めないこと。この作業に作者の意思をまぜると、作品の世界が捻じ曲がってしまいます。
終わるタイミングにも注意しましょう。この方法はプロットを決めないため、どこまででも好きなようにキャラが話しかけてくる限り永遠に書き続けてしまいます。慣れてくると終わりが見えるようになりますが、終わりが見えてきたらキャラにこの辺でお開きにしようと告げておしまいにすること。
あと、放っておくと作者の人格を侵しかねないのでキャラの脳内常駐には注意しましょう。わたしのように事故りかけても責任は取れませんよ?
……書いててなんだかコックリさんを思い出しました。
以上の文章はフィクションであり実在の事件や人物とは一切関係がありません、 と言うことにしておいて欲しい。嘘だけど。