第1話 転生しました
ある異世界に、元おっさんがいた。
今はなぜか赤ちゃんの姿で、たそがれている。
(普通に赤ちゃんしてください。……あっ、どうも。わたくしナレーションです。ツッコミ担当です。)
……こうなる前の話をしよう。
俺はもともとブラック企業で働いていた。
毎日残業だらけで大変だったんだが、困っている人を見るとどうしても放っておけない性格でな。
気づけば同僚の仕事まで引き受けていた。
そしたらある日、突然、頭が割れるように痛くなった。
そして次に目を開けたとき――
俺はベッドの上で、生まれたてほやほやの赤ちゃんになっていた。
母親らしき人が何か言っているが、まったく分からない。
ここはどこなんだ?
……おーい。ここはどこ?
私は誰?
みたいな感じである。
まあ、なんだかんだ言っても、俺が働いていた会社は日本でも結構ハイレベルな場所だったらしい。
そんな所で働いていた俺なら、まあ何とかなるだろう。
(軽くないですか?)
とりあえず、英語とか外国語は覚えるのが得意だったしな。
似ている言葉がないか、少し観察してみることにした。
――1日後(生後2日目)――
……もう基本的な話し方は分かってしまった。
俺、天才か?
いやいや、謙虚にいこう。
まだ完璧ではない。
(もう既におかしいです。)
とりあえず、母親が言っていることは大体分かるようになった。
……が、ちょっと危ない時がある。
分かったせいで、前世の上司を思い出して返事をしそうになるのだ。
多分、今なら話そうと思えば話せる。
だが、この世界の基準が分からない。
まあ、話してしまったらそれはそれで――
(良くないです。)
その日の夜。
現在、俺には分かったことが四つある。
1つ目。この世界には魔法がある。
母親が普通に使っていたし、窓の外では剣を振っている人もいる。
……めちゃくちゃやってみたい。まずは魔法だ。
2つ目。ダンジョン配信がある。
母親と侍女の会話から聞こえてきた。どうやら推しが同じらしい。
俺もやってみたい。
3つ目。俺の名前はルークらしい。
基本的に「ルーちゃん」と呼ばれている。
4つ目。この世界の貴族は基本的に領主をしているらしい。
父親はこの辺りの街をまとめているらしく、忙しくてまだ顔を見ていない。
……つまり。
この世界、面白そうだ。
ということで今日は眠いので、
明日から魔法強化作戦を開始する。
(赤ちゃんがしてはいけないキメ顔をしています。)




